僕は人になりたかった

雨空 凪

opening

誰かが世界を変えたなら、

その人は本当に世界を良い方に変えたのだろうか。

その人にとっての良い方とは僕にとっての悪い方だったのではないだろうか。

それとも僕が人からそう思ってしまうのだろうか。


僕は暗い中で考えた。

周囲を包む漆黒が僕の考えを一つ一つ消していく。

僕は漆黒に考えが呑まれないように考え続けた。

漆黒の津波のような何かに抗った。

僕の考えがまとまるその瞬間まで、

たくさんの恩人たちが生きた世界にいたかった。

僕はそれをすることができた。

永遠を持っていた。

それは今も同じだ。何も変わりはなかった。

たった一つ変わったのは、、、、。


僕が選んだことだった。


そうだ。


僕は何も変わっていない。

僕がずっと変わらないのは、


「僕がーーーーーーーーーーー」


その呟きを最後に僕は漆黒に呑まれてしまった。

それでも、幸せが僕を包んでいた。


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