赤、青、黄、緑の交わるやつ
18話 ツイスターゲーム
「ツイスターゲームやろうぜ!」
何言ってんだコイツ。そんな目で俺と珠李は舞桜を見た。
「んだよ、その目は! ツイスターゲームやろうぜ!」
「……何の脈絡も無くそんな遊びを提案するとは、一体どういうことなんだ?」
「いや、暇じゃん」
「暇だからと言ってツイスターゲームをやろうなんて話には到底なりえないだろ」
「主人とメイドがいたらツイスターゲームやるだろ」
「どんな人がいても絶対にやらないと思うけど」
「珠李はやるだろ?」
「はぁ。……いいですよ」
珠李は乗り気ではなさそうだが頷いた。舞桜の提案から逃れることが出来ないのは俺たちの常識だが、こんなにもあっさりと降参するとは一体どういう風の吹き回しだ。
——ガタガタ!
舞桜の部屋から物音がした。
「何事だ?」
彼女に尋ねると真顔で「さあな?」と返した。
「それで、ご主人様は参加されないのですか?」
「しねえよ。どうせろくなことにならない」
「そう言って、私たちはご主人様にとって都合の良い存在なんですね。自らが求めるだけ求めて、私たちが求めたら見て見ぬ振りなのですね」
「何の話をしているんだい?」
「ご主人様は、私たちの身体だけが目当てってことです」
「あのなぁ……」
「ここまで言ってもご主人様はこのゲームに参加されないと。弱虫ご主人様ですね。ザコご主人様。ざーこ、ざーこ」
挑発的な視線で俺を見る。コイツ、煽って乗せに来たな。そんなんで俺がくだらない遊びをするわけがないだろ。
「あ、そうだ。優勝者したら、例えガク様だろうと何でも命令できる権利を授与します」
舞桜の一声に「やります」と即答する。
前言撤回。
こんなゲームで舞桜に優勝されたら溜まったもんじゃない。タコ踊りをしながら外を走れとか言うに決まっている。なんとしても優勝を勝ち取らなければならない。というか、この前の麻雀でも似たような権利と取られたばかりだ。なんとしてもここは取りに行くべきだろう。
「そんじゃ、全員参加で決まりだな」
——ガタガタ!
また舞桜の部屋から物音がした。俺と珠李の視線が舞桜に集中する。
「野良ネコでも拾ったわけじゃないだろうな」
「まさか。アタシが拾う訳ないだろ」
「それもそうか」
野良ネコだったら、鳴き声でもするか。
「それでさ、ゲームは3人同時にやるのか?ルーレット回したりするのにもう1人は欲しくないか?」
「安心しろ。とっておきの人材を捕まえているぞ」
——ガタガタガタガタ!!!
「おい!何を拾って来た!!!」
「知らん」
「んなわけあるか!」
*
「ンンン!!!」
大慌てで舞桜の部屋を開けると、ガムテープで口と目を塞がれ身体をグルグル巻きにされた真実さんが捕獲されていた。
「ちょちょっ! ちょっとどういうことだ!」
「近くの茂みから飛び出してきたから捕まえたんだ」
「ポケモンじゃないんだからさ!」
ガムテープをとってやる。
解放された真実さんは大きな深呼吸をして、部屋をぐるりと見渡し、舞桜の顔を見つけるとすべてを理解したようにもう一度大きな深呼吸をした。
「どうなってんのよ……」
「あのぉ、つかぬことをお聞きしますが何があったんですか?」
何があったかは容易に想像できるが、身体のガムテープを剝がしつつ一応聞いてみた。
「急に舞桜に呼び出されて……このマンションのエントランスに来たところで何者かに襲われて……身体の自由を奪われて——このザマよ」
「マミコの身にそんなことが起きていたのか、大変だったなぁ」
「あんたがやったんでしょうが!」
真実さんが自由となった身で舞桜をポコポコと殴りつける。
「それで、どういう要件で私を拉致ったわけ?」
「ツイスターゲームの数合わせ」
「ツイスターゲーム!? あんた正気?」
ごもっともな意見だ。
「安心しろ。マミコは進行役だ。アタシと珠李とガク様でやるんだ」
口が半開きで「えぇ……」という困惑の声を漏らした。
「よっし、人数も集まったところで始めようぜ!」
状況を飲み込めていない俺と真実さんを余所に、舞桜だけがノリノリだった。
<あとがき>
ツイスターゲームって実際にやったことある人いるんか?
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