エクソシスト 母戦慄!熱せん妄の恐怖再び

 熱せん妄事件第二弾です!


 でも前回の長男ではありません。

 そう今回は次男の話です。


 なんなの、男の子はみな一度は経験することなの、もう母の心は恐怖で震えたよ。寿命確実に削られていくよ。


 では「エクソシスト 母戦慄!熱せん妄の恐怖再び」お届けします。


 次男小学6年2月のことである。

 前日の土曜日の夕方から少し風邪っぽい感じだと言うので、もう診察時間も終わっているし、熱もそんなに高くなく大丈夫そうだったので、私は市販の薬を飲ませてその日は休ませました。

 そして翌日朝は熱も少し下がり元気そうだったので、たんなる風邪だろうと思っていました。

 しかしその日の夜次男が壊れました。


 夕方頃から再び熱が高くなってきました。

 そして突然布団を剥ぐと「ママが蓋を閉めた」そう言い、ゴミ箱に嘔吐しました。

 私は背中をさすりながら「どうしたの?」と尋ねると、「夢を見てた」と言いまた寝ました。

 そしてしばらくすると


「盗まれた! 盗まれた!」


 と言いながら部屋をうろちょろしだしました。

 私は少し怖くなり始めていたのですが、長男の熱せん妄のことを知っていたのでとりあえず次男を抱きしめると。

「大丈夫、何も盗まれてないから、寝よう」

 といって次男を寝かしつけました。


 しかし、恐怖はここからさらに加速していきます。


 夜中1時40分頃でした。


「盗まれた! 沼を探して!」


 そう叫んだかとおもうと、息子はふすまを開け中のタンスの引き出しを開けだしました。

 夕方までのとろりとした感じではなく、はっきりと目を見開き意志を持っているように見えます。


「大丈夫だから、何も盗まれたないから!」


 私は息子を止めようとしました。しかし息子は

「盗まれた! 盗んじゃった!」


 そう叫びながら引き出しを開けていたと思ったら


「ごめんなさい! ごめんなさい!」


 と叫びながら今度は押し入れの二段目に飛びあがりました(そこには今自分たちが寝ている布団が入っていたので薄い夏布団がはいってるぐらいでほぼからの状態)


 そして「%&$’&☆&%$#$’!!」なんとも人の言葉とは思えない奇声を発しながら次男はその狭い空間のなかで回転を始めたのです。


 私はあまりのことにどうすることもできず。その場を離れることもできず、人生で最大限の声で二階で寝ている旦那に助けを求めました。

 私の声が聞こえたらしく、旦那と寝ていたはずの長男も駆け降りてきました。

 そして私は押入れを指さし、「抑えて!」旦那に叫ぶとすぐに119番をしました。


 昔映画で「エクソシスト」というものを見たことがあります。

 もしあの時代あの場所ならまさに今彼は何かにとりつかれているとしかおもえません。ここで呼ぶのは医者ではなく悪魔祓いだったでしょう。


 私は電話をしながら自分でもわかるぐらい震える声で事情を説明しました。

 救急車が付くまでの時間、旦那は次男を押入れからひきづりおろすと、舌を噛みきらないようにタオルを口に押し込み首を羽交い絞めにしていました。


 よくドラックとかをしている人の目を『いっちゃってる目』と表現することがありますが、まさに次男の目は『いっちゃってる目』起きてはいるが、現実を見ていない。

 長男の時は長男が力の入らない状態だったので大丈夫だったが、動ける子が暴れると大変です。小六とはいえ、私は152センチと小柄なので、成長した次男とほぼ同じ身長、そして相手は奇声を発しながら暴れまわっていて、とても私一人では抑えられる気がしません。本当に旦那のいる時でよかった。


 そうしてようやく救急隊員到着。

 そのころには息子は落ち着きを取り戻していました。

 でも一応病院へ。

 私が支度を整え外に出ると旦那がなぜか警察に事情聴取されてました。

 私がどうしたのと旦那に聞くと、どうやらパニックになった私は119ではなく、110番していたらしく、電話口で熱を出した子が暴れていると伝えたので、警察も駆けつけてしまったようです。

「すみません。熱で暴れているだけで、家庭内暴力ではないです」

 謝りながらなぜか笑ってしまった。

 人間極限のパニックに陥ると、笑えてくるらしい。

 でも警察も事情は聞かなくてはならないので警察は旦那にまかせて、私は次男と救急車で病院へ。

 そして色々長男の時と同じく質問やら歩行チェック。しかしインフルエンザの検査はしてくれなかった。今回はインフルエンザ脳炎も怖かったので私も食い下がったが、やはり解熱剤だされて終了。

