あまのじゃくさんの憂うつ

 着信音が鳴ると一瞬身構える。電話は苦手だ。

「もしもし」

『今忙しい?』

 気遣う彼に、わたしは無愛想に答える。

「別に。なんの用?」

『声聞きたくて。疲れてるなら、またかけ直すよ』

「……五分だけなら」

 電話の向こうで彼が笑う。素直じゃない心はお見通しだ。

 だから彼との電話は苦手なんだ。

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