第21話そんなに豪華?
私がアイナちゃんから、自分の部屋の鍵をもらい、部屋に行くために階段に近づくと、へインさんが声を掛けてきた。
「ヨランから聞いたんだが、嬢ちゃん今日、当たり屋にあったんだって?」
「そうなんですよ、本当に助かりました」
私がお礼を言うとへインさんは笑顔になってから。
「気を付けるんだよ、嬢ちゃんの格好は豪華だからな」
私は言われた意味が解らず聞き返してしまった。
「え?そんなに豪華ですか?」
私が訊くとへインさんは真剣な顔で。
「金属糸でそんな豪華な刺繍してあったら金持ちだと思われるだろう」と言ってきた。
え?そんなに豪華かしら?私の装備で一番豪華なのは、カイジンさんの作ってくれた装備だけど他の装備も豪華な装備は結構あるのよね。
でも地味な物ってなると、あ、あった、フィンランドの民族衣装のカンサリスプクこれならこの町の人たちの格好と余り変わらない様に見えるかも。
「ご忠告ありがとうございました。できるだけ買い物とかする時は他の服を着ますね」
私が笑顔で、そう答えると、へインさんは指で頬を掻きながら。
「それなら、大丈夫そうだな」
私はへインさん達と離れる。
自分の部屋へ行くとストレージからカンサリスプクを出してハンガーにかけて確認してみる。
白いシャツにカラフルなストライプのスカート、赤色のチョッキの前を、紐をクロスさせながら通して止めてあった。
これなら大丈夫よね?後でアイナちゃんにでも見てもらって確認してもらおうかな。
確認し終わった私は、夕ご飯になるまでポーションの移し替えをして過ごした。
中級ポーションをせっせと移し替えて、夕ご飯の時間になったので、どうせならとカンサリスプクに着替えて食堂に向かってみた。
食堂に入ると、ナタリーとアイナちゃんが一瞬、誰か分からなかったみたい。
驚いた顔がちょっと面白かった。
私はテーブルに着くとナタリーさんがトレーに乗せた夕食を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
私がお礼を言うとナタリーさんはトレーを置きながら。
「どうしたんだい?法衣じゃ無いのかい?」
私の服を見て質問してきたナタリーさんに私は。
「さっき、へインさんに、豪華すぎて絡まれると言われたので。
私の持っている服の中で、一番地味な服を着て見たんですが、どうですか?」
私の質問にナタリーさんは。
「そうね~確かに、金目当ての人には、絡まれないかもしれないけど。
別の意味で絡まれそうね、普通の町娘と勘違いされそうね」
ナタリーさんのこの答えに、なるほどっと納得してしまった。
でもどうしよ~、お金目当てと私?目当てどっちにした方が良いかしら?う~ん、断りやすいから、いつもの装備にしようかな?せっかく新しい服出したけど、やっぱりいつもの服にしよ。
私はナタリーさんとの話を終わり、夕飯に手を付け始めた。
今日の夕ご飯は、オーク肉と野菜の炒めものにスープ、後はコロア果汁の水割りでした。
野菜炒めには、ニンニクと塩でのシンプルな味付けだったけど、かなり美味しく感じた。
スープは出汁がイマイチな、後ちょっと惜しいけどお昼のスープを飲むとかなり美味しい。
後はお気に入り、コロア果汁の水割り、私はい〇は〇って呼んでる。
私は夕ご飯を食べ終わると、自分の部屋に戻ろうとしたらナタリーさんに呼び止められた。
「マリアちゃん、アイナがまた御菓子貰ったみたいでいつも悪いね」
ナタリーさんがすまなそうにあやまてきた。
「いえ、いいですよ私があげたくて、アイナちゃんにあげてる所もありますから」
「でも今日は家族の分まで貰っちゃって」
それでもナタリーさんはすまなそうにしているので。
「今日のお菓子は事故が起きない物でしたので」
私は苦笑しながらそう呟いた。
食堂から帰ってきた私は、ポーションを詰め替えながら、今後の事を考えていた。
取り合えずは、毎日ポーションを詰め替えながら、商業ギルドに売りに行くことよね。
後は冒険者ギルドだけど、多分パーティー勧誘は、あのボックスが居れば止まってくれると思うけど。
そのボックス自体がね~、よしこれ以上絡んでくるようなら条件つけてPVPでボコボコにしちゃおう。
初対面のあの態度と周りの態度で、何となくあの冒険者ギルドではボックスが一番強いのかもしれないわね。
一度ボックスには上には上が居るってことを解らせてあげないとね。
回復職の私に、攻撃返されちゃう戦士なんて、たかが知れてるでしょ?
そうと決まれば、明日ボックスには地獄を見てもらいましょ。
私は悪い笑みを浮かべ、ポーションの詰め替え作業を終わらしてベッドに入るのだった。
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