クジラと日光浴
砂浜に大量のクジラが打ち上がっていた。 ゆうに数百匹のクジラはいた。
「まさかこれ全部クジラな死体なのか…!?」
そう思ってクジラに恐る恐る近づいてみた。すると死んでいたと思っていたクジラがいきなり話しかけてきた。
「やあ人間くん、こんにちは。」
「こ、こんにちは…」
これは驚いた。なんとクジラが人間の言葉を喋ったのだ。
「今僕たちは日光浴してるの。」
「そ、そうなんだね…。てっきり砂浜に打ち上がって海の中に戻れなくなっていたのかとばかり思っていたよ…。ははは…」
クジラはペラペラと人間の言葉を話す。自分は喋るクジラに恐怖を感じていた。
「良かったら君も僕たちと一緒に日光浴しない?」
いきなりクジラが日光浴をしようと言ってきたのだ。驚きの連続で訳が分からなかった。
「わ、分かった…。日光浴するよ… 」
自分は承諾することにした。こうして自分も砂浜で大の字になって日光浴をすることになった。
そしてクジラと日光浴をするという奇妙な体験をすることになったのだった。
「僕、人間とお話しするの初めてなんだよね。」
「へぇーそうなんだね…」
こっちだってクジラと話すのなんて初めてなんだわ…!と心の中で思った。
「もし今僕が寝返りをうったら、君はぺちゃんこになっちゃうね。ははっ!」
「ははっ…。悪い冗談はやめてくれよ…」
本当に怖かった。本当にクジラに寝返りをうたれたら自分は確実に死ぬ。
「でもそんなことはしないさ。僕は君のことを友達と思ってるから。友達を傷付けるようなことは絶対にしない」
「クジラくん…!」
自分はクジラに友情を感じ始めるようになっていた。そして数十分と色々クジラの世界のことを教えてもらったり、人間の世界のことを教えてあげたりした。
「いやーたくさん話したね!ところでクジラくん達はどうやって海に帰るの?」
「そのことについては大丈夫。僕達は自由自在に波を起こせるから、波を起こして波に乗って海に戻るんだよ。」
「そ、そんなことが出来るのか…!」
「あっ、そろそろ時間だから帰るね。君は高いところに今すぐ逃げた方がいいよ。君も波に飲み込まれちゃうから。」
「あっ、うん!」
クジラくんに言われた通りに高いところに移動した。それにしても改めて見て思った。
数百匹の鯨が砂浜の上で日光浴をしているなんて本当に奇妙な光景だな。
「今日は楽しかった! 今度は会うときはもっとお話しようね! それじゃ!」
クジラは高いところにいる自分に大声でそう言うと、ぶつぶつと何か言い始めて波を起こした。
「うおお!?」
自分は高いところから見ていたのだが、波が一気にクジラ達を飲み込んで波が引くとクジラは砂浜から一頭たりともいなくなっていた。
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