β

 左膝がいたい。今日の朝まで続いたセックスのとき、彼女が興奮してぶつけてきた。

 あと地味にそけいぶもじんじんする。彼女のほうは心配ないけど、自分のほうはじんじんしてるから、なんか常に臨戦態勢になっちゃってて困る。


「発情期かなあ」


 彼女が上で、自分が下。でも、びくびくして制御が利かなくなるのは彼女のほう。だから彼女は膝をぶつけてきたときの記憶がない。きもちいいときの記憶がないというのは、はたしてしあわせなのだろうか。自分はしあわせに包まれるからいいんですけども。


「あ」


 膝。ぶつかったということは、あざになるのかな。黒くなっちゃうのかな。だとしたらたのしみだなあ。舐めるから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る