LIFE IS SPIRAL
ジーニー
第1話 8月8日
8月8日の午後8時。
俺……
「ただいまぁ!」
「……おかえり」
兄の
「おい、掃除くらいしとけよな」
「ごめんごめん」
散らかった部屋を一瞥して蒼李が愚痴をこぼす。確かに、毎日働いている蒼李より大学生で暇な俺が掃除するべきだな。
「これとか……もういらないだろ」
続けて、蒼李は床に置かれた季節外れの白いセーターを掴んで言った。そういや、こんなセーター買ったっけか……。
「まあ、確かにいらないね」
セーターをクローゼットの中に放り投げた。……こうやって雑だから、整理整頓ができないんだろうな。
○○○
時刻は午後11時。部屋が静寂と暗闇に包まれ、遂に眠ろうとした頃。
「……なあ」
「……ん?」
もう寝たと思っていたのに、ソファから蒼李の声が聞こえてきた。
「母さんのこと、どう思ってる?」
「……どうもこうも……どうとも思ってないよ」
「……そうか」
会話はそこで終わった。もう何回目だろう、この話をするのは……。
○○○
ジリリリリリリリリ!
けたたましい目覚ましの音で目覚める。……何で夏休みなのに目覚ましセットされてんだよ、全く。
そう思って携帯の時計を見ると……
「あれ?」
6月8日の午前7時。
あれ、6月8日?昨日は8月8日だったよな?携帯がおかしくなったか?いや、でもそんなこと……。
立ち上がり、カレンダーを見ると……6月だ。昨日は確かに8月のカレンダーになっていたはずなのに。試しにテレビを点けても、6月8日のニュースを垂れ流されていた。キャスターは何の疑問も持たずに原稿を読んでいる。
……兄はもう仕事に出かけている。取り敢えず誰かに話を聞いて確かめに行こう。今日が確かに6月8日なら、大学で授業がある。
「行くか……」
俺は街に出た。
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