神様の羽

 神様は自分の背中の羽をちぎり、世界を創造しました。


 最初に落とした羽は青い海のスープに。二枚目は小さな海洋生物。三枚目は海原に落とした瞬間グングンと伸び広がり色を落とし、陸になりました。そこに羽をいくつも散らせば、植物が伸び、動物が鳴き、人の祖先が四足歩行を卒業してヨタヨタ二本の足で立とうとしています。最後に握った手にググッと力を込めて開けば、太陽がギラギラ飛び上がり、世界が神様以外にも視えるようになりました。


 神様が一息ついて、別次元の住まいに戻りますと、急に荘厳なお家が寂しく感じられました。


 神様は背中の羽の残り全てをちぎり落とし、天使達を作り上げました。


 それで神様には羽がなくなったのです。


 Twitter300字ss第六十二回お題より……「余り」(本文298文字)

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