四月一日

 真新しいスーツ、履き慣れていないパンプス、シンプルな鞄。髪は巻かずに低く結び、メイクはあくまでナチュラルに。鏡を見ながら、まるで自分ではないような錯覚に陥る。

 この姿が似合うようになるのは、いつ頃になるかしら。

 新調した腕時計をはめて、新しい世界へ一歩踏み出した。

「いってきます」

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