第3話

「俺、この猫、飼おうかな...」


「え」


「実はさ、俺の住んでるマンション、ペット飼ってもオッケーなんだよね。

それに、今、両親は海外出張中で、

家に一人だから、自由がきくんだ」


「そ、そーなんだ!」


この日、俺は。


学校に向かっていたが、タキシードを連れて家までUターンした。

とりま、餌をあげよう。

お腹を空かせているみたいでぐったりしてるし。

もしかしたら、喉も乾いているのかもしれないし。


だから、川に近付いてしまったのかもだし。

俺はチャリのかごの中にタキシードを入れて

帰途に就いた。


林ユーコも、

「タキシードが、心配だから、山吹くん家に行く!」


と言ったけど、

真面目な女子生徒が学校をサボるのはよくないよ、と諭して、ぶーたれる彼女と別れたんだ。


タキシードは可愛くない顔した猫だが。

俺の買ってきたキャットフードを美味しそーに

食べた。


その姿は中々に可愛かった。



ニャアオオ!


夢中で餌を食べてるタキシード。

俺が頭を撫でてやると、


まるで、ありがとよ、と言わんばかりに鳴いたんだ。


「どーいたしまして」


俺は取り敢えず、猫と会話した。

ま、最も、タキシードの奴は、

どーいたしましての意味は分からないと思うがな。


学校はサボっちまったが、その代わり、

俺はタキシードの世話は一通りしたんだ。

猫用のシャンプーもキャットフードとともに

量販店で買い、タキシード用のトイレも室内に準備してあげた。


やがて夜になり。


俺が自室で寝ようとしてたら、タキシードの奴が、

ニャアーオ!と寄ってきて、


布団の中に入れろ、と言いたげにしてた。


寂しいのか?、それとも布団のなかがあったかくていいのか、よく分からないが今、季節は、肌寒い秋。

俺はタキシードを布団の中に入れてあげることにした。


生憎と。


タキシードはオス猫。


男と寝てるみたいだったが、ま、いいか、

湯たんぽ代わりだ、と思って一緒に寝た。

子猫を保護した

この翌朝。


下駄箱のとこで、


林ユーコが超絶かわいい笑顔でまさかの俺を待ち伏せしてた。


「おっはよ!山吹くん!

待ってたよ!」


あ、朝からテンション上がるぜ...!

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