60. 3日目・メッ!
「もふもふ....ふさふさ....もっふもっふ」
上機嫌だ。ミューちゃんのところへチェリーさんをつれてきたけどオオカミをモフモフするのに夢中になっているみたいだ。
「ミューちゃん連れてきたよ。」
「.....もふもふ....みゅ?」
チェリーさん以外の3人が少し離れたところでシャッターを切るポーズをしている。スクショを撮りまくっているのかな、気持ちはわかるよ。
「お話しするからこっちにおいで。」
おいでおいでー。.....ってやってるけど、冷静に考えると女神様にやっていいんだろうか?主様のところでもオリジンの皆さんから注意とかされなかったから大丈夫だよね?
「うん。」
タターと駆け寄ってきて
「ぎゅー。」
僕の足に抱き付く。そして、頭を撫でる。
「えへへ~。」
ミューちゃんを呼んだときの一連の流れだ。
「あぁ!可愛すぎるーー!」
「はいはい。大人しくしましょうねー。」
「キュー!」
チェリーさんがジタバタしている。やっぱり反省はしていなかったみたいだね。
「おねいさん!メッ!」
おお!ミューちゃんの【メッ!】が出た!
主様のところでもお猿たちの僕に対する悪戯が過ぎると【メッ!】が出るのだ。【メッ!】をされたお猿たちは、しばらくの間この世の終わりのような雰囲気を漂わせるのでフォローが大変だったりもする。
【プレイヤーに対して 女神の叱責 が発動しました】
【保護者が存在するため効果の選択権が移譲されます】
「ぶっ!!」
想定外の出来事に思わず吹き出してしまった。アナウンスのあとウィンドウが目の前に展開されたのだ。
女神の叱責 効果選択
・ステータスALL20%ダウン(3日)
・ダンジョンドロップ率0%固定(3日)
・全てのスキルLV半減(1日)
・各種獲得経験値0(1日)
・全て(称号 女神の敵 を獲得)
・なし(称号 許されし者 を獲得)
【女神の怒りに触れたものに裁きを】
※必ず何かを選択してください。
落ち着けー。大丈夫、冷静に考えるんだ。お猿たちの時にはこんなのはでなかった。となるとプレイヤー限定なんだろうか?そういえば、このウィンドウは周りに見えてるのかな?
「いきなり吹き出しちゃって、どうしたのよ?まぁ、ミューちゃんのメッ!は可愛かったけど。」
この感じだとメープルさんには見えていないようだね。
「何でもないよ。」
但し書きがあるくらいだから選ばないと駄目なんだろう。こういうものだと割り切って手早く終わらせよう。
下2つは無し。変な称号がついたら面倒だからね。となると、上4つか、どの効果も嫌すぎる。うーん、まだましなのは経験値0かな。イベント期間中だし、終わっても早々にログアウトするだろうからね。
各種獲得経験値0(1日)をポチッと。
【プレイヤー チェリー7 に対して 女神の叱責 の効果が執行されます】
「んん?なんですかこれ?変なデバフ?状態異常?経験値0?」
チェリーさんが不思議がっているみたいだ、本人にもわかるような感じで反映されるみたいだね。
「どうしたのよ?」
「いえ、急に見たことのないデバフ?状態異常?が」
「おねいさん!!」
チェリーさんの話をミューちゃんが大きな声で止めた。説明するのも面倒なのでこのまま押しきってもらおう。.......ちょっとビックリしたのは内緒だ。
「は、はい。」
「ほら、早く謝りなさい。」
「キュー」
ミューちゃんの声にビクッとしたチェリーさんは、メープルさんと白いモフモフに小言を言われている。
「うぅ~、飛び付いてごめんなさい。」
「みゅ?ちがうよ、みゅーはこのこたちのことでおこってるの。」
「へ?どういうことですか?」
おや?飛び掛かったことに対して【メッ!】をしたかと思ったけど、違うみたいだ。
「このこたちのせいちょうをおねいさんがとめてるの。」
成長を止めてる?どういうことだろう。
「ああ、そういうことね。」
「メープルさんわかったの?」
何か知ってるなら教えてほしい。
「進化拒否ね。3体ともLV的にも進化出来るはずなんだけど、チェリーのこだわりが酷くて進化を制限してるのよね。」
なるほど、テイムモンスターはプレイヤーの権限で進化を抑制出来るみたいだ。で、その事に対してミューちゃんが怒っているのかな。
「みゅーーー!!だめだよ、このこたちはおねいさんのためにつよくなろうとしてるんだから。」
「で、でもー、今のモフモフが最高なんですよー。」
こんなにプンスカしているミューちゃんは始めて見るぞ。オリジンの皆さんがいたらチェリーさんは狩られていただろう。
「う、ううー。やっぱり嫌ですー。この子達は今のままが一番なんですー。」
「わかった。みゅーがやる!!おにいちゃんてつだって。」
ボーッとやり取りを眺めていたら急に手伝ってと言われてしまった。
「えーと、何を手伝えばいいのかな?」
「おにいちゃんは、ぼうをもってて。」
おや?この流れは.....
「さいしょは、おおかみさん。みゅーーーー。」
ミューちゃんがオオカミに手をかざして何かを始めだした。そして、
はい、グングン吸われております。今回はSPとMPとHP全部持っていかれております。
「え?ええ!何してるんですか?!」
チェリーさんが当然の反応をした。そりゃそうだ、自分のテイムモンスターが何かされてるのだから。
大体50%ぐらいもろもろ吸われたところでミューちゃんが動きを止めた。
「みゅーがてつだってあげるからね。うんうん、わかった。」
そういい終わると同時にオオカミが光だした。
「ウー、ウー!大丈夫ですか!?」
「いいから、チェリーはじっとしてなさい。」
「キュー!キュー!」
うーん、未だにメープルさんに捕獲されたままだから、こっちが凄く悪いことをしているように見えてしまう。
そうこうしている間にオオカミの光がおさまった。
「おおきくなったねー。」
ミューちゃんが言ったようにそこには、先程よりも1.5倍くらい大きくなって体毛が少し青みがかったオオカミがいた。
「え?ええ!!ウーが進化しましたよ!!モフモフ感もアップしてます。」
そう、ミューちゃんは他人のテイムモンスターを強制進化させたのだ。
「ねえ、チェリー、ウーの種族どうなってる?あんなモンスター見たことないんだけど。」
「えーと、ブリザードバトルウルフ?初めて見る種族です。この子の進化先のツリーでも見たことないですよ。」
なんと、未発見もしくは新種のモンスターに進化させたみたいだ。
「おおかみさん、もふもふだねー。」
うんうん、ミューちゃんも機嫌がよくなったのかモフモフしている。多分あと2体も同じことをするのだろうし、今のうちに吸われて減ったもろもろを回復しておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます