第8話 三人でお昼を食べた件①
月曜の朝、私は早起きをして作ったサンドイッチを片手に持ち学校に向かっていた。
美織に約束させられた『三人でお昼を食べる』の為にサンドイッチを三人分作った。
(賢にはまだ何も言ってないけどまぁ大丈夫かな)
校門が見えたところで一人歩いている賢を見つけて私は賢に近づいた。
「おはよう、賢」
「お、おはよう、あ、あ、杏……」
驚いた顔をして口ごもる賢をみて相変わらず変なヤツと思った。
「お昼、一緒に食べよう」
続けざまの私の言葉にさらに驚いた顔をした賢を見ると、なんだかまたゾクゾクとした感覚が出てきてしまう。
「いいよね?(我慢、我慢)」
「はい……」
そんな返事をする賢は二重人格なのでは?と思うけど約束は取れたのでよしとしよう。
◇◇◇
お昼になると私は美織と一緒に賢の元へと行った。
「賢、行くよ」
「は、はい」
返事をする賢は私と美織の後ろからついてきたので教室を出て中庭へと向かった。
中庭には大きな木があり、その木の下には回りをベンチが円を描く様に並べられ、お昼休みには争奪戦が繰り広げられる人気の場所だ。
少しくるのが遅かったのかベンチはすでに埋まっていて座れなかった。
どうしようと思っていると私の肩に手を乗せた美織が鞄からドヤ顔でシートを出すと、大きな木の下に敷いた。
「これで大丈夫だよね」
バンバンとシートを叩く美織の鞄はなぜかいつも欲しいと思うものが入っている。
私は美織の不思議な鞄は四次元ポケットではないかと思っている。
私と賢はすでにシートの上に座っている美織と一緒に座った。
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