異世界監察官ナーロウ~転移者が暴走して大変な件。もう遅い?まだ間に合うので助けます~

勇者れべる1

第1話#1.異世界転移!

#1.異世界転移!




はぁ・・・等と背中から深いため息が聞こえてきそうな脱力スタイルで下校する寂しい後ろ姿が一人。

俺の名は天野聖(せいではなくひじりと読む)、どこにでもいる普通の帰宅部の高校生だ。

趣味も特技もやりたい事も特にないし、家に帰ってやる事は、ネット見て・動画見て・ゲームやって、なワンパターンな日々。

 

 あ、テンプレ導入なんでもう少しだけみていって下さい、お願いします。

友人曰く「センスもルックスもそこそこ良いし、運動も出来るから頑張れば彼女位はできる」らしいが、正直言って「めんどくせー」が人生なモットーな俺としては、そこまでして彼女なんて欲しくはない。

別にこれは妬みとか嫉妬とかジェラシーとかそんなんじゃなくて、本当に面倒臭そうだから嫌なんだ。

 

 等という思春期特有のやれやれ系な妄想をしていた俺は今、あ、ここで車に轢かれそうになって魔方陣が足下から出て来て転移するんですよ。

車?どうでもいいじゃないですか些細な事は。


魔方陣の放つ光と共にてんやせい、じゃなくてひじ・・・ひじ・・・ひじき?


(十秒程の沈黙)


・・・H少年の身体が光に包まれ粒子になった刹那、少年の姿は跡形もなく消えてしまいました。


 「うわあああああああああああ!!!」


光の渦に呑み込まれ、あたふたもがくH少年。

なんの捻りもないB級ゾンビ映画に出て来て最初に死んでしまう脇役の様な悲鳴だが、そんな脇役な様なカスみたいな存在が世界の中心で覇権を叫べるのが異世界転生(転移)の良い所。

べしん!唐突に渦から放り出されたH少年は、唐突に発生した重力に引っ張られ地面と熱いキスをした。


「こ、ここは・・・!」


 辺りを見回すH少年。

地面も天上も壁も全て真っ白。

いわゆる転生(又は転移)の間という奴ですね。


「大丈夫ですか?転移者の方」


H少年が起き上がると声の主の姿の代わりに二つの巨大な山に激突した。


「ふんぐっ!(こ、これは・・・まさか!)」


柔らかくも二の腕の様な弾力があり、ほのかに温かく、いい匂い・・・


ゲームやアニメ、イラストなんかの二次元でしか知らないH少年だったが、そんな彼でも簡単に答えが脳裏に浮かんだ。


そう、おっぱいだ


おっぱいだ


いやこんなのただの脂肪ですよ。

肩凝るだろうし動く時には邪魔だろうし着れる服も減るし何がいいんですかね。

服もなんですかあの袋みたいなの、デザイナーの正気を疑いま―

・・・こほん、少し白熱してしまいました、失礼。

 

H少年がそれがナニかを超速理解で察した結果、

事故だから揉んでもいいよね?or手で触るのはさすがに・・・。

吸うのが自然では?と気持ちの悪い脳内会議を開くH少年。


「あの・・・ひゃんっ!う、うごかない・・・でっ!」


H少年の頭がHだらけになっている所を正気に戻す声の主。

艶のある生々しい喘ぎ声、声だけでも発情してるのが分かる。

まるで声優さんの様な可愛らしくも透き通ったその声に、思わず少年正座してしまう。


「おおおおおおお願いしますうううううう!!!!」


何をトチ狂ったのか、何のお店と勘違いしてるのか土下座し始める主人公。

まあいきなり異世界転移したらパニくりますよね。

え?このシーンになんの意味があるのかって?

ただのテコ入れのえちえちシーンですよ。

まあ規制に引っ掛からない様にソフトですけど。


 「え?・・・あの・・・?」


目をよくギャグシーンである〇〇の様に丸くしている声の主。

それはまあ急に初対面の男が土下座してきたらまあ当然の反応ですね。

で、この女神さまの容姿ですが、よくある可憐なピンクのドレスに金髪に、小学生の幼さが残る中学生の様な顔立ち、不釣り合いな無駄に巨大な胸とは対照的に

小鳥の様な小柄で華奢な身体・・・俗に言うロリ巨乳美少女と言う感じですね・・・あ、この作品の登場人物はみんな18歳以上ですからね、一応。

しかしまあうーんこの特徴がありそうでないルックス。

一番説明に困りますね。

しいて言うならよくある女神様ですね、え?ネタバレするなって?だって、何もない白い部屋に美少女・・・もう皆様察しておられるでしょう?

