第33話報告

私は衛兵の詰め所で女性達と別れ、冒険者ギルドへ向かっていた。

 大道りを歩いて居ると、不安そうにしている人とすれ違ったり、井戸端会議をする奥様方と擦れ違った。

 奥様方は眉を顰め、やっぱり不安そうだった。

 奥様方とすれ違った時、話している内容が聞こえてくる。


「や~ね~、ゴブリンが街道に出たんですって、しかも大群で」


「街道が封鎖されちゃうと、食料が上がったりしないかしら?」


「今のところは出ていないけど、商人の馬車が何台も襲われたんですって」


「それじゃ、食料の値段上がっちゃうのかしら?今のうちに買っといた方が、良いかもしれないわね」


不安そうな奥様方の話を聞きながら、早めに討伐出来た事を冒険者ギルドに知らせて、ギルドからも正式に討伐の発表をしてもらわないと。

 衛兵の方からも、討伐の情報は発表されると思うけど、一応冒険者ギルドからも発表してもらお。

 冒険者ギルドに行った後は、商業ギルドにも連絡に行こうかな。

 私は歩きながら、これからの行動を考えながら、冒険者ギルドに向かった。


冒険者ギルドに入ると、此処も不安そうな雰囲気が漂っていた。

 ギルドに入ってきた私を見つけたレインさんが、顔を輝かせ笑顔になった。

 他のギルド職員達も、一様に安息した雰囲気があふれ、さっきまでの雰囲気が吹き飛ばされた。


「こんにちは、ただいま戻りました」


私が話しかけるとレインさんは、笑顔でお辞儀をして。


「お帰りなさい、ゴブリンの集落はどうでしたか?」


レインさんの質問に、私は簡単な状況を説明した。


「ゴブリンの集落は壊滅させました。

 上位種はゴブリンキング、ジェネラルにチャンピオンと上位種かなり居ました」


「それはご苦労様でした、こちらの損害は有りませんでしたか?」


レインさんが心配そうに聞いてきたので、私は笑顔で。


「ええ、有りませんよ。

 今は冒険者達で、集落にまた住み着かれない様に、壊してる所です。

 私は捕まっていた人を、町に護送する衛兵さん達と一緒に、一足先に帰ってきた所です」


私の説明を聞いてレインさんはまたお辞儀をして。


「そうですか、ご苦労様でした」


私の説明を聞いたレインさんは、他のギルド職員に指示を出し始めた。


「私は商業ギルドにもこのことを知らせてきますね」


私が話しかけるとレインさんは深く頭を下げ。


「ありがとうございます、よろしくお願いします」と答えた。


レインさんは私にそう言うと仕事に戻った。


よし、次は商業ギルドね。

 商業ギルドに向かうため、冒険者ギルドを出る。

 さっきまでの不安そうな雰囲気が大分和らいでいた。

 衛兵から、ゴブリン集落の壊滅が伝わったのかしら?辺りを見回しながら商業ギルドに向かうと、何人かで集まって話している人をよく見かけた。


商業ギルドに入ると中は喧騒に包まれていた。


「だから!その値段で麦は売れん、買取値をもう少し上げて貰わんと」


「麦はこの価格と決まっているはずです、値上げ交渉をするのでしたらお引き取りを!」


どうも南の街道が封鎖されてるせいで、食料を高く売りたい行商人がいるみたい。

 私がカウンターに近づくと係員が、笑顔で対応してくれた。


「こんにちは、今日はどういったご用件でしょうか?」


「今日はゴブリンの大量発生の件で報告に、ゴブリンはすでに討伐されましたので、商人の皆さんに通達お願いします」


私の話を聞いた係員さんは直ぐに紙に私の報告を書き他の係員さんに渡していた。


「ご報告ありがとうございます、他には何かご用件は御座いますか?」


「ギルドマスターのローマンさんとの契約でこちらを」


私はティーカップを出す、それと一緒にケイン硬貨とポーションも10本出して係員さんに渡すと、其々別のトレーに乗せ、他の係員さんが持っていく。

 私のギルドカードを受け取った係員さんは直ぐ硬貨を用意して革袋に入れて渡してくれた。

 私が革袋の中の硬貨を確認すると、10000ローンほど多い。

 私が首を捻っていると、係員さんが。


「今回ゴブリンの件を報告していただきましたので、10000ローンほど情報料として支払われています。

 今、見ての通り食料の値上げを要求する行商人が居まして、マリア様の情報が無かったら私共もかなり損失が出ていたと思われます。

 ですので、情報料を払っても、被る損失に比べれば安いはずですので、お受け取りください」


私はなるほどと納得して受け取った。

 そして、早々に商業ギルドを出ることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る