第138話 2人の相手は2人では足りない2

 俺の家に結崎、石見先輩。長宮さんがやって来てしばらく経過した


 夕食は、もう言わなくてもいい気がするが。何で突然友人らが来ることをばあちゃんに伝えたはずなのに、肉やらやらと豪華なものが揃っているのかだったな。

 人数多めなのも関係なく。普通に全員分用意されていたすごさよ。どこにばあちゃんは食材を隠し持っているのか。ま 俺にはわからないよ。これある意味大きな謎だよな。マジで隠し部屋とかるのだろうか?って考えてしまうよ。


 ちなみに夕食時。普通に結崎はいつも通りばあちゃんの手伝いをしてくれていたのだが。


「ねえねえ。後輩くん。ゆえちゃんいいお嫁さんだよ。うん」


 俺の肩に手を置きながら話しかけているのは石見先輩。


「だよね。なんかゆえ。もう完全に馴染んでるんだよね。この2人もういろいろやったでしょ」


 その反対側で俺の腕を人差し指で刺しながら話かけてきているのは長宮さんだ。


「やっぱり事後!って、それは――さっきの後輩ちゃんと後輩くんじゃないの?」

「はい!?私!?えっ、寝てただけ――なんだけど……」


 なんか知らんが両サイドで盛り上がらないでいただきたい。


「あの。一応お食事——前か。でもお静かにお待ちください」

「後輩ちゃん。後輩くんに怒られたよ」

「松尾君は照れているだけですよ」


 だから俺を挟んで話すなである。ちなみにじいちゃんがニコニコお酒を飲みつつ見ている――いや、見てないか。


「はぁ、こっちに結崎早く戻って来て2人の相手してくれないかな」


 夕食を食べ出すまでなかなか大変な時間だったよ。マジで。

 ちなみに、食べ出したら食べ出したで石見先輩も、長宮さんも満足。満腹とでもいえばいいのか。ばあちゃんの料理により。ニコニコになり。ちょっとだけ大人しくなったな。その時だけ。ここ大切。その時だけだ。


 夕食が終われば、俺達は俺の部屋へとまたやってきていたのだが。俺の部屋に4人は多すぎる。人口密度が高い。そして今回はメンバーが悪いというのか。


「で、で。後輩くんとゆえちゃんはどうなるの?どうなるの?」


 騒いでいる先輩。


「——結崎。このネタ何回目?」

「もう数えれない。もういろは先輩……」


 呆れている結崎。


「ゆえー。とりあえず付き合った宣言とチューして」


 さらに騒いでいるクラスメイト。


 混ぜるな危険レベルで組み合わせてはいけない2人が居るため、もう大変である。


「奈都も黙る!」

「……松尾君。ゆえが怖いー。守ってー」

「俺に振らないで」

「後輩くんー」

「松尾君ー」

「あー、なんなの……これ――」


 超大変。いろいろなところから声が飛んできているというか。いじられまくっている状況だった。


「ホント松尾君ごめん。私が止めれなくて――」


 そして今は俺の横で何故か謝っている結崎――って、俺と結崎では石見先輩長宮さんコンビの暴走をなかなか止めれない。全く止めれない。という時間が続いていたのだった。

 そして部屋が狭いということもあってか。長宮さん石見先輩との距離も近く。なんか居心地悪いしね。ってか、現状説明しておくと。俺と結崎は床に座り。長宮さん石見先輩が俺のベッドで寝転がりながら、ずーっと、俺と結崎をいじっているという感じだった。ホント何をしているのかだよ。


「ってかさ。後輩ちゃん」

「はい?何ですか」


 俺と結崎が疲れ切っていると今度は石見先輩と長宮さんで話し出したのだが――いやな予感しかしない。


「後輩くんとゆえちゃん2人でイチャイチャしたかったんじゃないの?」

「「そんなことないですから」」


 結崎もちゃんと警戒していたのか同じタイミングで2人の会話に突っ込んでいた。それがまた2人を楽しませる結果になったのだが。


「おー、またハモってる」

「仲良しだなー。って、ゆえちゃん。マジで後輩くんと2人っきりでイチャイチャしたいなら。私たち撤収するよ?後輩くんのおばあちゃんが向こうの空き部屋使ってもいいって言ってくれていたし」

「いろは先輩はもうホント何勝手な事ばかり言ってるんですか。そんなことないです。って、私たち3人が邪魔なような――ここは松尾君の部屋だし……」

「ゆえー、なんか言ってるけど本音は?ねえねえ」


 ニコニコ聞く長宮さん。マジで楽しんでるよ。


「奈都も黙る」

「絶対ゆえちゃんイチャイチャしたいでしょ?」

「したいね。うんうん。ゆえは松尾君大好きだから」


 言いたい放題だな。何が起こっても俺知らんぞ?とか思っていると。


「——あの。松尾君?」


 急にトーンの低い声で結崎が俺に話しかけてきた。


「えっ?」

「ちょっとだけ――3人にしてくれないかな?」

「——はい」


 俺は結崎に頼まれ即素直に従ったのだった。何故即かって?いや結崎の目がね。今までに見たことなかったというか。表情は笑顔なんだけど、目の奥で何かお怒りモードが見えたため。俺はそそくさに自分の部屋から退散したのだった。


「——2人ともいい加減にして!」

「……」


 俺が出て数秒後。結崎の雷が落ちただった。俺はしばらく暑いけど外を走っていようかな?近くに居ない方がいいよな?などと思いつつ。やっぱり結崎も怒ると怖いのか。などと思っていたのだった。

 ちなみに俺は暗い中、田園駅まで2往復くらい運動をしていたのだった。


 普段あまり怒らない人を怒らすと怖いんですよ。

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