さあ、ここからはよくある転生・転移の儀式イベントと説明回、後は若干の蛇足気味茶番ですね。


中略


「つまり死人と間違えて転生でなく転移させてしまったと・・・そして魂の枠とやらが埋まったから元の世界に戻せないと」


かなりハードな展開の筈なのにぽかんとしているH少年。

話がトンデモ過ぎて付いていけないのか、よほどメンタルが強いのか・・・


 「あ、俺紅茶はメープルシロップ入れる派なんで」


紅茶を注ぐロリ巨乳女神は突然の要求に慌てつつも手を合わせ叩く。

パチン!という音と同時にキッチンが現れた。

女神はキッチンの方へとことこと歩き、「どこにしまったかしら~」等と呟きながら四つん這いになり探し始める。

一方H少年と言えば机に置いてあるクッキーをバリバリと頬張りながら、ふりふりと動く2つの山を見つめていた。


 「めんどうな事になった・・・」


多分最初しか使わない口癖をつぶやくH少年。

茶菓子食べながらお尻鑑賞会とは・・・このエロ坊主、目の前の危機に対してかなりの余裕である。


 「あ、ありました!」


ようやくメープルシロップを見つけた女神。

彼女が振り向く瞬間、顔を背け視線を泳がすH少年。

今度は視線の先を下の山から上の山へと向ける。

童貞にありがちな無表情になりきれないポーカーフェイスもどきが実にキモいです。


「そ、それでですね、転生して生まれ変わらす事も元の世界に戻す事もできないんです・・・」

「ふーん、それはそれは一大事ですねー」


人の目でなく胸を見て話すH少年。シロップの容器の蓋部分を爪でカリカリと弄りつつ、適当な言葉で対応。

当然である、今彼の全神経は目の前の山に注がれているのだから!・・・はぁ、こんなんでいいんでしょうか。


「な、なので!」


 机に机に乗り出す女神とプルるんと揺れる双子のお山、そして一瞬の瞬きすら許さない少年の真っすぐな眼差し。

女神は話に夢中なせいか刺さる様な胸部への視線に気づいていない。


「あなたには」


ぷるん


「異世界に」


ぷるん


「転移して頂きます!」


ぷるんぷるん


「よろしいですか!?」


「あーはいはいぷるんぷるんぷるん・・・」


「ほ、本当ですか!?じゃあさっそく転移先と能力の選択を・・・」


「はぁはぁ・・・てきとーでいいよてきとーでぷるん」


「え?じゃあ私の方で選んでおきますのでここにタッチを・・・」


「え!?お触りしていいの!?じゃあ遠慮なく」


H少年がタッチしようとした先には女神のたわわなお山が・・・ある訳ではなかった。

目の前には「転移承認」の巨大な4文字が。


「へ?」


 唐突に開く床、底の見えない奈落、無垢な笑顔で手を振る女神。可愛い顔して鬼畜ですねこの娘。

ああそうお約束の異世界転移ですね。さあさあこれから彼はどんな物語を見せてくれるのでしょうか。

 

 一方H少年が落ちるのを見送ると一仕事終えたかの様に椅子に腰かける女神。

自分のカップに紅茶を注ぐと湯気の熱気と香りのハーモニーを鼻で味わいつつ、口へと紅茶を向ける。


「ふぅ・・・良い仕事をした後の紅茶は格別です~。」


カチャンと静かな部屋にティーカップを置く音が響き渡る。その時の表情はまるで穢れを知らない天使の様に


 「なぁーにやっとんじゃあああああああああああ!!!!!」

「ぼえっ!?」


天使の様にあどけの無い・・・少女の笑顔にコントで使われる様なパイがぶちまけられる。

女神の顔は顔面に至る隅々まで白一色。

女神は目に入らない様に目と鼻の部分だけ手で拭い、口の周りのパイをペロリと舐めとった。


「みゃ、みゃずいですぅ・・・」


小道具のパイに砂糖など入っている訳がなく、食べられるが二度と食べたくない、そんな顔をしていた。


「あぁあああ!!!」


響く乱入者の絶叫、顔面にパイ投げされ呆然する女神、ふたつのパイに滴り落ちるパイの乳白色のクリーム、あ、別にこれダジャレとかそういうんじゃないんですよ。本当ただの偶然で・・・


「おい、お主!何故止めてくれんかったんじゃ!ずっとそばにいたんじゃろ!?」


私の肩に掴み激しく揺さぶる乱入者。外見はそう、短髪黒髪濃い緑の軍服姿の微少女、胸は・・・まあ並、ですかね。


「地の文でも聞こえとるんじゃあ!」


ぶんぶんと私の肩を揺さぶる。まるでヘヴィメタのバンドで激しく頭を振り回すかの如く・・・


「だーかーら、そういうまわりっくどい言い回しはじゃなぁ・・・」


ああそうそう、私の外見は白いドレスに白髪美白長身でスラリとした感じで、胸は・・・この方よりはあります。


「わざとか!わざとやっておるのか!」


三度ぶんぶんする軍服の少女。

 

 私だって私だって登場人物として出る以上外見の説明は必要でしょう。

目まぐるしいこの業界、ナレーターも自己主張をする時代ですよ、ナーロウ様。

後ナレーター業の方がワード数多いし儲か


「あ、あの・・・」


「なんじゃ!」


ようやく顔のパイを拭き終えた女神がナーロウと書かれた軍服の少女に恐る恐る話しかける。


「だ、誰と話しておられるのですか?」


一人でエアぶんぶんしてる頭おかしい人でも見たかの様な目でナーロウを見つめる女神。

その澄んだ瞳には白髪美白美脚引き締まった平坦バストにぼんっきゅっぼん!のモデルの様な美女は映ってはいない。

だから止める事もできなかったんですねー。

する気もなかったですが。


「脚色ナレーションも大概にせーよ・・・」


あ、はいすみません。脚をブーツでぐりぐりするのやめて貰えますか


「ナレーション、もとい地の分で会話すると読みにくいから程々にしとけよ」


じとーっと何も無い虚空を見つめるナーロウ。

彼女は一体何者なのか!期待は深まるばかりである!


こんなんでいいですか?

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