第13話
俺が動きやすい服装に着替えて運動場へ出ると、すでに俺より先に出た何人かは準備運動で身体をほぐしている。
ボーっと立っているのも時間の無駄だから俺も身体をほぐすかと思い、前世で朝起きた時にやっていた動作を始めた。
「「「「「…………」」」」」
どういうつもりだ?
俺が準備運動を始めたら一気に視線が集まってくる。
試しに周りを見ると視線がそらされ、俺が準備運動に戻ると再び視線が戻ってきた。
……気にしたら負けだな。
そういうものだと思っておこう。
◆◆◆◆◆
少しして予鈴が鳴り実技の授業が始まった。
実技は複数クラスの合同で行われており指導役の教官が10人いて、さらに教官の補助として上級生が20人いる。
内容は……、なるほど異能力を制御するための訓練と実戦に近い形式で対異能力者を想定した模擬試合か。
まあ、いくら異能力をもって生まれたとしても生まれた時から戦える奴はいないし、戦乱の時代だった前の世界と違い実戦の場はそこまで多くないという事を考えれば安全な学園で経験を積ませるのは当然といえば当然だな。
「よし、全員理解したな。各級ごとに分かれて1対1を行う。時間を無駄にしないために迅速に行動しろ」
俺は教官のもっともな言葉に感心しつつ、
そしてすぐに
◆◆◆◆◆
数試合見ていたが
誰もが何かしらの武術を修めているらしく、前世の同年代よりも洗練されている。
特に俺とは違い武器を作り出せない者は格闘で対武器戦を行っているのも興味深い。
しばらくの間、興味深く各試合を観察していたのだが問題が出てきた。
それは…………俺も戦いたくなってきたという事だ。
俺自身は戦闘狂ではないと思ってたんだが…………仕方がない。
俺は立ち上がり誰もいない隅の方へ歩いていく。
すると、教官が慌てて声をかけてきた。
「お、おい、
「1人で身体を軽く動かそうと思ったのですがダメですか?」
「……激しく動くなよ」
「はい、わかっています。それでは」
ゴウッ!!
歩き出したところで、俺に向かって炎の弾丸が飛んできたため俺は黒い木刀を出現させ叩き斬る。
俺に切られた炎の弾丸の余波が広がる中、飛んできた方を見ると予想通りの男が立っていたので、俺はその男に呼びかける。
「授業中に何か用ですか? システィーゾ」
「身体を動かしたいのなら、俺と戦え」
「僕はあなたと戦った後なので戦う事を禁止されています」
「そうか……、それなら無理やり戦うだけだ」
システィーゾが身体に炎を纏いながら俺に向かってくる。
このままシスティーゾと戦い始めるのは不味いから逃げようとも思ったが、どう考えてもシスティーゾは諦めずに追ってくるはずだから、俺は迎え撃つと決めて構えた。
システィーゾもそんな俺を見て、身体から発する炎の量を増しながら俺の方に寄ってくる。
「お前達、待て!! 勝手に私闘を始めるのは禁止事項だ!!」
「「…………」」
実技担当の教官の1人が何か言っているが、すでに俺とシスティーゾは相手に勝つ事しか考えていないため無視して、どんどん近づいてく。
俺達はお互いの間合いの1歩外で立ち止まると構えた。
そしてシスティーゾが右手に炎を集中させて殴りかかってきたのを合図に、俺達の戦いが始まる。
しかし、その戦いはすぐに終わった。
なぜなら……。
「うーん、今年も実技の授業は問題が起こるねえ。不測の事態に備えていて良かった良かった」
補助についていた上級生の1人が、俺の木刀とシスティーゾの炎を纏った右拳を氷で受け止めていたからだ。
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◎後書き
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