05
賢者カイルワーンとは、本当はどんな人物であったのか。私はよく人に問われる。
私は常はその問いに答えない――答えたら、汚名をかぶって兄様の実像を歴史から抹消した、陛下の苦渋が無駄になってしまう。
けれど、ただ一度だけこの場でそれを語るならば、この一語に尽きる。
賢者カイルワーンとは、矛盾の人だと。
絶えず相剋に苦しみ続けた人であると。
アイラシェール姉様のことを愛しながらも、滅ぼす賢者としての道を全うするしかなかったこと。それは言うまでもないが、それだけでなく陛下との関係――その結末もまた、悲しいほどの矛盾に、ノミで己が身を削るような相剋に満ちていた。
確かにそれは、憶測にすぎない。兄様は明確な失踪理由を、一度たりとも口にしなかった。大陸暦1000年代において兄様と関わった全ての人と出会っただろう私が、そう断定する。だからこれから記すことも、私の視点による私の憶測にすぎない。
けれどもそれは、ひとかけらでも可能性がある以上、あまりにも辛すぎるものだった。
あの日以降、私たちはオフェリア様の話をしなかった。私から催促することはばかられたし、兄様も答えを口にはしなかった。
けれども兄様が私に、過去の話をする頻度は増した。それは思い出語りとは呼べぬほど深く、細密さを増し……私は兄様が、私経由で真実を残すことには同意してくれたのだと悟る。
こうして私は、兄様のみが持つ多くの真実を預かった。ただその過去において、一ヶ所だけ兄様の口からは語られなかったこと、「すまないけど、カティスに話してあるから奴から聞いて」とだけ言ったこと――実のお母様とのことは、後年陛下から伺った。
そうして全てが終わったのは、大陸統一暦1005年8月末のことだった。
兄様が最後の著作――それは皮肉か必然か『六月十三日』だった――を書き上げるのと、憲法会議が王と枢密会議に最終案を奏上したのは、ほとんど同時だった。
「あぁ、疲れた……」
私が最後の一冊を綴じ、棚に収めたところで、兄様はしみじみと呟いた。その一言の重さに、私は気づかないふりをした。
「これで一段落なのでしょう? これまであまりにも激務でしたもの、まずはゆっくりと休んでください」
「ああ、そうだね……そうさせてもらう」
ぐったりと椅子に身を沈めて、しばし。兄様は独り言のようにもらした。
「本当に、これからどうしよう……どうしたらいいかな」
宰相に復帰するんじゃないのか、と私は言わなかった。
兄様との別れがほどないところまで迫っている、それはもう明白だった。
それが歴史に刻まれた変えられない運命であること、兄様にはそれが最初から判っていたこともまた。
胸が張り裂けそうだった。行かないで、と言いたかった。置いていかないで、と。
けれどもそれは言えなかった。それを私が言う権利はないように思えた。
もしそれを言っていい人間がいるとしたら、陛下だけだろう。そしてそれを陛下ですら言えなかったのだと、私は後に知る。ならばどうして、私風情が言えるだろう。
ただ、後から思い返してみるに、兄様はこの時点で、もしかしたら迷っていたのかもしれない、と思う。
兄様は歴史の表舞台から消える。そしてその後、兄様の足跡は歴史上から抹消される。それは歴史の定め、絶対動かない確定事項だ。
だが、それを満たすためには失踪以外の手段がなかったのか――本当に失踪するしか方法がなかったのか、と考えれば、その答えは否なのだ。
失踪の原因を後の世に残さないためには、消えるしかない――それは間違いだ。
失踪しなくても、その原因は消せる。消す方法はある。その方法をただ一人、陛下だけが握っていた。それを兄様が望めば、陛下はそれを受け入れ叶えただろう。
だから兄様は、どちらの道を選んでもよかったのだ。
失踪すべきか、陛下の下に留まるか。歴史の定めとしては、本当にどちらでもよかったのだ。
だから兄様は直前まで、迷っていたのかもしれない。
この時の私の一言が、兄様の心を決めさせたのか。それは判らない。だが私は本心から兄様にこう告げた。
「兄様の、したいことをなさればよいのではないですか」
「うん?」
「兄様の行きたいところに行き、見たいものを見て、会いたい人に会えば、それでいいんじゃないでしょうか。せっかくの休暇なのですもの。誰かのためじゃなくて、自分のために使えば、それでいいんじゃないでしょうか」
わざと気づいていないふりをして、私は言った。何も気づいていない、無邪気なふりを装って。そんな私に、兄様は笑った。
それはとても晴れやかな笑顔だった。何かを吹っ切ったような、そんな笑顔だった。
「そうだね……うん、自分のしたいようにすればいい、か」
「はい。たまの我が儘くらい、陛下も聞いてくださると思います」
