「夢見る人」深き眠りの七百階段

ニャルさま

ゴリラを飼ってみた

電車に乗っていた私は自分がゴリラを飼い始めたことに気づいた。

まだ小さくて可愛いゴリラの赤ちゃんだ。首輪からリードをつなげてあり、多少は伸縮するものの、目を離すことのないようにしてある。


ゴリラは見る見るうちに成長していった。次第に私の腕力では管理しきれなくなっていく。

電車を降りると、ベビーカーに座っている赤ちゃんに興味を持ち始めた。

大変なことになるといけないと思い、リードを引っ張る。リードは奇妙なねじれ方をしており、地面や壁のあちこちに引っかかっていた。そして、なぜか引っ張ったのと反対の方向にピンとなった。

ゴリラはただ赤ちゃんを可愛がっており大事には至らなかった。


ゴリラは完全に成体になり、私の力ではどうにもならなくなる。

幸か不幸か、その頃にはゴリラと言葉による意思疎通ができるようになっていた。私たちの心が通じ合ってるからだろうか。


腹を減らしたゴリラがその辺のものを取って食べないように、駅前のサンクスに寄る。

ゴリラがほかの奴と駄弁だべってる間に、コンビニの食品コーナーを覗く。すると、直径10センチほどの太いバナナがパックされていた。

ゴリラといえばバナナである。これを買うのが正解だろうか。しかし、安易に過ぎるのも怒りを買うかもしれない。

私はゴリラのもとに行くと、バナナを食べるか尋ねた。すると、バナナを食べたことがないとの返事。ゴリラといえばバナナなんだよ、と教えると、それなら食べたいと答えが来た。

私はバナナを買うことにした。

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