人一倍弱虫なぼくはファンタジー世界でアンデッドな彼女に恋をする

所為堂 篝火

第1話

「いい加減しつこいです」


「え?」


 突然の言葉に、少年、皆月想次郎みなづき そうじろうは口を開けたまま固まってしまっていた。


「ですから――」


 呆れ顔で「しつこいです」と再度繰り返される声。


 抑揚の一切ない冷たい声色。


 想次郎は驚愕と困惑に塗れた脳内で必死に思考を整え、ようやく第一声を絞り出す。


「ああ、思った通り。綺麗な声だ……」


 瞬間、想次郎の視界に眩い光が満ちた。

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