筋トレ雑感

@tourou13

勘違いマッチョについて

ここ数年、筋トレがブームになっている。自分も筋トレをしていたので、筋トレする人が増えるのは良い傾向だと思うのだが、昨今の筋トレブームで嘘は言っていないが真実を言ってもいない喧伝に危機感を持っている。


筋トレをすれば全てが叶うという喧伝に、である。


筋トレをすれば、体型が良くなる、痩せる、スポーツのパフォーマンスが上がる、というのはともかく、性格が前向きになる、鬱が治る、仕事がデキるようになる、恋人ができる。もはや新興宗教の勧誘文句のオンパレードである。


これに危機感を持つのだ。明らかに筋トレの効果の枠を越えてしまっている。



ここで冷や水をぶっかけてみよう。


この筋トレブームが起きる前にマッチョがどのような扱いを受けていたか思い出して欲しい。しょせん脳筋、体型だけで大したことはない、勘違いヤロウ、私マッチョはキモい・・・、と否定的な意見が多かったはずだ。またゲームでマッチョはどういう扱い受けてきたか、攻撃力はあるが動きが遅いキャラばかり、細マッチョのイケメンにやられる、つまり雑魚扱いである。


今はブームだから多少意見が改善されてはいるが、ワタシは少なくともマッチョマンだから仕事がデキるとか、ましてモテるとか周囲で見聞きしたことはない。


せいぜい筋トレで過剰な自信を持ち(マッチョはなぜか根拠のない自信を持つ、これは事実だ。)、他者にパワハラしまくるヤツくらいである。実に迷惑だ(私怨)。


ワタシ自身もマッチョだった時期に仕事がデキた覚えも、モテた覚えもない、あったのはデブからのやっかみだけである。



話がずれた。


筋トレはあくまでも速筋を増やす作業である。それ以上でも以下でもない。筋トレをすれば、テストステロンが増えて云々、はウソではないが真実でもない。過剰な喧伝に過ぎない。


しかし悲しい事に日頃周囲に評価されることのないマッチョはこの喧伝に飛びつくのである。


筋トレしている人は根拠のない自信を持つことが多い(ワタシ自身筋トレしていた時に体験している)。が、空虚だ。だって誉めてくれるのは同志だけ。だから、こういう自分の都合によい喧伝を出されると信じ込むのである。信じていなくても自分の評価を高めるためにそういった本を高く評価するのだ。


マッチョが根拠のない自信を持っているということが分かりやすいのはSNSである。マッチョたちの書き込みを見てみると良い、はっきり言ってキモい。過剰に自分を信じているのである。男のムキムキ上半身を見たい人は少数派である。なのにこれでもかと上半身をさらけ出し、君たちもこうなりたいだろ?とアピールしている。一般からどう見られているかという視点を見ようとしない。


彼らが一番気になる女性からの評価も芳しいものではない。夜のお店のお姉さんが、マッチョは例外なく自分の筋肉を見せつけて俺ってどう?と言ってきて、こっちはお仕事だからすっごーいって言うけど、「ほんとうにどうでもいい」女が惚れるのはそこじゃない、と言ってたのを聞いて苦笑した覚えがある。


なかなか冷静にトレーニングしている人は少ない。もっとも冷静な人はせいぜいトレーニング内容を健忘禄として書く程度で、自慢なんてイタいことはしない。そういう人は筋トレは手段だと分かっているのである。



昨今の筋トレブームでテストステロン効果を過剰に書いているが、これは例えるならば5%の果汁しか入っていないのにオレンジジュースと言っているのと同じである。


嘘は言っていないが、真実でもない。しかし、筋トレを信じている人たちはこのオレンジジュースを100%と思い込もうとしている。(ブームに乗っかろうとしている人はこの喧伝を利用して儲けたいのだ。)


確かに筋トレでテストステロンが増える研究結果はあるが、それが期待できる程放出されるか、維持されるかは言及されていない。筋トレでテストステロンがドバドバ出るというのならば、アメリカの医師はテストステロン注射などせず筋トレを処方しているはずでる。


あと、テストステロン効果は男らしくなるという効果もあるが、禿げる原因物質のひとつであることも忘れてはいけない。また心臓疾患、脳卒中、攻撃的な性格になるなど、いろいろデメリットもあるのだ。


あと、蛇足であるがマッチョマンが家族にいると被害を被る。食事は高蛋白低カロリーを作るように言い、サプリメントやプロテイン買いまくるので、エンゲル係数が上がりまくりである。奥さんはたまったものではない。呆れているとマッチョの奥さんから聞かされたこともある。



筋トレはあくまでも速筋を作る作業である、それ以上でもそれ以下でもない。副次的に体型が良くなるメリットもあるが、それ以上は別の要素が必要となってくる。



仕事がデキるようになりたければ仕事に専念する事だ。モテたければ異性の集まる場に行って、コミュニケーションをとれるようにする事だ。筋トレで仕事がデキる、モテるという事に直に繋がっていないことを自覚すべきである。


筋トレ効果に対する過剰な勘違いから覚めて、自分は筋トレで何を目指すのか冷静に考えよう。スポーツに繋げたいでも良いし、体型を良くしたい、でも良い。


ただ筋トレしていれば全てがかなうという勘違いから脱却することから全ては始まる。


さもなければ勘違いしたまま、結果の出ないトレーニングを続けるだけである。勘違いマッチョをSNSで見るのはキツいのだ。


そこにかつての自分を見ているようで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る