ネタIF プリン盗難事件【問題編】
※ エイプリルフール企画的なIF作品です。
推理可能な形のミステリーには仕上げましたが、あくまでもIFなので本編との整合性は一切無視でお願いします。
(性質上、最低Chapter1読了後、できればChapter5まで読了後に読むことをお勧めします)
◇◆◇【釜瀬 米子】◇◆◇
今日は魔法少女の懇親会。森の奥の洋館に集まって、親交を深めようというイベントだ。
メンバーは十三人。ウチの他には、空鞠さん、色川さん、桃井さん、神園さん、神子田さん、雪村さん姉妹、古枝さん、猪鹿倉さん、棺無月さん、萌さん、唯宵さん。みんなすごそうなオーラを纏っている。
ただの食いしん坊のウチとしては場違いな気がしないでもないけど、頑張らないと先輩に笑われちゃうし……! よし、頑張ろう!
と、そんなこんなで始まった懇親会はごく普通に進行した。
盛り上がるイベントを挟みながら、自己紹介やら何やらをして、互いのことはそこそこ把握できた。
このイベントは泊まり込み行事のため、色んなことをしたつもりでも、まだ夕方。時間はたくさんある。でもそろそろご飯の時間だ! そろそろお腹が空いてきちゃってたから、楽しみだ。カレーが出る予定って聞いてるし、たくさんおかわりしよう。……あ、もちろん、他の人の迷惑にならない程度にだけど。
食堂でのイベントに参加しながら、夕食の時間を待つ。すると、何者かの手によって食堂の扉が開かれた。
「少し、失礼しますよぉ」
なんか、息切れしたように話す男の人だった。しかも、なんか変な角とか生えてるけど……。魔法少女じゃない……よね?
「すみませんねぇ。楽しみにしていたプリンをぉ、こちらに置き忘れてしまいましてねぇ。……おや、見当たりませんねぇ。おかしい」
彼はぶつぶつ呟きながら、あちこちを歩き回る。
そして、テーブルの下に頭を突っ込み、そこで大声を上げた。
「――うぉおおおおお!? た、食べられているだとぉ!? ば、馬鹿なぁ! ワタシの定価1800円の超高級プリンがぁ……!? こ、この料理長たるルナティックランドのぉ、プリンを奪うとはぁ……皆さまお耳を拝借! これよりぃ、プリンを食べた馬鹿者を探していただきますよぉ! 犯人が見つからなければ全員夕飯抜きぃ! 犯人が見つかればぁ、皆様にはお礼を、犯人にはわびしい夕飯の刑ですよぉ!」
「えっ……えええええええええ!!!???」
なんか、そういうことになった。
◇◆◇
十三人、席について状況を確かめる。
プリンが入っていたと思しき空の容器は、テーブルの下、中央辺りに置いてあった。プリンを無くした本人、ルナティックランドさんの証言によると、プリンは料理を運ぶベルトコンベアの先に置いてあったとのこと。
プラスチックスプーンも付属していたため、プリンさえ盗めば誰でも食べられる状況にあったらしい。
https://kakuyomu.jp/users/aisu1415/news/16816452221409745325
ベルトコンベア前を人が通ったタイミングは、部屋に入ってきて座席につく時のみ。それ以降、誰もベルトコンベア前を通らなかった。
この時点で、ベルトコンベア前を通らずに席につけた色川さん、空鞠さん、桃井さん、私、神園さん、神子田さんは潔白となった。
また、目撃証言により、雪村さん姉妹はベルトコンベア側ではなく入り口側から回って席についたと判明したため、その二人も潔白。
この時点で容疑者は、猪鹿倉さん、古枝さん、萌さん、棺無月さん、唯宵さんの五人にまで絞られていた。
「お、オレじゃねぇからな! 確かに一番近くだけどさ」
「わ、わたくしでもありませんよ?」
「みゃーもちがうにゃー!」
「あーしの目見てよ。嘘ついてる人の目じゃないでしょ?ヾ(@⌒ー⌒@)ノ」
「ふっ、我が盗み食いなどという意地汚い真似をするものか」
この時点で、容疑者たちは好き放題に潔白を主張し始める。
議論が崩壊したことで、潔白証明を得た人たちも勝手に話し始めた。
「困ったね。これ以上は詰めようがない」
「で、でも接理ちゃん、早く犯人を見つけないと……」
「面倒ね。彼方さんは、何も思いつかない?」
「まだ情報が……夢来ちゃんは?」
「わ、わたしも、情報が足りないなぁとしか……」
「もう
「……それでごはん、たべれる?」
「まあ実際、誰が犯人か完璧にわかるわけじゃないし。要するに、怪しい奴を一人突き出せばいいんでしょ?」
真面目に犯人探しをしようという空気は、いつの間にか霧散していた。
「はぁ!? だから、オレじゃねぇんだって!」
「わ、わたくしも確かにお腹は空いていますが、そのようなはしたない真似は致しません!」
「あ、その過剰反応。さては図星?( ̄д ̄)」
ウチはどこの会話にも混ざれずにオロオロと事態を眺めているばかりだった。
そこでふと、違和感を覚えた。
本当に、ただベルトコンベアの前を通ったというだけで、犯人が決まっちゃうのだろうか。そうじゃないはずだ。だって、ただ盗んだだけなら……。
――そう、そのはずだ。間違いない。
だとしたら、犯人って……。
少し、迷ってしまう。ウチなんかが発言して、迷惑をかけてしまわないか。
だけど……。猪鹿倉さんは今、すごい困った顔をしている。古枝さんは、平気そうに見えるけれど……どことなく、不安そうだ。もしかして、無理をしているのだろうか。
だったら――ウチだって魔法少女なんだ! 困ってる人がいるなら、助けないと!
「あ、あの……みなさん!」
「釜瀬さん? どうしましたか?」
「いえ、あの、一つ気になったんですけど。プリンの容器って、机の下――しかも、中央にありましたよね?」
「そりゃそうだけど。だから、端の席の二人は犯人じゃないって? 投げれば誰でも置けるでしょ(-ω-)/」
「あぅ……そうじゃなくて、誰も、机の下に引っ込んだりしてませんでしたよね?」
「まぁね。あーしの記憶にある限りは、わざわざ潜り込んで容器を置きに行った馬鹿はいなかったかな。それが?(=_=)」
……自己紹介の時、棺無月さんは映像記憶的な能力を持っていると言っていた。
少なくとも、視界内で姿を消した人物がいれば、棺無月さんは後から気が付くことができる。
たとえ、そのときは魔法で誤魔化せたとしても。
だったらやっぱり……犯人はあの人だ。
「ウチ、犯人がわかりました!」
「犯人がわかったって……ほんと、米子ちゃん!」
「た、たぶん……ですけど。あの魔法がウチの思った通りの使い方ができるなら」
https://kakuyomu.jp/works/16816452218692358344/episodes/16816452218814511719
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます