68. 3日目・いつの間にか第三試合
「取り乱した。ごめんなさい。」
「いえいえ、こちらこそ。スキルが制御できずに申し訳ないことをしました。」
落ち着いたプリステラさんから謝られたり、謝ったりしたりしてると
『さーーーー!ドンドンいくわよ!続いて本戦トーナメント第3試合を始めるわよ。』
いつの間にか本戦が2試合終わっていたようだ。
「あっ!今から戦う人は注目かな。セト君と同じランダム転移開始の人だからねー。」
エンリさんが面白い情報をくれた。モニターの中で戦闘準備をしているワイルドな格好をした拳闘士みたいな感じの人がそうなのだろう。
「そうなんですか。彼はもう通常のプレイヤーと同じ環境で遊べてるんですか?」
これは大事な質問だ。ランダム転移開始の中でもどの程度の差が有るかを知ることが出来るからね。
「んー......プリちゃんパス!」
「ん。乱鉄は、北の大陸の山の中からのスタートだったみたい。二週間くらい真っ直ぐ山の中を走ったら街道に出たらしい。その後ドワーフに弟子入りして鍛治をメインに生産活動してる。素材は全部自分で現地まで調達しに行ってるから戦闘力もかなり高いよ。」
約2週間で街に着いたのか、周囲の探索はあまりしなかったのかな?ランダム転移開始地点は何かあると思ってたけど.....見逃したのだろうか?
「乱鉄さんは何か特殊なスキルとか持ってたりするんですか?」
「ない.....と思う。彼はスキルとかシステムとかいまいち理解してない。もしかしたら持ってるかもしれないけど、ステータスを他人に見せるやり方も覚えようとしないからこっちからの確認も出来ない。本当に頭悪い、声も大きいしがさつ過ぎる。」
あ、あれ?辛辣な評価が帰ってきたぞ。
「んふふー、もう、そんなこと言ってー。彼【森の兎】の関連ギルドの副マスじゃない。おもいっきりプリちゃんの身内でしょー。」
「いつの間にか居たし。うるさいし騒がしいから好きにさせてるだけ。」
関連ギルドとかあるくらいだから結構大きなクランなのかな?
「ちょっと気になったんですけど、【森の兎】ってどのくらいメンバーが在籍してるんですか?」
「300人。関連ギルド入れたら多分2000人越えてたと思う。」
「クランの最大メンバー数が300人までなの。因みに【千輪花】は83人だよ。」
おや、もしかして目の前の人は超が付くほどの大物なのではないのかな。
「凄いですね。」
人は財産だ。人の数だけ思考回数が増えるし、発想も違う、それだけ良いものや新しいものが出来る。素材を集めるのだって人海戦術を使えば簡単に数を揃えることが出来る。
そう、数は武器なのだ。と、拠点防衛のレトロゲームで学んだ。
「別に凄くない。いつの間にか大きくなってた。私は興味あることしか指示を出してないし。」
「いやいや、プリちゃん。【森の兎】の情報収集能力飛び抜けてるじゃない。それに、最近だとNPCのショップにも関連クランの製品が並んでるよねー。」
「【千輪花】だって国のお抱えの騎士団になったって聞いた。エンリ騎士団長も大変だね。」
「アハハハー。」
「フフフフ。」
お、おぉ、ちょっと怖いぞ。助けてミューちゃん。
「......すー......すー....みゅ.......すー......」
「....なでなで.....ミューちゃん可愛い......」
寝てる。ミューちゃんはお昼寝タイムだ。マイシスターがひざ枕をして頭をナデナデしている。
『決まったーーー!第三試合の勝者はクラン【砂漠の猫】所属の乱鉄だー!!』
ありがとう乱鉄さん、空気を替える話題をくれて。
「ほら、乱鉄さん勝ったみたいですよ。」
「え?乱鉄?ああ、勝ったの。」
乱鉄さんの扱いが雑すぎる。しかも、空気は微妙なままだ。ごめんよ乱鉄さん、あなたの勝利を僕はうまく活用できなかったよ。
話題、話題、何かないかな?そうだ!あれを聞いてみよう。
「ちょっと基本的な事を聞きたいんですけど、皆さん戦闘中に技名叫んでますけど、あれって必要なんですか?」
「ん?あー、そっかセト君は知らないのか。あれはねー、慣れるまでは恥ずかしいよねー。別に技名を口に出す必要はないんだけどねー。」
「威力が上がるスキルがある。【気合】とかそんな感じの。」
「無言だとバトルスキルの威力の倍率そのままだけど、【気合】系のスキルをアクティブにすると3%~15%くらいダメージが上がるんだよー。SPも消費しないし技名を叫ぶだけで威力が上がるんだから皆つかうよねー。」
へー。スキルを覚えていればコスト無しでダメージ量の底上げができるのか。
でも、僕は多分使わないかな、というか使えないよね。生命闘技の影響でバトルスキル覚えられないし。
少しだけ空気が改善したぞ。肝心の本戦の試合は全然見れてないけどね。
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