9月21日
金曜日。曇りのち雨。
急に冷える。山の秋は下界より訪れが早く、深まるのもあっという間だ。ルームメイトたちも着替えながら寒い寒いと騒ぎ、
「ちょっと前まで冷房を強くしろとか言ってたのが嘘みたい」
「温泉に入りたいわ」
「そうよ、どうしてここのお風呂はせっかく大きいのに温泉じゃないのよね」
かと思えば、
「今日って何の日か知ってる? ガトーショコラの日!」
「食べたいなぁ。デザートに出してくれればいいのに」
「それよりスイーツ倶楽部の加納さんたちに頼んでみる?」
「いいねぇ」
そして、金曜だったから、あたしはまた一人で質素な昼食。ただ、みんなの会話に触発されてカカオの風味が恋しくなったので、胃が重くなるのを承知でホットチョコレートを頼んだ。ちょうどいい甘さだった。授業になんか出ないで毛布にくるまって、うたた寝したくなった。サツキさんと姉妹猫のように寄り添って眠れたら、どんなに幸せだろうと想像しながら……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます