第3章 4 婚約破棄を決めた日
その日の夜、夢の世界で私はロザリアを叱責していた。
「ロザリアッ!駄目じゃないのっ!」
「はいッ!すみませんでしたっ!」
「貴方ねえ・・今日の分のノルマのエアー縄跳び。1回しかやってないじゃないの?!駄目でしょう?1日3回やりなさいって言ってるのに・・・。」
「うう・・・ごめんなさい・・・。」
「いい?スリムなプロポーションは1日にしてならず!なのよ?それをよ~く踏まえておくのよ?あとはねえ・・・。」
私は腕組みをするとロザリアを見た。
「・・ジョバンニとはお別れよ。」
「・・へ?」
ロザリアが間抜けな声を出した。
「聞こえなかったの?ジョバンニと婚約破棄するって言ったのよ。」
「え・・ええええっ?!な・・何故ですかっ?!」
ロザリアが詰め寄ってくると言った。
「里香さんっ!彼は私の婚約者なんですよ?やっと私に興味を持ち始めてくれたみたいなのに・・婚約破棄するなんて、あり得ない話ですよっ!」
「何言ってるのっ?!まだそんな事言ってるわけ?!貴女ねえ・・ジョバンニに何て言われたか忘れたの?お前なんか死ねばいいって言われたんでしょう?!挙句にセレナからは毒を渡されて・・死にかけてんのよっ?!彼らは犯罪者よっ!いい?もし仮にジョバンニと結婚すれば・・・たぶん貴女はハネムーンの翌日には遺体で発見されているわよっ?!」
「ええええっ?!そ、そんなぁ・・・。」
「ロザリア、貴女まだ分からないの?ジョバンニはお金目当てで貴女と結婚を考えているんだよ?しかも最近私が考案した洗顔用へちまスポンジがいい感じで売れて収益が上がって来ているでしょ?しかも馬車のゴムタイヤを考案したアイディア料としてロイヤリティを貰うことになったし・・・ロザリアの個人収入が右肩上がりになってきてるんだから。ジョバンニはそれを狙っているに違いないのよ?」
「ええっ?!ま、まさか・・・!」
ロザリアはショックを受けている。しかし、ここまで言わなければロザリアはあの間抜けなジョバンニと婚約破棄をしないだろう。それに実際の処、ジョバンニは以前とは違い、ロザリアに興味を抱いている事は良く分かる。もしくは本当に好意を抱いているのかもしれないが・・・私から言わせると、一度でも殺意を抱かれた相手は絶対信用できない。出来るはずかない。またいつ気持ちが変わって、今度こそ本当に殺されてしまうことになるかもしれない。
「いい、ロザリア。普通に生きて・・・老衰で長生きしたいなら・・・婚約を破棄するしかないよ?寝首を掻かれたらどうするのよ?」
「そ、そんな・・・!」
ロザリアは自分の首を押さえて小刻みに震える。
「どう?長生きしたい?」
私が問うと、ロザリアはカクカクと首を縦に振る。
「よし、決まりっ!」
「はい・・。」
ロザリアは残念そうに俯いて返事をする。う~ん・・・・。なのにロザリアはちっとも幸せそうに見えない。一体何故だろう?いじめだって無くなったし、クラスメイト達からも慕われるようになった。あのセレナですら手のひらを返したかのようにロザリアと仲良くなろうと必死にアピールしてくる。
明らかにロザリアを取り囲む環境は良くなったのに・・
なのに何故?!
何故今目の前にいるロザリアは少しも満足した顔に見えないのよっ?!
折角これだけの美貌にスタイルも抜群い良くなったと言うのに・・。今だって私の目の前で憂いに満ちた顔でため息ついてるし・・・。
これではいつまでたっても私はロザリアから解放されず、元の世界へ戻れないじゃないのっ!
でも今は穏便?に婚約破棄出来る方法を探すのが先決だ。
セレナが今ロザリアに近付いてきているのも背景にはジョバンニがいるからなのかもしれないし。
何としてもロザリアの命と財産をあのジョバンニから守ってやらなければ!
私は心に誓うのだった―。
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