行ってきます! 選択の部屋!
大魔王サマは、フィルフィーに蹴られて転がった勢いでそのまま退散しちゃいましたよ。もう来なくていいですよー!
とりあえず勇者側が勝ったみたいだけど、なんかこう、完全燃焼の大勝利っっ!! ってカンジがしないのは、SM茶番劇のせいですよっ!
今はとにかく、ルルコちゃんを助けるコトを優先しないとっっ!
「フィルフィー! ルルコちゃんを連れて、早く選択の部屋に行こうっっ!」
ルルコちゃんたら、白目をむいたままピクリとも動かない!
のっぴきならない状況に変化ナシです!
「おうっ、わかってらいっ!
なんだかウキウキワクワクしてませんかね、江戸っ子女神。
むむむ、フィルフィーが楽しそうだと不安になるのはなんでかなっっ?
「あたしとルルコは無関係ってワケじゃねーんだし、あたしにも女神としての責任があるからなっ」
「無関係じゃない? って、どういう事っ?」
「あとで教えてやんよっ。
ああもう、ウルサイぞヤンキー女神っ。殴り込みじゃナイだろっ。
「フィルフィーさんたら、お静かにっ、ですわっ!」
ピシッとフィルフィーをたしなめるペリメール様ですよ。やっぱり頼りになりますよー!
暴走しそうなヤンキー女神にブレーキをかけてくれるのは、
◇
「あの、お姉ちゃんっ。私達も行きたいんだけどっ……ダメかなっ?」
「ラフィーさん……連れていきたいのは山々ですが、私達が不在の間、貴女達はここでお待ち頂いて欲しいのですわっ」
「えっ? どうしてっ? ……やっぱり女神レベルが足りないからっ?」
「隠さずに言うと、その通りですわっ。
それと……フィルフィーさんと私はランクアップしたとは言え、まだまだペーペーですのでっ。ここに戻る際に迷子にならないように、ラフィーさん達が目印になって欲しいのですわっ」
「えっ……お姉ちゃん達のレベルでペーペーって……私達なんて、ほんとにまだまだなんだね……」
あらら、ちょっとしゅんとしちゃいましたよ、ラーフィアちゃん。
新米女神なんだから仕方ないとは言え、ここはちょっと元気づけてあげないとっ。
「そんなに落ち込まなくてもダイジョブだよっ。ラーフィアちゃんなら、フィルフィーなんてすぐに追い越せると思うよっ」
更生施設で魔王から女神に転身した時も最速記録だったし、ラーフィアちゃんは元々がハイスペック!
きっと、ステキな女神様になれるハズですよ!
「うん……ありがとうね、ヒカリちゃんっ。私達はここで待ってるから! 頑張ってね、お姉ちゃん! あと、ついでにフィルフィー!」
「ついでにって何だよ、ついでにってよー」
口を尖らせてブーたれるフィルフィーですよ。なーんかこう、イマイチ緊張感が足りない気がするのは気のせいなんかじゃナイですよー!
「あっ。あのね、ヒカリちゃんっ! どうしても訊きたいコトがひとつだけあるのっ! いいかなっ!?」
んむむ?
ラーフィアちゃんが真剣な顔しちゃってますよ。なんですかねっ?
「『やっぱりヒカリちゃんもっ! お母さんみたいな爆乳が好きなのDEATH、かっっ?』」
「……えっ!?」
出ましたよ、ラーフィアちゃんの重低音を響かせたイケてるボイスっ!
『です』が『DEATH』に聞こえるのは、気のせいなんかじゃないデスよー!
その声、どこから出してるのっ?
って、訊きたいコトってそれですかっっ!?
「いや、そんなコトはっっ!?」
爆乳が好きって、いや、まあ、あったりなかったり! て言うか、あり寄りです。
「『ヒカリちゃんの妄想力はスゴいってわかってたけどっ! お母さんのでっかいオッパイまで完璧に再現出来たのはどうして、DEATH、かっ?』」
「ほえあっ!?」
それはですね、ラーフィアちゃんっ。
フィルフィーとペリメール様の結婚式で、アルレさんの爆乳をガン見して脳内保存したからなのですよー!
俺のちっちゃい脳ミソに完璧に保存されているのですよ、アルレさんの爆乳がっ!
なんて言えるワケがナイ!
「イヤ、あの、とっても魅力的で印象が強かったから、です、よっ?」
しどろもどろになって、こう答えるしかねーですよ、男の
「『じゃあ、私みたいな貧乳には生きる価値すら無いの、DEATH、かっっ?』」
なぬっっ!
生きる価値すら無いなんて、話がブッ飛び過ぎですよ、ラーフィアちゃんっ!
「そんなっ!! 胸の大きさなんてカンケー無いよっっ!?」
「……本当? 本当にっ?」
「ホントだようっ! ボクの目を見て、ラーフィアちゃんっ!」
しゅぱっ! と、ぐるぐるメガネを外して、ラーフィアちゃんの手を握っちゃう俺ですよっ。
どんなにささやかなオパイでも、ラーフィアちゃんを好きなのコトに変わりはナイのです!
