第50話 ポイントよりも素材が大事
イベントが始まったので、セーフティーエリアから出る。イベント開始の時間は深夜0時からのようだ。時間帯的に行動は問題ないから、さてどこに向かおうか。敵が多い方が良いから、一旦【感知】を使い周囲を探る。当たり前だけど、セーフティーエリアの近くにはあまり敵は居ないようだ。
近くに居た山羊型の敵を倒してから周囲を見渡してみる。あ、少し向こうに森が見える。今いる平野よりも森の方がポイントの高い敵がいる気がするし、今倒した山羊が14ポイントだったから予想通りだとより多くのポイントが手に入るはずだ。
まあ、どのくらいが獲得ポイント的に高いのか判断できないから、あの山羊がポイント的に高いのか低いのかを判断することは出来ないけどね。
森に向かうまでに【感知】の範囲に入って来た敵を残らず倒しながら進み、30分程度で森に到着した。やっぱり平野に比べて強そうな敵がちらほらいるようだ。【感知】でわかる範囲にも平野より大きな赤い点が見えている。
とりあえずそこに向かうと、見たことのある熊が居た。
ブラウンベアか。【鑑定】によるとLV12で通常エリアに居たやつよりは強い感じだ。
攻撃してみ…うん…まあ、HPは1000超えていないから首狩りで一撃だったね。牽制のつもりだったのだけど、このLVだと一撃なのか。ダチョウに与えたダメージよりもHPがあったのだけど、いやそれともダチョウとかのBOSSには一撃殺系の攻撃で死なないのかも?
まあ、イベント中だから一撃で倒せるなら、それに越したことは無いよね。
しばらく森の中でブラウンベアとフォレストディアを倒し続けた。ポイントは1000近くまで溜まった。周囲に他のプレイヤーも居ないから、おそらく現在の順位は結構上位に居ると思う。
それと、森の中に居る敵が大分減ってきてしまったので、そろそろ移動しないといけないのだけど、ここに来て【感知】の範囲に今まで見てきた中でも最大級に大きい、フォレストシャドウウルフに匹敵する大きさの赤い点が映っている。
これは倒しに行った方が良いのだろうか。赤い点の大きさからして一撃は難しそうだし、強さもあの犬並みだとすると倒したところで割に合うかどうか。うーん、確認だけはしてみよう。【上級隠蔽】なっているからそう簡単に見つからないと思うしね。
マップに表示されている大き目の赤い点に近づいていく。ゆっくり音を立てない様に進んで行くとそこには木々の少ない少し開けた空間があった。そしてそこにはゴフテス並みに大きなトカゲのようなモンスターが寝ていた。
まだ、こっちには気づいていないようだ。なら、今のうちに【鑑定】を使っておく。結果はイベントワイバーンと表示されていた。
[(イベントBOSS)イベントワイバーン LV:20 Att:風]
HP:3200
MP:860
スキル:■
うん、普通に強い感じだ。あのダチョウよりもLV高いし、MPの高さを考えると魔術とかブレスくらいは使ってきそう。あ、【鑑定】したことに気付かれた? 何か起き上がって周りを確認している。
うわー、これ見つかったら逃げ切れない奴じゃないの? ワイバーンだから飛ぶだろうし、そうなったら攻撃当てづらそう。面倒臭い奴だ。
もうこうなったら完全に気付かれる前に攻撃した方が後々楽かもしれない。【鑑定】する前に背後と思うところに移動していて正解だった。最初に見つけた位置はほぼ真正面だったし、そのまま【鑑定】していたらすぐ見つかっていただろうね。
まあ、考えていないで先に攻撃しよう。ついでに【毒魔術】の熟練度60%の時に覚えたエンチャント:パラライズとエンチャント:ダークの両方を使ってワイバーンの背後から首を狙って、スラッシュ!
「ギャガアアアア!!」
ワイバーンが地面に倒れた。まあ、まだ完全に立ち上がっていなかったからまた寝始めたみたいな姿勢だけど、特殊ダウンのようだ。微麻痺の効果で動けなくなっている感じではないね。HPを見る限りダメージは1000を超えてはいない。と言うことでエンチャント:パラライズの効果が残っている内に攻撃しておこう。
突っ伏しているせいで首が狙い辛くなっているので、首以外にも弱点っぽいところの翼を攻撃していく。
そして3発ほど攻撃を入れてHPが2000を切ったあたりでいきなりワイバーンが立ち上がり、翼を広げて空く舞い上がった。
え? ちょっ!? あ、待って、嘘でしょ!? 飛ぶだろうとは思っていたけど、いきなり飛ぶ!? なにか事前動作とかあるものじゃないの!?
いきなり立ち上がったのに驚いてワンテンポ遅れてしまったけど、私は咄嗟にブラッドウェポンをワイバーンに追従させて、CTの開けたスラッシュで首を攻撃した。
「グギョエアアアア!?」
どうやらちょうど微麻痺のスタックがワイバーンに効く数値になったらしく、ワイバーンは飛び上がって直ぐにもかかわらず高さ10メートル?くらいから呆気なく落下した。
地面が大きく揺れる。当たり前だけど体長5メートルを優に超すワイバーンが落ちてくれば当然の結果ではある。
しかしワイバーン。飛び上がらなければ落下によるダメージは受けなかったと思うのだけど、なんでそろそろ麻痺する寸前で飛び上がったの? いや、特殊行動によるものだと思うけど、さすがにあれは無いと思うよ。滞空時間10秒もなかったし、落下によるダメージで500くらいダメージ受けていることを考えると本当に失策と言えるのでは? まあ、私にとっては楽でいいのだけど。
とりあえず、パラライズミストで微麻痺のストックを稼いでおこう。そして追加で微毒状態……は別にいいや。たぶんここからそんなに時間は掛からないと思うから。
おらおらおらおらおらー!
