自ら命を絶つことは、パチンコ店を出ることだ
皆さんは自死を考えたことはありますか? ありますね (断定)。
というわけで今回は「自ら命を絶つことは、パチンコ店を出ることだ」をテーマに自殺について書いていこうと思います。
というのも、先日に大学の授業で「死から生を考える」というテーマでレポートを書きなさいと課題を出されたため、渋々書いていたら思いもよらない結論に至ってので、ついでにnoteに書いちゃおうということになったわけです。
あと先に申し上げておきますが、レポートといってもこれを読んでいるような高尚な方々が想像するようなものではないので、「構成が成っていない」とかわけのわからんことを言ってきた場合、僕が悪態をつきます。
つまり適当に読んでくださいということです。あと以下はレポートの書式をほぼコピーしたものですので、読点がコンマになっていますが、あしからず。
ではどうぞ。
○なぜ死なずに生きるのか?
皆は自死を考えたことがあるだろうか?
きっと一度はあるだろう。能動的に考えることもあれば,侵入的に死が思考に浮かんでしまうこともあったはずだ。
そして,死ぬことが一番楽になる近道だと考えた。
正直のところ,それは事実だろう。
死ねば生きている間に感じる苦しみからは解放されるのだから,死が楽の近道であることは疑いようがない。
ならばすべての人が死を希求してもおかしくないはずだ。しかし,そうしないのはなぜか?
何度も死を考えたあげく,結局生き延びている者はこの世に大勢いるはずだ。
では,なぜ彼らは死ぬことよりも生きることを選んだのだろうか?
その理由を突き止めることはできないかもしれないが,私は一つの結論に至った。
一般的に人が死を望まないのは,苦しみからの解放よりも生きることによって得られるポジティブな感情に期待するからである。
死ねば楽になれるが,もう少し生きればそんなことを考えなくてもいいくらい幸せなことがあるかもしれないという期待が,人が自ら死ぬことを思いとどまらせるのである。
○どのようにして自殺を思いとどまるか?
僕たちは何事も選択するときは必ずそれぞれのメリットとデメリットを考慮し,それら天秤にかける。
生きるか死ぬかにおいても同じである。
生き続けるメリットとしては,今では考えられないくらい幸せが得られる可能性がある。
しかしデメリットとしては,その幸せが得られないかもしれないし,むしろ苦痛が増強されてしまうかもしれない。
一方で死ぬメリットとしては,今感じている苦痛を断ち切ることができる。
しかしデメリットとしては,生き続けていれば得られたかもしれない幸福を得る機会を完全に失うことになり,もし失敗すればさらなる苦痛を受けるかもしれない。
通常であれば,次にそれぞれのメリット同士を比べ,デメリット同士を比べる。
生死においては,生きれば幸せになるかもしれないが,死ねば苦痛から解放される。
逆に生きれば幸せを得られないかもしれないし,さらに苦しくなってしまうかもしれないが,死ねば幸せを得ることは絶対にできなくなるし,失敗すればさらに苦しくなるかもしれない。
このように考えた上で人は意思決定を行う。そして大抵の場合,生き続けることを選ぶ。
人はマイナスの状況から抜け出すことよりもプラスの可能性を求めるからだ。
確実性を求めるならば,死ぬことを選ぶべきだろう。
しかし人間は不完全な生き物であり,ときおり論理から逸脱し,可能性にすがってしまう性質をもっている。
顕著な例がギャンブル依存だ。
そしてギャンブル依存を引き起こす一要因として,不確実的な報酬が挙げられる (Schultz, 2007)。
生物の脳は不確実性に快感を見いだすように設計されており,特に50%の確率で得られる報酬に対してドーパミン・ニューロンを強く発火させるよう出来ているのだ。
○ギャンブル依存のメカニズムが自殺を思いとどまらせる
依存とは,身体的・精神的・社会的に自分の不利益となっているにもかかわらず,それをやめられずに反復し続けている状態のことである (小河, 2014)。
これに対して人生とは,たとえ身体的・精神的・社会的に不利益な状況であったとしても,反復し続けられなければならないと考えられている。
それは事実かもしれないし,事実でないかもしれない。
しかし人が人生をそう捉えるのは,生きている間に得られる不確実な報酬に快感を見いだしており,その快感を得るために人生を正当化するためかもしれない。
つまり,人は人生に依存することによって,死を恐れ,生に魅力を感じるのだ。
そして人生というギャンブルに負け続けたとしても,これまでに得てきた不確実な報酬が同じようにやってくるかもしれないという期待が人生をプレイさせ続ける。
そう,自らの命を絶つことは,パチンコ店を出ることと同じなのだ!
ギャンブル依存は一般的に望ましくないものと認識されているが,そのような状態にさせる脳のプログラムは,自らの死を望む者を思いとどまらせる活動に貢献しているのかもしれない。
○オススメの書籍
いかがだったでしょうか?
つまらん? そうかそうか。
正直言って、なぜ生きるか論争の答えは視点によって異なるし、そもそも答えを出してどうなるという問題です。
つまり、どうでもいい問題なのです。
しかし、そのようなことを考えていないと暇を潰せないのが人間なのです。
とまあ戯れ言はこの程度にして、参考にした本が1冊と、生きることに関するオススメの本が1冊あるので、そちらを紹介したいと思います。
●デイヴィッド・J・リンデン (2014). 快感回路―なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか 河出書房
内容はタイトルの通りなのですが、なぜ食べ物や行為などに快感を覚え、結果的にやめられなくなってしまうのかをまとめた本です。
本書は性行為、薬物・タバコ・アルコール、食べ物、ギャンブルなどの社会的に望ましくないものから、瞑想、ランナーズハイ、慈善活動などまで扱っており、ドーパミン・ニューロンを通して解説しています。
科学論文を系統的にレビューしたような内容になっているため、資料としても優秀です。
●大平 光代 (2000). だから、あなたも生きぬいて 講談社
こちらは結構古めのエッセイ本になります。
この大平光代さんは中学生時代にイジメから割腹自殺未遂を行い、非行少女から極道の妻になるも、親戚の助力により反社会から足を洗い、猛勉強の末に宅建と司法書士の資格を取得するといった数奇なる人生をたどってきた方です。
そしてその体験を書いたのが本書であり、本人が当時どのように考えていたかとともに生涯を描いています。非常に勇気を与えられる本です。
ここで紹介した2冊はどちらも素晴らしい本であるため、ぜひ、購入して読んでみてください!
○その他の参考文献
小河 妙子. (2014). 賭博行動に関する心理学的研究の展望. 心理学評論, 57(2), 200-214.
Schultz, W. (2007). Multiple dopamine functions at different time courses. Annu. Rev. Neurosci., 30, 259-288.
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