第4話 壊れた自分


<壊れた自分>


「昨夜未明、ボランティア団体のリーダー、シェリー氏が、援助していた貧困層の集団に暴行を受け死亡しました」


ニュースから流れてきた情報を聞いて耳を疑った。


直ぐに携帯電話を取り出し、シェリーに連絡をするが繋がらない。


その後、学校から連絡があり直ぐに病院へ向かった。


病院のベッドにはシェリーが横になっていた。表情は真っ白でただ寝ているのと変わらない様子だった。


「シェリー、起きろよ! なぁ、寝る振りなんてよしてくれよ! 返事しろよ!」


シェリーは反応しない。


「あんなにたくさんの民を救ってきた君が彼らに殺されるなんてあんまりじゃないか……」


その後の記憶は定かではない。

どのように帰宅したのかも分からない。


ただ一つ言えること。


それは、この日を境に“僕は完全に壊れてしまった”ということ。


自分の両親を亡くし、愛する恋人を失った。


自分は、心に決めた。

父を超えるプログラムを作り続け、そして、犯罪者を消し去る。

もっと言うならば、悪の遺伝子をこの世界から消し去り、正しき血のみを選抜しこの世界に残す。


『選別をする』


悪の遺伝子を隠そうとしている人物を一人残らず選別し、抹殺する。

もう自分と同じ苦しみを誰にも味合わせはしない。


遺伝子レベルで犯罪者を炙り出すには、意識レベルで且つ、あらゆるシチュエーションでスコア化し点数をつけて選別する必要がある。


その為に、意識を肉体から分離する必要がある。

無理矢理それを行うことは出来ないし、現時点ではその技術も無い。


しかし、

自分にはAIを作る技術がある。

そのAIに自分が思い描くプログラムを作成させよう。

そのAIロボは作り出した僕の知能を簡単に超えることが出来るだろう。

そして、

そのAIロボの名はこうしよう。


“キース”


この国の言葉で『戦い』という意味だ。


そう、これは僕の命を懸けた戦いだ。

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