第22話 帰宅
「それでだ、援軍の将だが、今回はワシが行こうと思う、信繁は国元を守ってくれ。」
「はっ!」
「ただ、ヒロユキには来てもらうかも知れんが、ひとまずは飯田に戻り、ゆっくり休め。」
「ありがたきお言葉。」
「うむ、仕えて間もないのに三河まで無理をさせたな、報奨は後日、信繁を通して渡そう。」
「はっ!」
俺とマサムネはこの後、飯田に帰る。
ただ、帰る前に信玄に一言気になる事を言われた・・・
「ヒロユキ、道中気を付けるのだぞ。それと奥方によろしくな、お陰で助かったと伝えてくれ。」
「・・・はぁ?」
「うむ、優れた軍師に相応しい良妻だな!」
信玄が上機嫌で語るので否定がしにくかった・・・
「マサムネ、どういう事だと思う?」
「お前の嫁と言う話か?」
「ああ、考えれるのはミユキさんあたりが何か困った事があって名乗ったのかなと思うのだけど。」
「・・・ユメちゃんの方だったりして。」
「何言ってるんだよ、ユメちゃんはまだ子供だろ?それよりはなんで名乗ったかを心配しろよ。」
「信玄の話ぶりだったら大丈夫だろ?何か功績があったようだしな。」
「でもなぁ~、俺の嫁を名乗ったぐらいだぞ、何かあったんじゃないかと心配するだろ?」
「そうか?普通にお前との関係聞かれて思わず名乗ったとかありそうなんだかな。」
「それこそ、何でだよ。まあ、帰ったらわかるか、マサムネ急ごう。」
「そんなに慌てるなよ。」
飯田が近付いてくると俺達を見る民衆の目が熱く感じる。
「マサムネ、気付いてる?」
「ああ、敵意は無さそうだが何事だ?」
俺達は状況がわからないまま、飯田に入る。
飯田に入るとついに声をかけてくる者も現れた。
「城主さまがお帰りだ!誰か奥方さまに伝えて来い。」
「城主さま、ありがとうございます。お陰で孫が助かりました。」
「城主さまのお陰ですじゃ、なんまんだぶ、なんまんだぶ。」
ついには祈る者も現れた。
あまりの反応に俺達の顔がひきつる。
「マサムネ、急ごう。
状況がわからないと何も出来ない。」
「おう!此処までは怖いな。」
「あと、皆さん!俺は城代です!城主じゃありませんから!」
一応訂正はしたが聞き入れてはくれなかった・・・
城につくと、ミユキとユメが盛清と共に待っていてくれた。
「ミユキさん、何があったの?領民の反応が変だったんだけど?」
ミユキはどこか嬉そうに報告してくる。
「うーん、いろいろあるんだけど、此処ではなんだし、奥で話しましょ、あなた♡」
「・・・そう、それだよ!どういうこと?」
「それも含めて話しましょ♪ねっ?」
「ちょっと、ミユキ!私は認めてないからね。」
ユメは不機嫌そうにミユキに噛みついている。
「ユメちゃん、落ち着いて!」
俺はユメをなだめるが・・・
「お兄ちゃん離して、今、ミユキを止めないと大変な事になるの!」
「だから、何が起こっているんだよ・・・」
俺達は騒がしくしながら奥へと向かった。
何故かミユキが腕を組んできたが・・・
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