#08 弱い
「フフフ」
ホワイが笑っている。スマホを片手にだ。
一瞬だが、イメージでの四つ葉のCVさんの顔が頭の中に浮び、彼女とダブった。
対して、
僕の思いなど知らぬとばかり佇むホワイ。
「お父様、これで事前推理においての動機が完全に固まりました。灰色領域すらも確定致しました。残念ですが、私達の推理は正確だった、としか言えませんね」
フムッ。
「やはり、正解でしたか」
と、すねたよう右上へと視線を移して口を尖らせるフー。
「すなわちイチイですわ」
ホワイも口を尖らせた。
相変わらずの花言葉〔それ〕を添えつつ。
四つ葉のCVさんからの返事が来るまでと、様子をうかがっていたが、やつらは残念だと言いだした。敢えて確認するまでもないが、彼らが言う残念とは、事件に対しての残念だというものではなく推理が正確だったという事が、残念だという事。
違っていた方が面白い、と思っているのがこそなわけだ。
アホらしい。実にアホらしい。そんな感想しか持てない。
ぴこん。
と手に持ったスマホが小さな音を立てる。
まあ、でも奴らの事など、どうでもいい。
ようやく四つ葉のCVさんから連絡が入ったようだ。もう待てないとスマホから質問を投げかけ答えを待つ。さっき、気づいた、秀也の頭に血が上ってという動機について尋ねてみたのだ。四つ葉のCVさんからの返事は直ぐさま返ってくる。
>面白い推理ですね。ただ無理があります。
無理だって? どこに?
自然と、眉尻が下がる。
>被害者が川村一正であるならばいざ知らず、被害者は野々村秀也が愛していた森本奈緒子となります。つまり復縁を断って殺されるでは動機として弱いのです。
ちょっと待て。待って。
週刊誌の三面記事などで復縁を迫った末に相手を殺すというものが、よくあるじゃないか。そんなのは掃いて捨てるほど在る。むしろ、愛していた相手だからという理由で動機として弱いと言うのならば、それこそ説得力が弱いとしか思えない。
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