第26話 紅
それは夕の刻
燃えるように染め上げられた
雲ひとつない赤の空
ふうわりと手招くように
紅いその身を優美に広げて
地に丘に乱れ咲く
幾多もの曼珠沙華
その花々に落ちる
高く遠い空からの赤の光
遥かなる天から赤の夕陽が降り注ぎ
より深く濃く赤に紅に地を染めて
赤い光と紅い花の邂逅
赤と紅は混じり合い
降り立つ赤の光に
紅い花びらはほうと染まる
風もなく音もなく
闇色に赤を染めながら
全てを隠していくように
夜の帳はゆっくりと降りて行った
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