もはやサンドバック状態になっているワイバーンに攻撃を加えていく。MPの量から想像した通り【闇魔術】による攻撃はそれ程ダメージは多くは無いようだ。微麻痺が切れる前にさっさと倒したいから使うけど、ブラッドウェポンによる攻撃に比べてダメージは70%くらい? DPS加算するともっと差はあると思うけど、0じゃない以上使っていく。
そうして1分もしないうちにワイバーンのHPを全て削ることに成功した。
『アナウンス
イベント空間のフィールドBOSSであるイベントワイバーンを初めて討伐しました。
初討伐ボーナスとして、討伐に参加したプレイヤーに対し、合計1000ポイントのイベントポイントが割り振られます。
参加人数:1人 ※参加人数が1名のため、貢献度による振り分けはありません』
≪イベントアナウンス
イベント空間上のフィールドBOSSであるイベントワイバーンの内の1体がプレイヤーによって倒されました。
これにより、1部の情報を開示します。
イベント空間にはフィールドBOSSであるイベントワイバーンLV20が3体存在しています。
イベント開始からしばらくの間はプレイヤーに遭遇しない限り、初期位置から動くことはありませんが、開始から一定時間経過後にイベントフィールド上を自由に移動し始めます。また、イベントワイバーンは討伐された後、10分程でイベントフィールド上にランダムでリホップします。
このイベントワイバーンを初めて討伐した場合、討伐に参加した全てのプレイヤーに対し、合計1000ポイントが割り振られます。ポイントの割り振りは討伐した際の貢献度によって決まります。既に討伐済みのプレイヤーが参加していた場合、討伐済みのプレイヤーのみ、獲得できるポイントは10分の1となります。
この情報については、イベント用のウィンドウにて再度確認できるようになっています≫
アイエエエ!? アナウンス!? アナウンス何で!?
ってまあ、ネタは良いとして、フィールドBOSSだったのワイバーン? 確かに鑑定にはイベントBOSSって出ていたけど、ソロ用のBOSSとかではなくフィールドBOSSだったのねぇ。あれで?
いや、確かにワイバーンはあのダチョウよりもLV高かったし、動き方を見る限りステータスも高そうだった。だから、まだほとんどのプレイヤーが第2エリアに来られていないことを考えると、確かにフィールドBOSSにした方が討伐率は上がるのか。
そもそも、ソロでイベントに参加しているプレイヤーの方が圧倒的に少ない感じだから、ソロで討伐している私がおかしいだけ? まあ、深くは考えない様にしよう。
それとあのワイバーンが10分でリホップすると言うことは、森に居た雑魚敵もしばらくすれば復活すると言うことだろうし、もう少し森の中を見回ってみよう。
と言うかワイバーンを倒した時にいろいろアイテム手に入れたけど、出来ればそのアイテムはもう少し欲しいな。もしかしたら、イベント終了後にどこかにワイバーンが湧くかもしれないけど、そうなるとプレイヤーは集まるだろうからそこには行きたくない。だからできればイベント中にあと2、3匹は倒したいなぁ。まだ使えないだろうけど、素材欲しい。
今全体マップのここに居るからこの近くに湧けばいいけ…ど? あれこのマップって第1と第2エリアをくっ付けて圧縮した感じ? 元のマップと比較するともしかしてここはダチョウが居た所じゃないの? そうするとエリアBOSSの数と一致するしもしかしたら、他のエリアBOSSが居た所にワイバーンいるのでは?
ポイントもそれなりにあるし、一回行ってみようかな。いなかったとしても行く途中に敵を倒していればポイントは稼げるだろうしね。
日が昇り始めた。【日光脆弱】の熟練度も下がっているし、フードを被っていればまだ移動は可能な時間。でもさすがにこのまま平野に居るとダメージが溜まり続けるので、元居たセーフティーエリアの近くにあった森に向かうことにする。
ワイバーン探索はまあまあの結果に終わった。予想通りあの後、サウリスタの第2エリアBOSSが居るらしいところにワイバーンが居たので同じように倒した。獲得したポイントは100だったけど、目的はアイテムだったので気にしない。もう1匹の方も見つけはしたのだけど、先客が居たので倒すのは諦めた。
その時ワイバーンと対峙していたのは私と同じソロのプレイヤーだった。見た目が長身だったので最初はヒューマンかと思ったけどよく見たらドワーフだったから、掲示板でチラッと出ていたイスタットの有名人かもしれない。
まあ、今思い返したところで意味は無い。なので、森に入ってポイントを稼ごう。平野の方を見ると数人のプレイヤーが見えるので、そろそろポイントを稼ぎに多くのプレイヤーがこのエリアへ来るのだろう。その前に少しでも多くのポイントを稼いでおかなければ。
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