これが最後だと気づいていた。だからこそ懸命の笑顔を作った私に、兄様は不意に問いかけてきた。
「ロスマリンは何をしたい?」
一瞬私は、その言葉の意味が判らなかった。
「はい?」
「そう言うロスマリン自身は、何がしたい? 家のこととか、立場のこととか、恩とか負い目とかそういうしがらみを全部抜きにして、君自身は本当は何がしたい?」
問いかけに、私は瞑目した。己に問いかければ、答えは一つしかない。
それはアイラ姉様と出会った頃から、胸の中に灯り続けていた思い。
すう、と息を吸い込んで、決意を込めて告げる。
「世界が、見たいです」
年を追い、成長していくほどに知る。この世に存在する何もかもを、私は知らない。
「私はまだ、この世界を形作る不思議を何も知りません。だから私は、もっと沢山のことを知りたい。できることなら、自分の目で見て、自分の頭で考えて、新たな不思議を自分で見つけ出したい。そう思います」
「そうか」
「だからまずそのために、勉強がしたいです」
貴族の子女の嗜みではなく、もっと基礎から、もっと根底から。
そしてそのための根回しはすでに始まっていて、その最大の助力者は目の前にいる人だ。
だからその人は、笑顔で頷いた。
「教授たちが君のことを誉めていた。君ほどの熱意と学力があれば、壁も越えられるだろうと。そのための一切の助力を惜しまないと、そう僕にも言ってきている」
「ありがとうございます!」
「でも本当に君は大きくなった。出会った頃はこんなにちっちゃかったのに」
十一の頃の私の背丈くらいを手で示して、兄様は淡く笑む。
「あのさ、ロスマリン。君はもしかしたら、僕に世話になったと思っているかもしれないけど、それは違うんだよ。僕は自分の慰めに、君を散々つき合わせてしまった」
「兄様……」
「レーゲンスベルグにいた頃、僕の面倒を沢山見てくれた人たちがいた。今思い返してみても、あの頃の僕は未熟だったし世間知らずだったし馬鹿だったと思うんだよ。……今がそうじゃないとは、とても言えないけどね。でも彼らは、そんな僕の馬鹿や虚勢を笑って受け流し、間違えば正し、崩れそうになれば手を差し伸べて支えてくれた」
どこまでも淡い笑みが、私の眼前で揺らいだ。
「当時の僕は、その優しさのわけが判らなかった。僕はこの人たちに何もできていないのに、どうしてこんなにこの人たちはよくしてくれるのかと。返しきれないほどの恩が、借りがある。そう思った。でもね、君と出会って、初めて判った。彼らは僕のことを、可愛がってくれていたんだって」
兄様が誰のことを語っているのかは、もう判っている。温かさと憧憬と哀切をもって語られるその人たちの名を、私は誰よりもよく知っている。
「僕は君に、何かをしてほしくて色々なことを教えたわけじゃない。見返りがほしかったわけじゃない――いや、もう十分なほどもらった。君が笑えば、僕も楽しかった。君がありがとうと言えば、僕も嬉しかった。僕は君より大人だから、小さな君に色々なことをしてあげられる。そうやって自分より小さな者の力になれることは、こんなにも喜びになるのかと、己の胸を温かくするものなのかと――これが『可愛がる』ということなのかと、初めて判ったよ」
勿論、と小さく苦笑いを浮かべて、兄様は続ける。
「それは依存かもしれない。自分の存在価値を他人に置く、危ういことなのかもしれない。でもね、今の僕は思う。――人間は、何かに必要とされているという実感なしでは、生きていけない生き物なんだって」
「……はい」
「だからね、僕は今君にこう言う。今は素直に受け入れられなくても、いつか君にも判ってくれる日が来ると思うから」
伸ばされた手は、私の頭をなぜる。慈しむように、名残を惜しむように。
「ロスマリン、僕は君に出会えてよかった。君がいてくれて、本当によかった」
これは別れの言葉だ。そう理性が呟いた言葉は、ゆっくりと胸に落ちる。
たとえこの後顔を合わせることがあったとしても、そこに意味はないだろう。
これが最後。兄様が私に贈ってくれる最後のものだ。
だから私はそれを何とか咀嚼しようとした。その言葉だけをかみ砕いて、必死に考えた。
本当ですか? と問いかけたかった。
私は本当に邪魔ではありませんでしたか? 余計なことをしていませんでしたか? うるさくはなかったですか、無神経ではなかったですか、傷をえぐってはいませんでしたか? そう聞きたかった。
でも、言わなかった。兄様が言う通り、今の私ではきっと判らないのだろう。
いつか兄様の言葉を、掛け値なしで受け入れられる日は来るのだろうか。本当に私は、何の負い目もなく、自分の存在が兄様にとって善いものであったと、誇れる日が来るのだろうか。
これを記す今をもっても、その確信を私はいまいち持てずにいる。だがそれでも。
笑え。そう自らを叱咤した。どれほど目が熱く潤んだとしても。どれほど胸が張り裂けそうに痛んだとしても。
だから私は顔を上げ、兄様の手のひらを受け止めながら、真っ直ぐその顔を見つめて言った。
「たとえこの先にどんな未来が待っているとしても、どんな人生を歩むことになったとしても、ロスマリンは姉様と兄様のことを、一生忘れません」
精一杯の笑顔で、私は兄様を送り出す。
「ずっとずっとロスマリンは、姉様と兄様のことが大好きです」
うん、と本当に嬉しそうに応えてくれたその笑顔が、私が見た兄様の最後だった。
そうして大陸統一暦1005年9月28日早朝。アルバの国王と廷臣が、そしてアルバ王国が、誰よりも大切な人を失った運命の朝を、私もまた迎える。
大公家の使者はどこからの一報よりも早く訪れ、私に重い荷物を託して去っていった。
厳重に封印が施されている頑丈な木の箱。自室に閉じ籠もり、入念に人払いをして、私独りで開けたその中からは、意外なものが出てきた。
まず入っていたのは『銀嶺の間』の書棚に収めた兄様の著作。ほとんどこの一年間で作り上げたといっても過言ではない、あの膨大な原稿の綴りだ。それを戸惑いと共に取り出すと、底から二通の手紙と黒革で装丁された手書きの本が現れた。
一通は、私宛て。そしてもう一通の宛て名に、私の胸がどきりと跳ねた。
オフェリア・ジュリアーヌ・ロクサーヌ王女殿下へ――そう表書きされ、大公家の封蝋が施された手紙に、私の鼓動は自分の耳で聞こえるくらい高鳴った。無論それは開封せず、代わりに私は黒革の本を取り上げた。
震える指で頁をめくり、刹那ああ、と声を上げてしまった。
それは驚きや喜びと同時に、自分でも驚くくらい嘆きが入り交じっていた。
大陸統一暦1005年10月から始まる年表は、恐ろしいほどの詳細さをもって国内外の事件や紛争、経済の変動などを記している。開いた一ページ目、その本の正体に気づいた瞬間、衝動的にそれを閉じていた。
自分で望んだものだった。未来のため、力を残すため、自分に与えてほしいと、兄様に懇願したものだった。それなのに、いざ手にしてみればそれは恐ろしいものだった。畏れをもって相対しなければならないものだった。
朝の光が窓から差し込む。私は慄然として、そこに立ち尽くした。
兄様――動揺に震える手で、私宛の手紙の封をようよう切った。。
『ロスマリンへ。
正直これを書いている今この時まで、僕は迷っている。今すぐこの本を暖炉に放り込み、火を着けたい。そんな衝動に駆られたりする。
けれどもやはり、この預言書を君に託すことにする。
ここに記したことが、僕が知る限りの未来。僕の記憶と記録に誤りがなければ、必ず起こる出来事だ。
この計画に関わることにより、多大な負担と苦悩を背負うことになる沢山の人たちに、心の底から申し訳なく思う。けれどもどうか僕とアイラシェールの最後の我が儘を、どうか聞き届けてほしい。
どうかオフェリア王女殿下を、捕らわれている他国より救出してほしい。
どんな境遇に置かれているか、どんな地位を与えられているのか、今の僕に知る術はない。もしかしたら幸福にお暮らしなのかもしれない。だがもし表向きはどうあれ、現実が虜囚としか呼べぬものであるのならば、どうかそこから解き放ってほしい。
そしてもしもできるならば、大陸統一暦1217年6月の動乱時にイントリーグ党に追われたであろう、僕たちの養母コーネリア・シュネーリヒト、そして僕の父ルオーシュ・リメンブランスも救出してもらえれば幸いに思う。
それが落城寸前のアルベルティーヌ城に突入してくれと言っているということは、よく判っている。それがどれほど危険で、困難を極めることかも。
だから必ず、とは言わない。しかしもし可能であれば。預言書を継いだ誰かが、それを可能にするほどの強大な力を持っていたとしたら。その時はどうか、僕たちの父と母を助けてほしい。アイラシェールも間違いなく、それを望んでいることと思う。
この預言書が二百年にわたって誰かの力となるのなら、誰かに繁栄をもたらし日々を潤すものとなるのならば。その基となった僕たちの願いも、その力をもって共に叶えてほしい。どうかよろしく頼む。
そしてロスマリン。今まで作ってきた『賢者の著作』を同封したのは、この出版を君に頼みたいからだ。君も予測していると思うが、1200年代においてこれらの原本は一冊も所在が明らかにはなっていない。僕が未来で手にしたのは、活版によって広く世に流布しているものだ。
この出版を行なった版元は、アルベルティーヌでもレーゲンスベルグでもなくモリノーにある。僕はこの版元の出資者はエルフルトではなく、君ではないかと思っている。何せこの原稿のことを一番よく判っているのは君だし、これから先の君にはバルカロール家に依拠しない、自分だけの資産が必要だろう。
僕の資産のうち、リーク大公として得たものは全て領地と共にカティスに返納するが、革命以前の個人資産が、レーゲンスベルグの金融業者に預けてある。その全てを君に譲る手筈は整っているので、出版に必要な経費はそれで賄ってほしい。全著作が無事に刊行されれば、ちゃんと利益が上がるはずだ。
その利益と残った資産は、全て君の自由にしていい。君自身のためにも、これからの計画のためにも、資金は少しでも多い方がいいだろう。
君は僕に、僕を大切に思ってくれた人たちは自分を含めて皆、やり切れずに辛いと、負い目を抱え続けずっと苦しみ続けることになると言った。そのために僕のためになることがしたい、と言ってくれた。その気持ちを心底申し訳なく思うと同時に、それほどまでに皆が思ってくれることを心底ありがたいと思う。そしてあつかましくもその厚意に甘え、オフェリア様の救出を託そうと思う。
だからこそ、どうしても言い残しておかなければならないことがある。こんな僕が言うな、と言われてしまうかもしれないが、僕だからこそ言える言葉として、聞いておいてほしい。
人間は死んだ人間のためではなく、今生きている人間のために生きなければいけない。
君も、カティスも、他の全ての人たちも、死んだ人間ではなく、今生きて周りにいる人たちを一番大切にしなければ駄目だ。
死んだ人間、消えゆく人間への思慕は変えることはできないかもしれない。
失われてしまったものは、重い悔いを残し続けるものかもしれない。
けれどもそれを人生の一番重い場所に置いてはいけない。
君たちの道を共に歩むのは、苦しい時に支えてくれるのは、そして君たちを一番愛している人は、今生きて君たちの傍らにある人だ。
ロスマリン、僕は君の未来の全ては知らない。君がその人生を共に歩んでいくことになる人が誰なのか、どんな人なのかを全て知ることはできない。
だからこそ、強く思う。強く願う。
君と君の伴侶が築く未来が、悔恨や負い目といった負の感情だけではなく、愛情や信頼や希望といった正の感情で満たされること。そうして歩む君と君の愛する人の人生が、温かなもので満たされること。
僕とアイラシェールは、遠い空の下で、それを心の底から祈っている』
私はその手紙を二度読み返し、小さく息をついた。それが嘆きなのか、寂しさなのかは自分でも判らなかった。
兄様はもういない。
それがどんな形であったのかは、まだ判らない。けれども間違いなく、兄様はもう私の手の届くところにはいない。何も書いていなくとも、この手紙だけで判った。
明確な別れの言葉も――さよならの一言もない手紙。ただそこに連なる、私と未来の人たちを気づかうばかりの言葉に、思わず顔を覆う。
この五年間、兄様は自分自身のことは何も望まなかった。その人が最後に一つだけ、望んだ。頼むと言ってくれた。それを叶えずに、何の妹分かと思う。
決意を込め、まずは両親に見つからぬよう――大公家から使者が来たことが、両親の耳に入らぬはずがない。兄様に何かあったのなら、両親がその使者について詮索しないはずがないのだ――兄様の手紙二通と預言書を梱包して隠す。安全な隠し場所は改めて検討することにして、『賢者の著作』は再び箱に戻した。両親への説明は、これの出版を託された事実だけで何とか乗り切れるだろう。
あまりの喪失感に、目眩がした。まるで胸の中を、何かでかき回されたようだ。けれども私は今ここで泣き崩れることはできない。
おそらく今、私にはやらなければならない仕事が――立ち向かわなければならない試練がある。それは早ければ、今日中にも襲ってくるだろう。
兄様の一番近くにいたこの私が、今宮廷内に吹き荒れているだろう嵐に、無関係でいられるわけがないのだ。
だから私は、大きく息を吸って気合を入れた。厨房に朝食を用意させ、しっかりと胃に収めた。次いつ食事が取れるか判らない。私は悲しみに暮れて食を断ち、ふらふらなよなよと倒れているわけにはいかないのだ。
恋人を失った貴族の令嬢の態度としてそれは王道だろうが、このロスマリン・バルカロールはそうであってはいけない。
屋敷の中では動揺が広がっていった。大公家からの使者と入れ替わるような時刻に、父は火急の報せを受けて登城したのだが、その父から一報が届いたのは朝食を摂り終わった頃のこと。
賢者失踪――その報に、私は驚くのではなく深く納得した。
そしてそれを廷臣たちに明かした陛下が、即座に兄様を罷免、爵位と領地を没収したと聞いて、小さく頷く。
なるほど、兄様が歴史に残せる賢者の結末は、確かに『失踪』しかない。
これほど国家に功績を残した人物だ。たとえ穏健に宮廷から辞して市井に下りたとしても、世間が放っておくはずがない。亡くなればその報は国内外を駆けめぐるだろうし、当然国葬をという声が上がるだろう。陛下がそれを拒んだとしても、国中に弔意が満ちあふれるのを止められるはずもなく、どう頑張ったって賢者の没年は記録に残る。没年が記録に残れば、兄様はこの時代に来た瞬間、自分がいつ死ぬのかが判ってしまう――アイラ姉様と同じく。
それを防ぐためには、誰もが決して消息を辿れぬよう、宮廷から――歴史の表舞台から『消える』しかない。その原因を兄様が負えば失踪、陛下が負えば追放になる。だから兄様は失踪を選んだ。ただそれだけのことだ。
だが問題なのは、それがどうして今だったのかだ。
それは歴史の定めでもあるだろうが……兄様にはおそらく、今でなければならない理由があったのだ。
そしてその理由はおそらく、一つではない。
「どういうことなの、ロスマリン」
母は困惑もあらわに私に問いかけてきた。父はともかく、この母が風聞を厭わず私が兄様の下に通うことを黙認したのは、いずれはと思っていたからだろう。
バルカロール侯爵家とリーク大公家の関係は、深い。だからこそ今回の一件は、この家にとって一大事だ。母の動揺は当然のことだったが、私は冷静に告げた。
「報せ通りのことと思います。大公閣下は、もはや宮廷にはおられない。そして二度と戻られることもない。それがなぜかと問われれば、私にも真のところは判りません。ただ」
「ただ?」
「よくも悪くも、今回の件にバルカロールは一切関係ないというか、関われはしないと思います。このことをどうすることもできない代わりに、どんなとばっちりが飛んでくることもない。これは本当に陛下と閣下の間のことであって、私も父上もどうすることもできない。ただ母上」
私は意地が悪いほどに、母にきっぱりと言い放つ。
「この娘のことは、諦めてください。消えた大公と噂のあった私を、うかつに娶ろうなんて貴族は、そういないと思いますよ」
一瞬唖然とし、だが険しい顔で考え込んだ母を置き去りに、私は自室に戻る。そして侍女たちに正装の準備をさせた。
頭の中を、推論が幾つも回る。
事の真相がどういうことなのか。
兄様は陛下に、何をどう伝えたのか。
実のところ、この『失踪』という報せを私は鵜呑みにしていいのか。
だがそれも何もかも、陛下に問わねば判らない。だから私は、陛下からお召しがかかるのをひたすら待った。
陛下は絶対、私のことを呼んでくれる。本当に兄様が失踪したのならば、陛下は私に問いたいこともあるだろう。もし失踪が真実を隠蔽するための偽りであるのならば、私まで騙し通そうとするだろうか。そこまで兄様と陛下が薄情であるとは、私は思いたくない。どこかで私にも真相を伝えようとしてくれるはずだ。
そしてその声は、夕暮れにかかった。私は駆け出したい気持ちを堪え、御前に上がる。
下された謁見の場は『銀嶺の間』だった。私が宮中で最も慣れ親しんだ部屋は、何も減らず何も変わらぬままそこにあった。
居室の大きな窓から差し込む夕日の光が、陛下の横顔を赤く染めていた。
憔悴が一目で見て取れた。それを見て、私は兄様の失踪に偽りはないと直感した。けれども敢えて私は、陛下に問う。
たとえ陛下の心をえぐったとしても、どれほど不興を買おうとも、私は確かめねばならぬことがある。
それは私自身のためでも、陛下のためでもない。
兄様のため、だ。
「一報は、父から伺っています」
「お前は、こうなることが判っていたのか?」
「兄様が城に――歴史の表舞台にいられる時間が残り少なくなっている、ということは察しておりました。だって兄様は、とても焦っておられましたから」
まるで憑かれるように、死に物狂いに文章を書き続けていたあの後ろ姿。兄様は何としても全著作を、この日までに作り上げならなかったのだ。時限が目の前に見えていて、未完成の原稿が山ほどあるというのならば、それは焦るだろう。
「だから全部の仕事が終わった時、兄様とお別れをしました。兄様もはっきりとは言ってくださらなかったし、私も聞きませんでしたが、私に会えてよかった、と言ってくださるのを聞いて、これがお別れなんだと感じました」
「それでお前は止めようとは思わなかったのか?」
「恐れながら、陛下はお止めになりましたか? 陛下にすらおできにならないことを、どうして私が?」
多分に責任転嫁であるのを感じて、私は言った。それは陛下が一番よくわかっていることだろうに、と思わずにはいられない。
自分でもそれに気づいたのだろう。ぐっと息と言葉を飲み込んだ陛下に、私は確かめる。
「兄様は失踪の理由を、陛下に話していかれましたか? その中身を教えていただけなくてもいいんです。ただ、陛下にはちゃんと話していかれたのか、それだけでも教えてくださいませんか?」
その答えで、私は兄様の真意を推測する。もし兄様が陛下にも何も言わなかったとしたら。そして本当に陛下の下から去ったというのならば。
失踪の最大理由は、陛下にとって、一番残酷なものだ。
それを陛下に悟られるわけにはいかない。そのためならば、私は陛下を傷つけても構わないとさえ思う。
陛下は幾ばくかの沈黙の後、力なくかぶりを振った。
それを見て、私は内心で呻く。
ああ、やはり兄様は、陛下に気づいてほしくなかったのだ。
その現実は、私をしたたかに打ちのめした。けれどもその悲しみを、陛下に気取られるわけにはいかない。
陛下は、真実に気づかなくていい。それがきっと、兄様の願いだ。
だから私は内心の緊張をできる限り表に出さないように、極めて軽い風を装ってそれを口にした。
「私にも別れがどんな形でやって来るのか、判りませんでした。ですが失踪だと聞いて、内心ほっとしているところもあります。ああ兄様は、自分の行きたいところに行ったんだなって」
私の言葉に、陛下は目を見開いた。信じられないことを聞いたかのように私を凝視するその目を、私は無礼を承知で見返す。
私は今ここで陛下に、負けるわけにはいかない。
「それはどういう意味だ、ロスマリン。だってあいつは――」
「仰りたいことは判ります。でも陛下、こうお伺いするご無礼をお許しください。陛下は兄様の失踪の理由を、失踪原因の抹消のためだとお考えではないですか? 今ここで失踪しなければ、歴史に決して残してはならない――未来の兄様に知られてはならない真実が残ってしまう。そうお考えではないですか?」
「お前は違うと言うのか?」
「違うと思います」
私はきっぱりと胸を張って嘘をついた。嘘をつかなければならなかった。
陛下の推論。それは間違いではない。それは確かに理由の一つだろう。
兄様の没年と死因は、歴史には決して残してはならない。未来の兄様に知らせてはならない。それは兄様の真実を知る者たちが誰もが等しく願う、絶対事項だ。
けれども、なぜ兄様が陛下にも何も言わなかったのか。
そして陛下の下に留まらず、失踪することを選んだのか。
それを考えると、一つの推論が浮かんでくる。
兄様は、陛下にそれを突きつけたくなくて、失踪を選んだのだ。
「実は私、今こうして拝謁叶うまで、陛下が嘘をついておられるのではないかと疑っておりました。本当は兄様は失踪なんかしていなくて、城のどこかにいるのではないかと。歴史に失踪の事実を刻み込むために、偽りの発表をしたのではないかと」
「お前……それはどういう」
「兄様から伺っています。賢者カイルワーンの実像は、後の時代にほとんど伝わっていないと。生没年は勿論、革命の時何歳だったのか、どんな容貌だったのか、どんな人柄であったのか、そんな『人間としての実像』が何一つ。しかし、この五年もの間宰相を務め、多くの貴族たちと接してきた兄様の実像が、どんな貴族の日記にも残されていないのはなぜか。アルバの正史に記載されなかったのはなぜか。その答えは一つです」
私は陛下に、兄様に代わって歴史の遂行を突きつける。
「彼らに絶対の命令を下し、焚書を敢行できる立場の人間が、記載の抹消を命じたからです。それができる人、そしてそれをしなければならないと感じる方は、この世でただ一人――陛下だけです」
私の冷酷な言葉に、陛下は返す言葉を持たない。
「陛下は、兄様を歴史から抹消できる方です。そんな陛下の前からまで、兄様は消えなくてもよかったはずです。陛下ならば、兄様を表向き失踪したことにできる。あとは人目につかない離宮にでも――赤の塔にでも匿ってしまえばそれでいい。そうは思いませんか?」
兄様にだって、そんなことはきっと判っていたはずだ。だからきっと迷ったのだ。
あの時私にもらした『どうしようかな』という言葉の意味は、そういうことだ。
「失踪理由の抹消という観点から考えれば、別に兄様は陛下の御前から消える必要なんて、なかったんです。それでも兄様は、陛下の下に留まることを選ばなかった。だから理由は、それではないと私は思います」
この言葉に偽りはない。その理由自体では、失踪する必要なんてなかった。
けれども、兄様は陛下の前から消えた。何も告げず、消えることを選んだ。
その理由があまりにも察せられるから、私は陛下に嘘をつく。
「私は思います。兄様はこれから外でなさりたいことがあったからではないですか? 見たいことが、会いたい方がいらしたのではないですか?」
この言葉を発した私を、陛下は当惑をあらわに見つめていた。
陛下はこの言葉を信じてはくださらないだろう。受け入れてはくださらないだろう。私だってそう思う。
でも消えた兄様は、陛下にきっとそう思ってほしいだろう。
兄様は陛下に、自分の死期が近づいているという真実を突きつけたくなくて、その確たる証拠を残したくなくて、陛下の下を去ったのだ。
自分の未来に明るいものがあるのだと、そう信じてほしくて、自分の先行きを確定することを何一つ言わなかったのだ。
そして何より。
兄様は言えなかったのだ。
自分がもはや、陛下のそばにあってはならない存在だから去るのだと。
陛下にとって害毒にしかならない自分がそばにあるのは、もはや許せないと。家臣としてそんな存在を排除するのだと。
そんな残酷な言葉を、どうして兄様は陛下に告げることができただろう。
それは卑下や自己否定ではない。泣きたいくらい辛いが、事実だ。
為政者の傍らに、預言者はあってはならない。
多くの人の命を背負う者の傍らに、身を切る決断を下さなければならない者の傍らに、定められた未来を知る者がいてはならない。
これは絶対だ。
これを見逃せば、陛下は預言の――歴史と運命の傀儡になってしまう。
もしこの預言者があの兄様でなかったのならば、私も陛下を慕う国民の一人して、全力で排除を唱えたことだろう。
自らのそばに預言者が――未来を知る者がいれば、決断に苦しむ為政者は必ず答えを求めずにいられなくなる。その決断が正しいのか、その結果どうなるのか、その答えを預言者に求めずにはいられなくなる。
それくらい、為政とは苦しいものだ。考え悩み、決断することは力のいることだ。
そしてその結果を背負うことは、辛いことだ。
陛下が預言に頼るほど弱くない。兄様は安易に未来を告げるほどたやすくはない。そう言い切ってしまうことは簡単だ。
けれども悩み苦しんだ時、もし傍らに兄様がいたならば、きっと陛下は兄様の顔を見てしまう。その反応から、顔色から、答えを探ろうとしてしまう。
そしてそんな自分の心の動きに――答えを求める自分を律することに、きっと疲れてしまう。
このまま兄様がそばにあり続ければ、いずれ陛下は決断を下すことに倦む。
どれほど自分が苦しもうとも、責を負って決断したとしても、それは全てあらかじめ決まっていたことだと。ならば自分が悩むだけ、苦しむだけ馬鹿馬鹿しい。きっとそう思うようになってしまう。
このまま兄様が陛下のそばにあり続ければ、その関係は必ず破綻する。
そのことに、兄様はきっと気づいていた。最初からきっと、気づいていた。
兄様は陛下の親友だった。陛下を一人の人間として理解できるのも、その孤独の質を知り、心の支えとなれるのも、兄様ただ一人だった。陛下にとって、兄様はなくてはならない存在だった。
けれども兄様は、間違いなくこの先、陛下の治世の障害となる。預言者である兄様の存在は、国王である陛下の心を迷わせ堕落させる。
兄様は、この矛盾にどれほど苦しんでいただろう。この五年間、どれほど苦しみ抜いたことだろう。それを思うと、私は気が狂いそうになる。
こんなのない、こんなに残酷なことなんてない、そう心から思う。
もし陛下が王でなければ、兄様は最後までためらうことなく陛下を友として支え、自分が甘えることを許すことができただろう。
もし兄様が預言者でなければ、兄様は最後まで迷うことなく、陛下のためにその知謀を振るい続けただろう。
けれども陛下は国王で、兄様は預言者だ。それを変えることはできない。そのことを忘れることもできない。
そしてそれを意識しないまま、共に歩んでいく道など、どこにもなかった。
どこにもなかったから、兄様は陛下の下を去った。たとえ他にどんな理由がなかったとしても。ただこの矛盾がある限り、兄様は陛下の下を去るより他なかったのだ。
大陸統一暦1005年9月27日に賢者は失踪する。この決められた別れが、かえって兄様の心を救っていたなどという悲しい矛盾に、陛下は気づいていないだろう。
それがなかったら、兄様は多分、もっと早く失踪していた。
下手すれば、陛下が王になったその瞬間に。
五年後に自分が陛下の下を去ることになる。兄様はそれを最初から判っていたからこそ、その間、預言を込みにして全力を尽くすことを己に許すことができたのだ。
いずれは陛下を歴史の繰り糸から解放することができる。それが判っていたからこそ、自分の全てを陛下の王朝へと捧げることを、己に許したのだ。
兄様。兄様。私は心の中で、遠くなってしまった人を呼ぶ。
貴方の願いを、私は思う。
貴方の願いはきっとただ一つ。
陛下に、この事実に、気づいてほしくない。それが何も言わなかった兄様の願いだったのでしょう?
ならば私の願いも一つ。それを叶えるためには、どんなお叱りも受けても、ご不興も買っても構わない。
陛下。どうか私の嘘を、呑んでください。
「ロスマリン」
「はい」
「正直に答えろ。お前は、本心からそう思っているのか?」
恐ろしいほどの真摯さをもって、恐ろしいほどの圧力をもって、陛下は私に問いかけてくる。私はひるむことなく、はっきりと答えた。
「はい」
本心を言えば、最初は迷わないではなかった。ここで陛下と共に泣き、嘆き、兄様を悼んで喪失感を分け合うことの方が、よっぽど陛下のためになるのかもしれないと。何度も繰り返すように、兄様の選択が本当に正しかったのか、私自身にも判らない。それが陛下を傷つけたことは間違いなく、その痛みを分け合うことの方が、よっぽど陛下のためになったのではないかと。そう考えなくもなかったのだ。
だけど。
だけど、だ。
申し訳ありません。私は内心で精一杯、陛下に頭を垂れた。
ロスマリンは、兄様の味方です。どんな時でも、兄様の味方をしたいのです。
だから兄様が悩み苦しみ抜いた果てで下した選択を、無にすることはできないのです。
「そう、か……」
どこか虚脱したように、色彩を失った目で陛下は遠くを見た。
日は沈み、部屋は闇に包まれようとしていた。
この宮廷に、長い夜がやってくる。それを知りながらも、私には何もできない。
「あいつは、どこに行っただろうか。会いたかった誰かに、会えただろうか」
「……きっと」
陛下は私がそう思わせたがっていることには、きっと気づいている。どこか空々しく、でもどこかすがるように呟いた言葉に、私は首肯するより他ない。
「もういい、下がれ」
諦めと疲れがほの見えるその命に、私は礼を取った。退出しようと扉に手をかけた時、陛下はふと笑った。
それはとても痛ましく、そして温かな笑顔だった。
「今まであいつのこと、ありがとうな、ロスマリン」
その瞬間私は、声を上げて泣きたかった。恥も外聞もかなぐり捨て、虚勢も何もかも脱ぎ捨て、声を上げて泣き伏したかった。
だけどそれはできない。御前だからではなく、それをしたらすべてが無駄になるから。
だから精一杯笑った。精一杯無邪気さを装って、かけらでも陛下の痛みが軽くなるようにと願いながら。
館に戻れば、母が待っていた。父はまだ城から戻っていなかった。兄様の後任として宰相に指名された父は、今この事態を収拾すべく奔走していることだろう。
母の気持ちもわかる。けれども今の自分にはもう、かけらの余裕も残っていない。
「母上の仰りたいことは判ります。でもどうか今しばらく、私を独りにしてはもらえませんか? 閣下と私は男女の間柄ではありませんでしたが、大切な人だったんです」
私の力ない言葉に、母は黙って自室へと戻っていった。その後ろ姿に、私は小さなため息をついた。
おそらくこの母とは一生折り合えない。あまりにも価値観が、そして生き方が違う。けれども紛れもなく私の母だ。それだけを確かめて、私も自室へと戻った。
侍女にドレスを脱がせてもらい、寝間着に着替えて。
わずかな灯りのともされた寝室で独り。ようやく独り。
後ろ手に扉を閉めて、力が抜けた。
もう立てなかった。もう一歩も歩けなかった。
「兄様の馬鹿……」
泣ける。やっと私は泣いてもいいんだ。そう思えば、もはやあふれる涙は止められない。
そして止める必要もなかった。
「馬鹿、馬鹿、ばかーーーっっっっ!」
私は恥も外聞もなく、声を上げて泣いた。
沢山の人を傷つけて。沢山の人を泣かして。そうして行ってしまった人なのに、傷つけられた人たちが思うことはただ一つ。
これからのあなたの時間は、安らかだろうか。
もう何かに裂かれ、己で己を責め苛むことはないだろうか。
もう、苦しむはことないだろうか。
そう願わずにはいられないなんて、なんてひどい人だろう。
私は床にへたり込んだまま泣いた。声が涸れ、泣き疲れて眠り込んでしまうまで泣いた。そして誰が運んでくれたのか、翌朝寝台で目を覚まして思った。
ああ、こういうことか、と。
兄様は私に沢山のことを教えてくれた。その兄様が私に最後に教えてくれたのは、兄様自身が最後の最後に語ったこと。
姉様が、死んだ時の気持ち。
ああ、そうか、と私は天蓋の帳から薄く差し込む朝日を浴びながら思った。
たとえどれほど悲しくても。たとえどれほどやりきれなくても。たとえどれほど悔いを残したとしても。
この世界のどんな人間も変わらない、ただ一つの真理。
たとえどれほど大切な人を失ったとしても。たとえその後の時間が、どれほどわずかであったとしても。
残された者はまた朝を迎えなければならない。
また次の一日を、生きなければならない。
生きなければならないのだ、どんな人間であっても――。
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