第7話「……何でしょうか、これ。壺の破片とか?」

 一つ隣りの部屋は【器物損壊】と書かれていた。

──少なくとも、先程の【殺人現場】のような恐ろしい場所ではないだろう。

【殺人現場】から飛び出し警戒をしたが、制服警官が後を追って廊下に飛び出してくることはなかった。

 そこで二人は、隣の部屋に移動することにしたのだ。扉を開け、マコと足達は部屋の中に踏み込む。


 先ず目についたのは──床に散乱した陶器の破片である。

 部屋の中央には台座があって、フカフカのクッションの上はもぬけの殻となっていた。恐らく、そこから何かが落ちて割れたのであろう。

「……何でしょうか、これ。壺の破片とか?」

「さぁな?」

 マコが尋ねると、足達も見当がつかない様子で首を傾げている。


「……うっ!」

 そしてまた、足達は壁際に立つ制服警官の姿を見て声を上げた。今度は鼻の長い象を模ったようなお面をしている。

 警戒したが、制服警官は顔を向けてくるだけでこちらに近寄ってくることはなかった。

「ど……どういうことでしょうか……?」

「分からない……」

 敵意のない制服警官に二人は困惑し、互いに顔を見合わせるのであった。


──しかも、ここにも誰もいない。他の同期生たちはどこに行ったのだろうか。

 探索はせず、マコたちは同期生たちの姿を捜して【器物損壊】の部屋から出たのであった。

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