Warning!

魔王城、暗黒会議!

 魔王城、暗黒会議室――暗闇にうごめく九つの影!


 薄暗い部屋の中は一触即発の空気に満ちており、その場にいる誰もが只ならぬ雰囲気を放っていた。

 それもそのはず――彼らは魔王十壊衆まおうじゅっかいしゅう

 センジュゴリラが撃破されたという報告を受け、急きょ招集されたのだ。


「……皆さん、主要国攻略のお忙しい最中、お集まりいただきありがとうございます。既に聞き及んでいると思いますが……センジュゴリラがやられました」

「シャシャシャ! 情けない奴! 言っとくが俺ァ最初からこうなると思ってたぜ! しょせんは数合わせで十番目に当てがわれた脳筋ゴリラだったってワケよ! シャハハハハ!!」

「粗野で野蛮だけが取り柄の男でした……」

「まったくだギャー。十壊衆の恥さらしだギャー」

「ンゴゴゴゴゴゴ」

「下らぬ! このような報告のために、多忙な十壊衆を呼び出すとは!」

「あのー儂ちょっとそこで筋トレしてていい?」

「……」

「早く帰りたいネズー」

「zzzzzzzzz……」


 思い思いに雑感を述べる異形たち! どれもとりとめが無く、緊張感もない発言ばかりだ。つまり、この場にいる誰もがセンジュゴリラの敗北など、まるで意に介していないということ! いざとなれば、自分が手を下せば良い! 魔王軍の十指に選ばれる実力から来る余裕、そして確固たる自信が彼らにはあった!


「……確かに、センジュゴリラは十壊衆じゅっかいしゅうの中でも最弱でした。しかし今回の件に魔王さまは強く興味を持たれた様子。早急に次の刺客を向かわせよ、とのご意向です」


 その一言で、十壊衆じゅっかいしゅうたちの雰囲気が変わった。


「なんと。魔王さまが直々に……」

「シャハハ……あの方が興味を持つほどか。センジュゴリラを倒した奴ってのは」

「珍しい話もあるもんだギャー」

「ンゴゴゴゴゴゴ」

「下らぬ! このような些事さじに余が出る幕などないわ!」

「フンッ! フンッ! フンッ! フンッ! フンッ!」

「……」

「さっさと次の刺客を決めて帰るネズー」

「zzzzzzzzz……」


「分かりました。そういう事であれば、次は私が参りましょう」


 暗闇の中でひとつ、影が揺らめいた。


「センジュゴリラを倒した程度の相手に、上席である皆さまの手をわずらわせるわけには参りません。どうか、ここは私めにお任せください」

「シャハハ! 相変わらず堅いねェお前は!! まァ好きにしたらいいんじゃねェの!」

「同感だギャー」

「ンゴゴゴゴゴゴ」

「……」

「フンッ! フンッ! フンッ! フンッ! フンッ!」

「zzzzzzzzz……」


「どうやら異論はないようですね。では、よろしくお願いしますよ、シャコナイトさん」

「御意にございます。魔王十壊衆まおうじゅっかいしゅう、第九席――神速刺突のシャコナイト。推して参ります」


 暗闇の中で蠢く影が、深く頭を垂れた。

 その頭部はなんと――まさしくエビそのものであったッッ!!

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