第55話 大雨
一面の鈍色から落ちてくる大雨
うるむ眼で傘越しに見上げた空は
泣きはらしていて
空よ
何故そんなに強く
泣いているの?
そんなに大粒の涙をこぼして
地に跳ねるほどの雨を降らせて
だめよ
そんなに泣いたら
こらえている私も泣けてきてしまう
それとももしかして
一緒に泣いてくれるの?
轟く空の叫び声のような雷鳴
光と音が響き渡り
私の心も共鳴するように
声にならない声で叫ぶ
あなたはいない
どこにもいない
どれほど必死に叫んでも
あなたは答えてくれなくて
堪えきれない涙が流れ落ちる
心が寒くて寂しくて凍えそうで
なのにあなたはいない
空も私と同じなの?大粒の涙は誰に向けて?
ねぇ?答えて空?
答えてくれる訳もなく
ただ大粒の雨は降り注ぐ
泣きはらした私は大雨の中
一緒に泣いてくれる空をいつまでも
見つめて佇んでいた
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