これはホントにホントのコトなのです!
なんつったって、俺の初カノだし!
オーシャンブルーの瞳を、じっと見つめちゃう俺ですよっ!
俺のうるうるキラキラの瞳の魔力に耐えてますよ、ラーフィアちゃん!
「はっ、はううっ。目っ、目がっ! ヒカっ、ヒカリちゃんの目がっっ! 私を魅了するようっっ♡♡」
「ラーフィアちゃんっ! ボクを信じてっ!」
男の
愛しい初カノの不安を解消する為ならば、歯が浮くようなセリフだって言えちゃうのですよー!
「ヒカっ! ヒカリちゃあんっっ!」
がばっ! と、俺に抱きつくラーフィアちゃんですよ、なんだかコーフン状態です!
恐るべし、俺のうるキラの瞳の魔力っ!
「はあっ、はあっ……ヒカリちゃんっ……今、言ったよね?」
「はいっ?」
「今、確かに言ったよねっ?」
「えっ? 何をっ?」
ラーフィアちゃんの様子がおかしいぞっ?
息遣いが荒くなっちゃって、顔が赤い!
って、この流れはもしかしてっ!
「ヒカリちゃんが
言ってません!
久々に出ましたよ、ラーフィアちゃんの変態的な性癖がっ!
カッコよく『ボクを信じて!』なんつったのに、ラーフィアちゃんには届いてませんでしたよー!
歯が浮くセリフがどっかに飛んでっちゃいましたようおおおー!
「ナニやってんでい、バカップルがよー。さっさと行こうぜ、選択の部屋によー」
うぬぬ、ちょいとお待ちなさいよ、ヤンキー女神っ。
こちとら、俺のおパンツ欲しがるヘンタイカノジョをどうやってなだめようか考え中なんだからなっ!
「今は無理だけどっ! 無事に戻ってきたらあげるからっ! ねっ? ねっ?」
「うん……わかったよ、ヒカリちゃんっ。約束ねっ!」
なんつって、しちゃいましたよ、約束をっ。
どうにか落ち着いてくれたみたいだけど、そのおかしな性癖はなんとかならんモノなんですかね、ラーフィアちゃあんっ!
◇
なんてコトを踏まえつつ。
魔王の玉座があった場所に立つ俺達ですよ。
いよいよ行きますよ、選択の部屋へ!
「あっ、ちょっと待って、ヒカリちゃんっ!」
んむむっ?
またまたラーフィアちゃんに呼び止められちゃいましたよ。
どしたのかなっ?
まさか、おパンツ以外にも欲しいモノがあるのかなっ?
「元気なルルコちゃんを連れて戻って来てね! 待ってるからっ!」
すいっと、俺に近づくラーフィアちゃんのツヤサラ銀髪からは良い匂いがっっ。
そんでもって、なんとっ。
ちゅっ♡
うお!
突然ほっぺにチューですよ、ってこれはっ!
行ってらっしゃいのチューですよー!
ムハー!
「私には『ただいま』のチューをして欲しいなっ♪」
ラーフィアちゃんが、こくんっと小首を傾げるとツヤサラ銀髪がさらりと流れて、長い睫毛にかかりましたよ。
やっぱり、めっちゃめちゃKAWAEEEEですよっ! その仕草は脳内保存に決定ですっ!
「せっ、拙者もヒカリ殿に接吻をっっ!」
「あー、ずるうい。リアちゃんもしたいでぇす♡」
なななんとっ!
ムラサメさんとフェイリアちゃんまで乗ってきたっ! これって、モテモテのウハウハハーレム状態ですようおおおー!
「ナニ言ってるのよ、二人ともっ! ダメに決まってるでしょーがっ!」
ラーフィアちゃんが二人を止めに入って、ワイワイきゃあきゃあと賑やかでやかましい見送りですよ。
いつもの俺達ってカンジで楽しいけど、もうちょっと緊張感を持ちましょうよー!
◇
「んーじゃあ、やるぞ、ペリ子っ!」
「はいっ、ですわっ! フィルフィーさん!」
「「チェンジ!
二人の女神様は、キラキラと煌めくカーテンみたいな上級女神の証『
ラーフィアちゃんが二人に贈った指輪もキラリと輝いてます!
うおお、なんかドキドキしてきたぞっっ。
「そんじゃあ、行ってくらあっ!」
「行って来ますっ、ですわっ」
俺がルルコちゃんを背負って、三人が手を繋ぎ!
「「
ピッタリと息の合った声で転移開始!
「行ってらっしゃいっ! ヒカリちゃん! お姉ちゃん! あと、ついでにフィルフィー!」
「
「帰ってきたらマッサージしてあげますよ、ヒカリ様ぁ♡」
「ヒカリ殿っ! ご武運をっっ!」
なんつって、
ルルコちゃんを救う為っ!
お兄ちゃんのこの俺が、二人の女神様とともに、選択の部屋に出発ですようおおおー!
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