 納得いかず次の日かかりつけ医に。話を聞いたかかりつけ医も絶対インフルエンザだろうと検査をしたのに結果は陰性。溶連菌も調べたがやはり陰性。

 結局高熱の風邪と処理された。


 実は次男は過去に四回ほど熱性けいれんを起こしたことがある、一度目は異常性熱性けいれんで、一週間入院した。

 なので熱が高くなると頭がパニックを起こしやすいという結論になったのだが、うーん。


 でも熱が高くなければ普段の穏やかな次男である。

 でも陰性なのだから薬は風邪薬しか処方されない。

 とりあえずその薬を飲んで様子見である。


 しかしその日の夜また事件が起こる。

 私は眠りが浅いのですぐ人の動く気配で目が覚めるのだが、その日はつかれていて初めに次男が起きた時に気が付かなかった。

 ふと気配を感じて目を覚ますと、次男がじっと布団の上に立ち私を見下ろしていた。


「トイレ?」


 私は恐る恐る訪ねた。


「お兄ちゃんが逃げたから今追いかけて庭に探しにいったんだけど、いないから二階に行ったら寝てた」


 ゾッとした。

 鳥肌がたった。

 本当に庭に一人で行ってきたのだろうか!?


「そうなんだ、じゃあもういいね、寝なさい」


 そうして私は次男が寝るのを確認すると、普段は鍵しかかけない玄関にチェーンをかけ、窓という窓のチャイルドロックをかけた。


 タミフルを飲んだ子が二階から飛び降りる事件を聞いたことはあった。

 もし次男が本当に一人で庭に出ていたら、確認のため帰ってこないでどこかに探しにいってしまったら。

 私の家の目の前は道路である。夜中そんな交通量はないが、それでもゼロではない。


 その朝私は別の少し設備の整った病院に連れていき再度インフルエンザ検査をしたがやはり陰性。

 でもその時点でもう熱が上がったり下がったりが5日目だった。

 私は血液検査とかレントゲンとか何か他にできないか食い下がった。

 すると先生は一つの抗生物質を処方してくれた。

 とりあえずこれを飲んでも38度以上が続くならその時検査しましょうということになった。

 そして帰ってすぐ飲ます。

 このまま下がってくれれば、しかし夜中に再び38.5度を超える。

 明日も病院連れて行かないと。そう思い眠れぬ夜を過ごしたが、

 朝、次男が「凄い汗かいた」と言って起きてきた。

 熱は36.7度まで下がっていた。


 本当によかった。

 本当によかった。


 その後熱が上がることもなく順調に回復していった。

 そしてその後ぐらいに、ニュースでコロナの特徴のニュースを見た。


 初めは風邪のよう。

 熱が上がったり下がったり。

 4日以上熱が続く。


 まさに次男と同じ、ただ唯一違ったことが抗生物質が効いたこと。

 そして以上の症状と類似しているのにマイコプラズマがある。そしてマイコプラズマはオリンピックの年に流行るジンクスがある。


 今回の抗生物質はマイコプラズマにも聞く薬だったので、うちの子はそれではないかと思っている、ただマイコプラズマの特徴である咳はそんなにでていなかった。

 本当の病名は結局わからずじまいだが抗生物質の効く病気であったから治ったのでよかった。

 そしてしばらくして、熱があるだけで世の中は病院に行けなくなる事態に陥る。

 うちのように薬がもらえたら治るかもしれないのに、見てもらうこともできず怯えた日々を過ごしている親がどんなにあの時期あふれたことか。

 確かに国民みんながパニック状態だったが、政府の対応がもっと……


 まぁこれは長くなりそうなのでまた別の機会に話そう。


 そして前回も書いたが大切なことなのでもう一度書きます。


 小学6年生。

 親はだんだん病気に対して油断してくる年齢。

 多少熱があっても家で留守番できるよねと思ってしまう人もいるだろう。

 今回息子は38度代だった。

 おかしくなるまでは普通にご飯も食べてたし会話もしていた。暇だとゲームもしていた。

 でも幻覚を見た。

 自分が怪我をするのもお構いなしに暴れまわった。

 親の言葉も届かず暴れた。

 急変という言葉が存在する。

 だから子供が熱を出したときは、絶対一人にしないでください。

 特に熱の上がり始めは、近くにいてあげてください。

 そして戸締りをしっかりしてください。

 おかしくなっているのに鍵を開けたりする知能があります。

 そして武器になりそうなものは遠ざけてください。

 うちの子は押入れ内だったので最小限の暴れ方で済みましたがものを手当たり次第ものでも投げられたら親も危険です。

 お願いします。


 それと、息子に暴れている間のことを覚えているか聞いたら。

 何かが盗まれたか盗んだかをしたらしく、そうしているうちにお兄ちゃんの部屋が火事になって、逃げたんだけど火だるまになったんだ、だそうです


 恐ろしい内容だ。

 だからあの暴れよう。そして「ごめんなさい」はお兄ちゃんを見捨てて逃げだしたからか?


 そして次の日もお兄ちゃんを探しに行く。

 どんな深層心理なのだろう。


 お兄ちゃんはママ友から見ても弟LOVEなバカ兄なのだが、弟は昔からそれを少し邪険に扱う節がある。


 小学6年、もうすぐ思春期、兄に対して色々思うところがあるお年頃なのだろうか。でもお兄ちゃんを見捨てないでね(笑)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る