第55話 吉田の確認
吉田に帰った俺は内政状況を確認していた。
出発前より開墾を進んでいて、塩の生産も増産出来ていた。
そして、港の建設も進んでおり、順調に開発が進んでいた。
「うん、順調だね。何か問題はあった?」
俺は本多正信に確認する。
「開発は順調なのですが、少々困った事が起きております。」
「なに?」
「寺が騒いでおるのです、ヒロユキ様が神の使いということに反発しておるようで。」
「戦の方便だとか言って誤魔化せない?」
「それが、三河の民からしたら自分の暮らしを劇的に良くしてくれたヒロユキ様は神の使いらしく、寺の求心力が落ちているようです。
そして、寺領の開発が行われない事もあり、周囲との格差が発生しており、寺領の民が不満から寺に文句を言ってる次第です。」
「あらら、でも仕方ないよね?寺に差配は出来ないんでしょ?」
「そうなのですが、人が裕福になっていくのを見てるだけなのは耐えられないのでしょう?」
「欲深いなぁ~それで何か言って来ているの?」
「直接はまだ、ただ援助を欲してはいるのでしょうな。」
俺はふと思い出した事があった、史実の徳川家康は一向一揆で家臣と対立した筈だった、そして、目の前の本多正信は一向衆についた代表的な人物だった。
「なあ、正信、三河は一向衆の勢力が強いと聞いたことがあるんだが?」
「それは西三河ですな、私も入信してますが、東三河はあまり一向衆もとい浄土真宗はあまり広まっていないのです。
天台宗や真言宗が強いですね。」
正信は少し悔しそうに言う、
「正信、あまり宗教に傾倒するなよ。」
「ヒロユキ様!浄土真宗の良さがわからないのですか!」
急に興奮しだした正信に宗教の悪い所を伝える。
「落ち着け、別に宗教が悪いとは言わんが、宗教が武器を持ち、政治に口出ししてくるなら話は別だ。」
「しかし!」
「正信、お前が拝むのは坊主か?神か?どっちだ?」
「それは・・・」
「神を祈るだけなら、俺は何もしない。
一向衆の姿をよく見てどっちが民の為になるかをよく考えるんだ。」
俺は正信が一向衆に行かれては困るので、正信に今一度考える必要を伝える。
頭のいい正信ならわかってくれると信じて諭してみた。
「・・・わかりました、しかし、民の為になるな、私は浄土真宗の味方をします。」
「その時は仕方ないよね、相手をしてやる。」
やはりすぐに宗教から抜け出すことは出来ないようだ。
ちゃんと考えて答えを出してくれたらいいのだが・・・
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