第25話 京都での新事実

「杏奈ママ、約束通り来ましたよ!」

徳田と武藤を連れ、「祇園 桜木」を訪れた。

「お待ちしてましたわ~先生」

「先生はやめてくださいよ~少し前までここでボーイしてたんですから」

「そうなんですか?」

武藤が目を丸くして貴に聞いた。

「そうなんよ~この方な、ボーイさんのとき議員の前田先生とコネ作るために高いライターをくすねたんやで」

「いやだなー人聞きの悪い。きっかけづくりに拝借しただけです」

「でも、その縁でこうして議員先生になりはった」

「ま、まあ」

貴は頭をポリポリかいた。

「あんさんが抜けた後たいへんやったんやで、人手が足りんで」

「それは申し訳なかったです」

照れながら出された水割りを飲んでいる。

「でもその後な、美人な娘が入れ替わりで入って来てん。新人さんやさかいあんさんの後釜みたいな仕事もあったかいな、よくよく聞いたら東京出身やっていうねん」

「へーそれは良かったですね!私も安心しました」

「ほんでな、仕事の手際がごっつええから、前何しとったん?て聞いたんよ」

貴たちは黙って杏奈ママの言葉を聞いている。

「したら、東京でラウンジ経営してたって言うやん!ほー、道理でって感心したんや」

「え?東京のどこって言ってました?その人」

貴は身を乗り出して問いただした。

「確か、池袋言うとったな」

「その人の名前はなんって言ってました?」

「みんなはゆみちゃん言うとったで」

貴は雷に打たれたような感覚を覚えた。

「そ、それでそのゆみさんって人は今もここで?」

「丁度2、3日前に辞めてもうたんよ」

「そ、そうなんですか?じゃぁまだこの辺にいるって事ですよね?」

「それは分からんけどそうちゃう?」

「ちなみに何の辺に住んでいたかって分かります?」

「え~と確か京都芸大の辺り言うとったやろか」

「ママ、ごめん。今日はこれで帰るわ」

「あら、急にどうしたの?」

「そのゆみって女性、自分が探してる人かも知れないんです。悪いけど二人とも手を貸してくれないか」

徳田と武藤は目を丸くして席を立った。

「また改めてお邪魔します!」

勢いよく店のドアを開けると停車中のタクシーに3人は乗り込んだ。

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