第2話⁂父賢伍⁂

時は1985年に遡ります。

18年前の桜の満開に咲き誇る4月上旬父賢伍と若妻となった美登里は結婚したのです。

この満開の桜のように未来永劫、薄桃色に咲き誇る桜のように明るい未来が*⋆** 【桜の花言葉⁑精神愛.精神美・純潔】愛に満ちた幸せが永遠に続くと信じて疑う余地など微塵もなかったのです。

ですが?現実は全く違ったのです。


賢伍はこの時30歳、両親から執拗に結婚の催促をされています。


「又結婚の話?いい加減にしてよ~!」


「いい加減にしてよじゃ無いだろうが!縁談話に見向きもしないで!誰かいい人でもいるのか?跡継ぎの長男がいつまでも結婚もしないで一人者だと信用にも関わる!頼むから身を固めてくれ!このままだと妹の婿に会社を譲るぞ~!」


「ハイハイじゃ~!結婚しますよ~!もう!」


このような経緯で賢伍は仕方なく結婚したのです。



一方の美登里はこの時27歳。

大学時代に付き合っていた彼氏と別れたばかり、何故?別れたのかと申しますと?いつまでも夢を追い求めて現実を直視できない彼にホトホト嫌気さして別れたのです。

そこに舞い込んだ不動産王の異名を持つお金持ちのお坊ちゃまとの縁談話、喜んで飛びついたのです。



美登里は賢伍となら絶対に幸せになれると信じて疑いもしなかったのですが?

現実は残酷です。


「ねえねえ!賢伍さん一緒にドライブしましょうよ!」


「俺はチョット???お前が行って来れば?」



ある時は…………。


「じゃ~映画は?」


「…………」



又ある時は…………。


「じゃ~旅行はどう?」


「…………もうお前ひとりで行けばいいじゃないか!」

しつこく言うと怒る始末、夜の夫婦生活も数える位



妻の美登里は「こんな筈では無かった!」と後悔しきり



一体賢伍は何を考えているのか?



又賢伍は結婚して15年フィリピンのマニラにも邸宅を構えているのです。

何故かと申しますと?現在もフィリピンではストリ-トチルドレンが問題視されています。


その子供達を救う為に児童養護施設〔ハッピ―ハウス〕を開校しているのです。

生前父にはフィリピンの現状を訴えていたのですが聞き入れてもらえず、諦めかけていた矢先の2年前の年の瀬も押し迫った12月末に父は肝臓がんの為70歳の生涯を閉じたのです。


それを機にフィリピンに児童養護施設を開校したのです。

その為フィリピンには頻繫に出掛けています。

フィリピンに滞在する期間は1週間程ですが、この施設経営には秘密が隠されているのです。


〔ハッピ―ハウス〕に引き取られて1年の11歳のレイナは物心付いた頃から路上生活者、その為ひったくりや盗み癖が中々治りません。

施設関係者も頭を抱えています。

「あんなに優秀で可愛い娘なのに困ったもんだ!勉強すれば将来楽しみな娘なんだが?」


それから数日後レイナの姿がプッツリと施設から消えたのです。

一体何処に?



「アアアア!止めて下さい!いっい痛————い!たた助けてください!」

「フフフフ フフフフ」

一体誰が?


一方施設ではレイナが急に消息不明になり懸命に捜索が続いています。

理事長の賢伍も憤りを隠せません。

「全くあんなにこの施設では明るくて元気だったのに自ら失踪する筈がない!」


何の手掛かりも掴めぬまま時は過ぎ…………。

2年の歳月が過ぎた灼熱の太陽が降り注ぐ8月2日に又しても10歳のマリアちゃんが忽然と姿を消したのです。



不動産王の賢伍は東京の邸宅で情報を知りフィリピンに向かっています。

「フィリピンは元々治安が悪いのは知っていたが、何も施設の貧しい子供達を狙う事ないだろう?全く許せない!」

賢伍は怒り心頭です。


マニラ警察が血眼になって捜索に当っています。

いろんな情報が飛び込んできます。


するとその中に有力な手掛かりが見付かったのです。

マニラ郊外のジュニアハイスクールの女性教師ニコル先生宅に郵便物を届けた配達員が{独身で1人暮らしと聞いているのにどうして女の子が2人いるのか?不思議に思ったとの事}


早速警察はニコル先生宅に直行…………。

そこで一部始終を聞き出したのです。


実はこのニコル先生は2年前ショッピングモールで買い物をしていたのですが?丁度レイナが買い物中のおばあちゃんの財布を抜き取る所を目撃、慌てて捕まえて財布をおばあちゃんに返したので事無きを得たのですが?「ワァワァ~~ン😭」泣き出すので事情を聞いたのです。


すると「ストリートチルドレンで空腹でやむを得ずやったのだ」と泣き叫ぶものですから暫く預かって警察に通報するつもりだったのですが?

「イヤだ!イヤだ!」と暴れるので仕方なく保護していたのですが?いつの間にか一緒にいる生活が当たり前になり我が子の様な情愛が湧いて気が付けば2年も立って居たのです。


又慈悲深い先生の為ついつい可哀想な境遇にほだされてマリアちゃんまでも預かってしまっていたのです。

レイナが「親に捨てられ離れ離れだった妹がやっと見つかったのでどうしても一緒に生活したい!」とごねるので思案中だったとの事……そこに警察からの電話が???


警察は早速〔ハッピ―ハウス〕に通報…………。


ですが?子供達はニコル先生と生活したいと言うので施設側も幸せになってくれるのならそれが最善の選択肢と門出を祝ったのです。



何故レイナは〔ハッピ—ハウス〕の児童なのにストリートチルドレンと噓を付いていたのでしょうか?又妹でもないマリアの事など嘘八百を並べ立てたのでしょうか?

そこには驚愕の真実が隠されているのです。





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