第4話

「ちょっと何してんのよ、服に汚れがついちゃったじゃない。どうしてくれんのよ」

「すみませんでしたお客様。クリーニング代はこちらで出しますのでどうかお許し下さいませ」

何やらウチのスタッフが客と揉めている。なっちゃんだ。すれ違い様に惣菜パンを落とし、客にそれが当たりその弾みで服を汚してしまったらしい。なっちゃんもツいていない。

「これはね、イタリアの本店で買ったの。しかもオーダーメイド。一点物なのよ。この世に二つとない物なの。まったくどうしてくれんのよ。ちょっと土下座しなさいよ」

マジで何か揉めてるみたい。しょうがねえな。

「すみません、お客さま。どうかお許し下さいませ。彼女は、まだ入ったばかりの新米なものでして、私共の指導がまだ行き届いていないばっかりにお客様に大変なご迷惑をおかけしたみたいで、誠に申しわけございません。今日のところはどうか平にご容赦を。お題は勿論頂きませんし、クリーニング代もお支払い致します。どうかここは一つ、それでお許し頂けないでしょうか?」

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