第16話

 その時から俺はキャシーの恋人となった。


 キャシーが望む言葉。

 キャシーがして欲しい事。

 キャシーへの贈り物は勿論時間の許す限り傍にいる事。

 

 

 まあ流石に王太子であり未来の国王となるのだから俺の学びの時間や少しずつではあるが、執務をこなす時間は免除された。


 そしてキャシーはある事を俺へ強要する。


 それは貴女へ月に一度しか逢わない事。

 また貴女を必要以上に、自分よりも愛さない事。


 正直に言って最初の計画通り貴女へは表立って良好な関係を築かずに適度に距離を置こうと決めてはいたのだ。

 その方が計画も早くそして順調に進むだろうと思ったからね。

 でもせめて月に二、三度は愛しい貴女へ逢いそうして貴女へ逢う事によりこの茨の生い茂った道を生きていく為の癒しを求めようとしたのにだっっ。


 キャシーはそんな俺のささやかな望みさえも見事に打ち砕いていく。


 しかしまだそれは今から思えばまだまだ可愛いものだったのだ。


 それを思い知ったのはその五年後の成人を迎えた夜の事だった。

 皆が寝静まる深夜に俺の寝室へやってきたキャシーが俺との肉体関係を強要してきたのは――――。

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