第173話 避け方

テラスネークは新技、蛇光列弾を使って20発の蛇光弾を発射した。

蛇光弾は一発でも食らえば、体の肉は吹っ飛んで即死である。



心の城ハートキャッスル フォート!!」



10発はこれで凌げる!


残り10発。



神の創時器デュオフーバ サック!! 1発なら力を吸って無効化できる!!」



アスラは1発の蛇光弾を消滅させた。

これで残り9発である。


さぁ、ここからが正念場だ。


俺が発生せさた心の城ハートキャッスルは瞬く間に破壊され、9発の蛇光弾が顔を出す



闘神化アレスマキナ 限界突破!!」



全身を闘神と化して神速を使う。

フルパワーの神速だ。


急いでアスラの元へ走る。


彼は強ばった顔で両腕をクロスしていた。

防御の体勢である。

たった1発の蛇光弾で右腕を吹っ飛ばされたのだ。この防御がどれほど意味を成さないのかは自明である。

しかし、汗をかく間も無いほどに蛇光弾の速度は速かった。


アスラを助けてそのまま回避する!!


俺はアスラを抱きかかえ大地を蹴った。

地面はバグンと大きな音を立てて爆ぜる。

蛇光弾はそんな爆音すら消滅させるほどの威力で地面に衝突。

地面の接触と同時に強烈な爆発が発生する。



ドドドドドガァアアアアアアアアアアアン!!



爆心からは10メートル離れるのが精一杯だった。

限界突破のフルパワー神速を使っても、尚たったの10メートルである。


蛇光弾が起こした爆風を背中にモロに受ける。



「うぐぅッ!!」



そのまま100メートルほど吹っ飛ばされた。


着地と同時、アスラは俺の体を叩いて離れる。


「てめぇいい加減にしろよ!!」


「これしか助かる方法がなかった」


「貴様に抱きかかえられるくらいなら死んだ方がマシだ!!」


「…………」


「それに、お前1人ならもっと余裕をもって避けることができただろうが!!」


「……そんなこと……できるわけないだろ」


アスラは少しだけ顔を赤らめる。


「けっ! てめぇのお人良しには反吐が出るぜ」


「ふ……。まぁ、2人とも助かったんだから良しとしよう」


「チッ! ニコニコしやがって!! でもな、覚えとけよ! また俺の体に触れやがったら次はお前をぶち殺す!!」


やれやれ。アスラのプライドの高さは厄介だな。


200メートル離れた先。俺の神聴力はテラスネークの声を聞いていた。


「素早いじゃないか。でもギリギリだったわよ。次はないかもね」


再び、両手をこちらに向ける。五指からは光る弾が発射された。



蛇神化スネクマキナ 蛇光連弾」



20発の弾がこちらに向かってやってくる。

例え200メートル離れていても、その距離が無意味なほどに速い。



心の城ハートキャッスル フォート!!」


神の創時器デュオフーバ サック!!」



これで11発を消滅。

残り9発。



さぁどう避けるか。

アスラを抱きかかえたら怒るだろうしな。

かといって蛇光弾のスピードにアスラは対応できていない。


なら──。



「限界突破!!」



からの──。




シンプルに蹴り!




俺はアスラを蹴って吹っ飛ばした。

アスラはそのまま100メートル先へと飛ぶ。

俺は蹴った反動で逆方向へと飛んで避けた。

2人の間で蛇光弾の爆発が起こる。




ドドドドドガァアアアアアアアアアアアン!!




アスラは大丈夫だろうか?

限界突破のシンプルな蹴りであるが、常人ならば骨まで粉砕されて即死事案である。



アスラは空中で体勢を立て直して着地していた。



「ハハハーーーーッ!! この避け方、気に入ったぞタケルゥウウ!!」



ご満悦。


やれやれ。喜んでもらえて光栄です。


さぁて、どうやって戦おうか。

蛇光弾の攻撃が速すぎて肉弾戦にもっていけないな。


アスラは策があるように呟いた。


「ったく。仕方ねぇなぁ」


俺はアスラの元へと移動する。


「何か方法があるのかアスラ?」


「チッ! この技はお前をぶっ殺すとっておきだったんだがよ」


そう言って神の創時器デュオフーバを地面に突き刺した。



パァアアンッ!!



両手を叩く。

ゆっくりと手の平を離すと、その間にバチバチと稲妻が走った。


この技は、確か……アーキバを分断させた強力な技だ。


稲妻は光る箒に形を変えた。

アスラは満面の笑みを見せる。



神樹箒ゴッドブルーム



なるほど。俺を倒すとっておきとは納得だな。



神の創時器デュオフーバ神樹箒ゴッドブルーム! 二刀流だ!!」



正確にいうと杖と箒だから、刀ではないのだがな。双方ともに斬撃波動を発生させるからな、まぁ刀みたいなものか。



「俺が蛇光弾を消してやる。その隙をつけ!」



ほぉ、あの蛇光弾を消そうとは大きく出たな。


アスラは神の創時器デュオフーバの穂先を下にして持った。

そのまま神樹箒ゴッドブルームとともに背中へと穂先を隠す。


200メートル先にいるテラスネークは目を細めていた。


「その箒……。私は大嫌いなのよ。本体もろとも吹っ飛ばしてあげるわ」


再び蛇光連弾が発射された。

20発の蛇光弾である。



「タケル! フォートは出さず攻撃アタックに回せ!!」



二刀流の威力に相当自信があるようだな。



「ふ……。蛇光弾は任せたぞアスラ!!」


アスラは2本の武器を振り上げた。



神の創時器デュオフーバ マーダー プラス 神樹箒ゴッドブルーム 残酷斬! 2つ合わせて──」



武器はクロス状の斬撃波動を発生させた。





地獄送迎斬じごくそうげいざん!!」





波動は真っ黒い邪悪な力に変化しながら20発の蛇光弾に接触した。




ドグァアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!




強烈な爆発。

あの凶悪な蛇光連弾を見事に消滅させた。


やれやれ。

地獄送迎とは恐ろしい名前だが、味方だと思うと心強いな。


俺はテラスネークの背後を取った。

限界突破のフルパワー神速で移動したのである。


「アスラの機転で攻撃アタックの城を大きくできたな」


俺の右手に浮かぶ城は50メートルを超えていた。


「喰らえテラスネーク! 心の城ハートキャッスル 攻撃アタック!!」

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