第7話 初めて森に入る
ログインしてからすぐにフレンド申請を許可した。そして、称号(タイトル)『ゾンビアタック』のスクリーンショットを撮ってフレンドチャットで送った。フルダイブ状態でのウィンドウのSSはどうやら周りの環境が影響するらしくやや暗いSSになってしまったけど、やり方がいまいちわからなかったので、そのまま送ったけど大丈夫だったのかな。
まあ、何も言ってこないので問題はなかったのだと思う。ということでログアウト前までやっていたことの続きをしよう。
兄にSSを送ってから3時間近く日差しへゾンビアタックを続けていたけど、空が暗くなり始めて受けるダメージが極端に減ってきた。どうやら時間帯、というか日差しの強さでダメージが変化するらしい。
【日光脆弱】の熟練度は現在56%まで下がった。それと【闇魔術】は13%に上がった。しかし【闇魔術】の熟練度の上昇がログアウト前に比べてかなり少ないのはどうしてだろう。熟練度が上がったことでMPの消費量は下がった。でも同時に【日光脆弱】の熟練度が下がったことでリスポーンするまでの時間が延び、MPが先に枯渇してしまっているからだろうか。
もしかして同じスキル使い続けていると、取得できる熟練度減る? いや、デスペナで熟練度が減っているのかも。もしくは両方?
とりあえず、MPが0になったのでMPがある程度回復するまで待機。ステータスウィンドウのMP値の右にはMP枯渇の状態異常が出ている。その影響で倦怠感が襲ってくる。30秒ほどすると状態異常が解除され、MPが5秒に1%だけ回復していく。MPが0でなくなったことで倦怠感はなくなった。
現在ゲーム内で18時を過ぎた。
まだダメージはあるけど、この分だとあと一回はリスポーンしそうだ。ただ、その後はHPが0にはならない気がする。とりあえずダメージがなくなるまではこのままじっとしてよう。
19時半を過ぎたあたりからダメージを受けなくなった。どうやら完全に夜になったようだ。残りのHPは69、半分はあるが少々不安になる量だ。
基本的に昼夜の設定があるゲームでは、夜には敵が強くなる設定がある。おそらくUWWOにもあるのだろう。とはいえ今更さらに死んだところで失うものはない。ASもとっくに0になっているしね。
さて、どうしようか。ここの建物の周辺は森になっているのだ。マップは一応あるが道がない以上マップ上もここの建物除けば、ほとんど緑一色だ。下手に入っても迷う可能性は高い。
周囲の木々の隙間を見ると人の手が及んでいないのか、地面には折れた枝や樹木が多く見受けられる。少なくともこの建物に人が住まなくなってから大分たっていることは見て取れる。本来ならこの建物に来るための道もあるはずなのだが、見える範囲にはそれがあった形跡はないのだから。
案として、一つは適当に進んでみる。まあ、十中八九死ぬのだからとりあえず周囲のマップを開放していくという物だ。
もう一つは、マップ上に示されている最寄りのチュートリアルが受けられる場所を示している矢印にしたがってそこを目指す。本来であればこの案を真っ先に採用すべきなのだが、そうしなかったのには訳がある。
それはマップ上に示されている矢印が異様に長細いから。夕飯前には気づいていたのだけど、不自然な形をしていたので気になって夕飯を食べている時に兄に聞いてみたのだ。
そうしたらどうやらマップ上の矢印は、示す場所の距離によって長さが変わるらしい。私のマップに表示されている矢印の長さは、これ以上伸びないのではないかと思う程であり、それは相当離れた位置を指しているということである。
はっきり言って今日のうちに辿り着くことはムリだろう。だったら周辺のマップを埋めつつ、近くのセーフティーエリアを見つけていく方が確実に進めるだろうし、なんだかんだ早くチュートリアルに辿り着けると思う。急がば回れと言うやつね。
ということでさっそく森の中へ進んでいく。ただ、マップの矢印には従わないと判断したけど、さすがに真逆に進むようなことはしない。矢印を基準にして左右に90度以内の範囲に進んでいく予定だ。
うーん、さすがに歩きづらい。スキルにある[夜目]のおかげで夜の森の中でもまだ多少暗いが、ある程度は周囲を見渡せる。ただ問題は地面の荒れ模様である。
幸いぬかるんでいたり、水たまりがあったりする訳ではないが、所々落ち葉がたまっているのか柔らかいところがあり、そのせいで脚を取られて転びそうになる。それに建物のところからも見て取れたように、折れた枝や倒木が邪魔でまっすぐ進めない。
邪魔な物を避けながら木々の隙間を歩いていく。少なくとも周りに見える範囲には開けた場所はない。しかし、あそこに建物があったのなら、あそこに行くための道に分岐する前の道があるはず。まずはそこに出たい。森の中では隠れる場所が多いため奇襲などの不意打ちを食らいやすい。なるべく早く森を抜けたいところだ。
森に入って10分と言ったところ。思うように進めず、立ち止まったり迂回したりとあまり進んでいないはずなのだけれど、もう建物は見えなくなっている。
マップを見る限り50メートル進んだかどうかと言ったところだろうか。故にマップ埋めは芳しくない。
埋まっているマップを見る限りカラーのところとグレーのところがあるけど、カラーのところは私が歩いたルートに沿って伸びている。おそらく私を中心に10メートルくらいが行った場所として、さらにその先10メートルくらいが行ってはいないが視界に入った場所としてその範囲がグレーとしてマップに登録されているのだと思う。
こうマップを見ているとカラーの場所に囲まれたグレーのところも埋めたくなってくる。別にマッパーという訳ではないのだけれど、ただでさえ解放されているマップの範囲が狭いので余計目立つし、気になりだしたら埋めたくなってしまった。
とりあえず一番近いカラーに囲まれたグレーの所に行こおっ!?
進行方向を変えた瞬間にいきなり背中に衝撃を受けて私は思いっきり吹き飛んだ。痛覚をオフにしているので痛みはないけど、背中に受けた衝撃で息が詰まる。
あ、やばい、このままだと顔から地面に落ちる。痛くはないだろうけど、落ち葉などが堆積している上に湿っている地面に顔を着けたくはない。
どうにかして顔からのダイブを回避しなければと考えていたところで聞き慣れたアナウンスが聞こえてきた。
『HPが全損したため、当アバターは死亡しました。周囲に蘇生が可能なプレイヤーがいないため、蘇生待機時間を短縮します。最も新しいリスポーン地点に転送します』
そうして、幸運?にも地面にダイブすることなく初期地点に転送された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます