第10話 エイミー自分でピンチになる2
今の私は、風邪を引いたせいで暫くお休みしているのよね。おかげで、今日はデートの予定だったけど延期になったわ!
ラッキーと思ったけど、もともと自業自得でいいことなんて何もなかったのよね……。
だって私が湖に落ちるなんて思っていなかったんだもの。それにまさか風邪まで引くなんて……おかげで明日は3年生の卒業式だというのに、行けそうにないのよね。
3年には幼馴染もいるからそいつに何か言われそうだけど、まだ数日後に卒業パーティーもあるもの……それまでには熱を下げないといけないわ。
頑張れエイミー!えいえいおー!!
「あら、腕を上げて……エイミーちゃんったら病人なのに元気ね~」
「ユリア様!!!!?」
見られてた!?
ってか、なんでここにいるの!
「ご機嫌よう、エイミーちゃん。今日はお休みだと聞いて、お見舞いに来たのよ?」
「お見舞い!よくこの部屋に入って来れましたね」
「もしかして、弟くんのこと?」
「え、ええ……まぁ……」
シスコンである私の弟は、熱を出した日から「姉様が死んじゃう!!」と、あまりにも心配しすぎて私の部屋に立ち入り禁止令を執行したらしいのよね……。
もう!弟ながら意味がわからないわ!?
「弟さんには賄賂を渡したら快く通してくれたわよ?」
「賄賂!!?ゆ、ユリア様!!弟を危ない道に進めないで下さい!!」
「オホホホ、危ない道って面白いこと言うのねぇ~。大丈夫よ、賄賂はこれだもの」
「なっ!!?」
なんで私の記憶素子持ってんの!?
ってか弟への賄賂になるのこれ!!!!?
「学園での様子を知りたかったみたいよ~」
「うーん、最近シスコンすぎてちょっと心配になってきたわ……」
「あら、エイミーちゃんあれをシスコンと言えるのはなかなか……今後面白いことになりそうね!」
何が!!?弟シスコンじゃないの!!!
もう、誰か教えて!!!
「そんなことより、学園で噂になってるわよ!」
「ウワサ?」
なんだか凄い嫌な予感がして続きが聞きたくないわ……。耳を塞ごうかしら。
「殿下が抱きかかえて歩いていた令嬢は誰か!?って凄い話題になってるのよ~?」
「ああ、聞きたくない!!?」
「やっぱりエイミーちゃんだったのね~」
なんて事なの!?
きっと保健室に運ばれたときだわ!
か、顔は見られてないのよね??見られてないから皆探しているのだものね……?
「運ばれたときの様子は知っていますか?」
「ええ。なんでも顔に水草をいっぱいつけていて、誰かわからなかったんですって!」
「水草!!!?」
殿下、何で水草!?
助けたときに既についてたのか、それとも殿下が気をつかってつけてくれたのかどっち!!!??
どっちも嫌だけど、顔はバレなかったし……な、ナイス水草!!
「でも最近は、殿下のお気に入りの令嬢がいると言う噂が流れ始めているから、エイミーちゃんは気をつけてね?」
「いや、気をつけてるんですけど……アホアホな殿下が近寄ってくるんだもの、無理よ!!!」
「それもそうかも知れないわね。そういえばそんなアホな殿下は、今日エイミーちゃんのお見舞いに来ようとしたらしいわよ?」
「ふぁあーーーー!!!馬鹿なんですか!!?」
ありえないわ!
ただでさえ今は疑われやすいのに、殿下の馬車には王族の印がついているのよ!
そんなのこの家に止まったら、ここの令嬢がお気に入り、って言ってるようなものじゃない!!
「でも、エイミーちゃんの弟くんが追い出したそうよ?」
「なんで!!?」
弟よ、その男は一応王子なのよ言動には注意しないと危ないのよ……!
お姉ちゃんは心配だわ……。
「それで、エイミーちゃんはそんな殿下とパーティーに行くの?」
「行くわけないじゃないですか!!そんな事したら私は悪女コース一直線なんですけど!?」
「フフッ、そうよねぇ~。それなら、エスコートはどなたにされたの?」
「えっと、幼馴染で今年卒業するアイツです……」
アイツはすっごい意地悪で、最低な男なのよ!!
だから名前なんて言わなくて、アイツで充分!
「えっと、婚約者だったかしら?」
「何でそうなったのですか!!?私婚約者いませんけど!?」
「ふふふ、知ってるわよ~」
じゃあ何で聞いたんですか!!???
もう、またユリア様にからかわれているわ……。
「でも、そうだったら面白いじゃない!」
「何も面白くありません!!!?」
「ふふふ、今からパーティーが楽しみだわぁ~」
私は全く不安しかありませんけど……。
こうして、私をからかうだけからかって、ユリア様はお帰りになったのでした。
ツッコミ過ぎて熱をぶり返すところでした。
危なかったです。
それにしても、殿下の噂が私まで来なければいいのだけど……。
そしてパーティーよりも先に、殿下と一度デートしないといけないために、私はギリギリまで熱よ出てくれ!!
と、祈ったのでした。
しかし、その願いはやはり叶うことはなかったのですけどね。
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