第8話 入学試験

ーーアズルド魔法幼年学校ーー


 これは、都市に住む子供が多く通う小学校のようなものである。

 俺はマリーや、彼女の母親にすすめられてレインをこの学校に入学させることにした。

 今日は入学試験の日である。試験内容はスキル測定、筆記試験の二つである。


 ちなみに、入学試験は高等学校になると、実技試験を追加した三つの試験を受けなければならない。


 入学試験は親からすると世紀の一大イベントである。マリーはものすごく心配そうであったが、俺にはそこまで心配なことはなかった。

 レイン本人も自信満々である。

 

 親バカと思われるかもしれないが、レインは同じ歳の子の中でいえば賢い方であると思う。

 俺は勉強に付き合ってあげることはほとんどできていないが、学校に入学しないかと聞いたときから一人で勉強をしていたらしい。


 スキルに関してはレインの力はわからないが、幼年学校にはほとんどの子が合格するらしいから大丈夫だろうと思う。


 レインは同じような歳の子とあまり話したことがないようで、学校に入学することをすごく楽しみにしていた。

 今日も朝からご機嫌でずっと話しかけてきた。


「どんな子がいるのかな?お友達たくさんできるかな?」


 楽しみにしてくれているのは嬉しいが、一人で外に行かせるのだけは心配である。

 これが親の気持ちか。


 「行ってきまーす!」


 マリーと一緒にレインを見送った後、俺は部屋に戻り学校から貰った手紙にもう一度目を通す。


 入学金、金貨一枚か…

 他にも学校に通わせるとなると、今までよりさらに出費が増えるのが現実である。


 あれから数回パーティーで依頼をこなし、お金は少し増えていたが、今持っているのは金貨一枚と銀貨四十枚であった。

 もう少し難易度の高い依頼を受けて、報酬を貰いたいところだ。また、ルイスに相談してみよう。


 海斗がソワソワとしている頃、レインの方は筆記試験を終えてスキル測定を行っていた。


 試験官の先生が、レインの名前を読ぷ。そして、スキル情報を読み取るために毛髪を測定器にセットした。


 「では、測定しますね!」


 …ウィーン


 結果はすぐに出た。

「ありえない…この歳で中級水魔法?」


 通常であれば魔法スキルは下級から始まり、その中でも数少ない者だけが中級、上級へと成長していくのである。

 そのはずが、いきなり中級というのは異例のことであった。


 こうして終わった入学試験であったが、結果は数日後に海斗のもとへ届いたのであった。


「マジかよ…」


 筆記試験は満点、スキルも異例の中級水魔法とは驚いた。今更だが、この子は何者だよ!


 レインはアズルド魔法幼年学校を主席で入学したのであった。

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