第9話 ポレオ町
「みんなの準備は出来たかい?」
「ええ!」「「「うん!」」」「クッ!」
「よし、じゃあ行こうか!」
今日はメルヴィス家全員で、領内唯一の町『ポレオ町』に行く日だ!
昨日色々とあったエルフェントベアーの子グマは、無事『ミミー』と命名され、カトレア姉さんにぬいぐるみのように扱われている
まぁ、ミミーもそんなに嫌そうでは無いのでいいんだけど、
今は、9月中旬なので、道中の麦畑は、全て刈り入れされた後のため、広い畑はガラッとしている
「この一面に黄金の麦が実ってるところを想像するだけで、なんだか気持ちが安らぐね」
「レイは、ほんとに4歳かい?少し達観しすぎていると思うのは私だけかな?」
「いいえライル、この子はものの感じ方が少し変わってるわ! そんな所も、レイの可愛い所だけどね?」
「ちょっと、俺はどこも変じゃないよ!」
全く、息子に向かって変だなんて失礼な!
「レイはおじさんくさいのよ!」
「でも姉さん、今更普通の4歳の子になっても、変な感じがすると思うよ?」
「姉さんさんはまだしも兄さんまで、俺は普通の4歳児だよ!」
てか、兄さんのがいちばん酷い言い方だけどね、
「私ならまだしもってどう言う事かしら?」
「別にそのままの意味だと思うけど?」
「へぇー、それは私に喧嘩うっ、てこらっ!待ちなさい!」
「待てと言われて待つバカはいないよ!」
「あらあら、また2人でじゃれあっちゃって、本当に仲がいいはねぇ〜」
「カトレアは、レイが赤ちゃんの時からお世話したいお世話したいって言っていたからね!」
いつもどうりのやり取りをしながら、ポレオ町まで続く道を歩いていく
ーーーーーー
「おやっ?今日は一家で視察ですかい?」
「あぁ、収穫祭の打ち合わせと、末息子の紹介もかねてね」
俺たちは、町の手前まで来ていた!
「おやおや、これはどうも、レイモンド様、元気に育っておいでで何よりです」
「俺の事知ってるの?」
「それはもちろんですよ! メルヴィス家に三男が誕生したって、町の中は大騒ぎでしたからね」
「そうでしたか、では改めてまして、レイモンド・メルヴィスです、以後お見知り置きを!」
「ハッハッハ、しっかりした子ですな!何も無いですがいい町です、楽しんでってくださいね!」
「最初くらいはしっかりしないといけないからね、おじさんも頑張ってね」
畑仕事をしている人が多くなってきて、挨拶をしながら歩いていると、町の入口の門に着いた!
「着いたね、僕とレイラは町長のところに行くから、3人は好きにしていいよ! 1人銀貨3枚渡しておくから、好きに使いなさい!」
「「「はーい!」」」
この世界の貨幣制度を説明しよう!
銅貨=100円
銅貨×100 ⇒ 銀貨 (1万円)
銀貨×10 ⇒ 金貨 (10万円)
金貨×10 ⇒ 白金貨(100万円)
という感じだ、お小遣いに3万、さすが貴族だな
父さん達と別れ、カトレア姉さんとニール兄さんが、案内をしてくれている。
「物々交換が多いんだね」
「あぁ、こんな田舎だと貨幣は多くでまはらないんだよ、そりに、これはこれで豊かな証だよ? 今のところは、需要と供給のバランスもとれてるしね!」
「へぇー、面白いね」
「まぁ、商店やら料理屋やらの商売をしてる所は、お金を使うから、皆も多少差はあれど手元にお金が無いってことはないんだけどね」
「そーそー、銀貨3枚も貰ったけど、使い切るのなんで難しいわよ?」
「まぁ、適当になにか買うよ!」
俺達も、各自で街を回るために解散した!
俺は、料理の質をあげるための調味料を探すのだが、目新しい調味料はなかった
それと、町の人に色々と話を聞いたのだが、この町は娯楽がほとんどなく、男たちは酒屋で騒いで、女たちは井戸端会議に精を出すくらいしか娯楽は無いとの事
「これは現代知識を使って不労所得でウハウハ生活も実現できそうだ!」
俺はメルヴィス家の三男で、この家を継ぐのはニール兄さんと一応決まっている!
長男のエルリックは、ここエルミール王国の北東に領地を持つ、スミス伯爵家の一人娘、グレース嬢と婚約した。
カルミール王国の爵位は上から
王家
公爵家
侯爵家
辺境伯家
伯爵家
子爵家
男爵家
騎士爵家
ちなみに騎士爵は、騎士の称号を名するための一代限りの爵位である
男爵家のエルリック兄さんが伯爵家の御令嬢と婚約とは、なかなかの逆玉ということだ!
エルミール王国では、男児は15歳から成人なので、13歳の兄さんはそれまで王都の寄宿学院に通いながら、スミス領の仕事も覚えているらしい
まぁ、俺のように家を継げない男児貴族は、他の貴族家に婿に行くか、普通に働いて生活しないといけないのだ。
俺は婿に行く気などさらさらないので、田舎で暮らすために稼がないといけないからさ、ほとんど働かずに所得を得れる方法を考えるのは当然のことなんだよ!
「まぁ、木材があればできることは多いだろ!」
ということで木工店に来ていた
「いらっしゃい!ん?もしかしてレイモンド坊ちゃんですか?」
「え?そうだけど、なんで知っての?」
「畑仕事してた連中が大騒ぎしてましたからね、この町の子供たちは毎日見かけるんで、知らない顔ってだけで分かりますよ!」
「へー、そうなんだ」
「私はここの木工店の店主、コルトンと申します、今日はどういった御用で?」
「改めて、レイモンド・メルヴィスです、娯楽の玩具を作ろうと思ってね、木材が欲しいんだ」
「娯楽ですか?それはまた面白そうですね!坊ちゃんは売れると思います?」
「まぁ、簡単に作れるけど、一生をかけてやり込めるものだから、売れると思うよ?」
俺が考えているのは、『チェス』『オセロ』『将棋』などの、ルールが難しくない玩具だ、トランプも考えたけど、厚紙がないから諦めた。
「それはまた凄いですな」
「まぁね、俺は婿に行く気は無いから、少しでも稼いでおかないと行けないからさ、」
「そんな先のことまで考えているのですか?」
「そ、だからジュードにも売り込もうと思ってるけど、まずはこの町に行き渡らせないと行けないから、町の需要分はコルトンにお願いするよ!」
ジュードとは、ここメルヴィス領に唯一定期的に来てくれる行商人の事だ、王都にもコネがあるため、流行らせるならジュードに頼るのが効率的だ
「坊ちゃんは本当に4歳ですか? いやはやメルヴィス領の今後が楽しみです、この町の分はお任せ下さい!」
後日、見本が出来たら持ってくると約束して、俺は木工店を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます