第25話 メラノの騎士 ミサシ&ヤリサ

〜少し前〜

「ハァッ…!ハァッ…!」

僕は『シザー・デス』に跨り、ひたすら逃げていた。倒しても倒してもすぐ復活するからきりがない。

だから逃げるしかなかったのだ。


ドドドド!!!!


迫ってくるゴースト型クリーチャーの軍勢。


「マテエ!ニガスカ!」

その中に俺を呼ぶものがいた。黒衣を纏ったラミア型の幽霊。

そう、『絶望の影ージャックボア』が軍勢を率いていたのだ。


『絶望の影ージャックボア』

コスト4 ATK1600 DEF1200

このクリーチャーは破壊された黒属性クリーチャーを手札に戻すという厄介な効果を持っている。

おそらく、こいつの使い手が手札に戻ったクリーチャーを再召喚しているのだろう。

更に軍勢の中には破壊された時にLP(ライフポイント)を回復するものもいる。

『シザー・デス』のATK(攻撃力)では回復力を上回るダメージを与えられない。

だから逃げるしかないのだ!


そして逃げ続けた結果…


「万事休す…か」


僕と『シザー・デス』は崖下に追い込まれてしまった。崖を登るにも地盤が脆すぎる。

本当に追い込まれてしまったのだ。


「シネエ!」


ジャックボアの斬撃が放たれる。


「簡単にやられてたまるか。速攻魔法発動!『ホーリー・パニッシュ』!」


〜速攻魔法『ホーリー・パニッシュ』

これは1ターンの間、相手クリーチャー全てに戦闘を禁止させる効果を持っている。


これにより少しだけ攻撃の手を止めることはできた。だけど危険な状況は変わらない。『ホーリー・パニッシュ』の効果が現実でどこまで続くかも分からず、「長考は控えた方がいい」と脳が言っている。


そんな時、後ろから2人の騎士が現れた!


ズババババ!!


雑兵を蹂躙し、突き進む。

あっという間にジャックボアの前に躍り出た!

「マスター、ショウカン、ハヤク、ハヤクゥ!!!」

ズバァ!


「怪我はないか?」

三叉の大太刀を持った男が僕に手を差し伸べる。

その手はとても暖かった。


〜〜

「これが僕と彼らの出会いだ。話すことは話したから挨拶でもしたらどうだ?」


「おっと、忘れてたぜ!

俺はマサル・ユウドウ。こっちがオルカマンだ。改めて言うけど、本当にありがとな。」

「私からも感謝申し上げる。」


「そう言われると嬉しいでござるな。」

「拙者はヤリサ・ルウナイと申す。里を出てから早半年、ミサシ殿の下で修行を積ませて貰ってるでござるよ。」

ヤリサは満面の笑みで語った。


「ヤリサ、今は非常事態だ。自己紹介はその程度にしておけ。」


「私はメラノ騎士団特殊小隊の隊長、

 ミサシ・ルベールだ。

 座右の銘は『一石三鳥』

 尊敬する人物は父だ。

 好きな事は鍛錬とライブ鑑賞。

 嫌いな事は怠けることだ。」


「なんか長くないか?」ヒソヒソ

俺はヤリサに耳打ちした。


「これでも短い方でござるよ」ヒソヒソ


「自己紹介も済んだ事だ。本題に入ろう。」

「まず、敵はクリーチャーと呼ばれる生物の大群。5万の兵士がいたメラノを一晩で制圧した事から、とても強い。」


「そして、我々は5人。勝ち目は無いな。」


「諦めるのは早いでござる。拙者がいれば5対1万でも余裕でござる!」


「諦めては無いんだがな…」

ミサシはため息をついた。


「言いたい事は分かった。指揮官を倒せばいいのだろ?」


「その通り。幸運な事に敵の情報は入っている。」

「『ターミナル四天王』だ。」

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