伊達政宗、隻眼の覇者は伊達じゃない その捌
アマテラスは足を組みながら玉座に座っており、
「まいったな......。政宗と景頼の二人が即効性の猛毒を飲み込みやがった」
「兄上」ツクヨミはアマテラスの前に立った。「本当に政宗らは猛毒を飲み込んだのですか?」
「そうらしい。猛毒を飲んだのは確実だ。ツクヨミにはわからないだろうけど、人間などの下界の動物は毒に弱いんだ。猛毒を飲んだら神と違って死んでしまう。それに加えて即効性のようだから、普通に死ぬ。
しかしね、ツクヨミの言うとおり人間というものはおかしい生物だ。毒を自ら
煙草を吸うとニコチンが原因で
「人間とは実に矛盾した生物なんですね」
「ああ、矛盾し過ぎているよ。だからこそ、地上から人類が絶滅しないように我々神が頑張っているんじゃないか。人間なんてほっといたら絶滅するが、人間に絶滅されると生態系が崩れてしまうからな」
「それが神の使命だと心得てはいるのですが、奴らはどうも
「本当にその通りだ。けど、政宗を神の使者として認めたアーティネスは間違ってはいなかった。政宗ならばいずれは江渡弥平達を倒せる」
「しかしアーティネスは人間を見下す側に属す神の一柱ですよ?」
「アーティネスが政宗を神の使者と認めたことだけは評価している。他は駄目だ」
アマテラスは肩を落とし、人間の無能さに頭を悩ませた。
「政宗を生き返らすということは出来ないのですか?」
「死んだ奴を生き返らすなんてのは
「なっ! 兄上に限って生き返らせないなんてことはないはずです! 見捨てる気ですか!?」
「見捨てる、か。面白いことを言うね。我が政宗を見捨てる時は、我の駒として動かなくなった時だ。まだその時ではない。だけど、今回ばかりは政宗を生き返らせることが出来ない。我の力を十割に引き出したとしても、復活させられないんだ......」
ツクヨミは黙り、下を向いた。それも仕方のないことだ。神の頂点に
伊達氏の現在進行形の当主である伊達政宗とその側近・屋代景頼が間諜に毒殺されたということは、仁和によって伊達氏の家臣全員に伝えられた。
その一報を伝えられた家臣は怒り狂い、鼬鼠殺しを捕らえるために行動を起こすとまで言い出した。
「皆さん」仁和は家臣団をなだめた。「鼬鼠殺しというのは何かの称号であり、彼の本名は不明です。現在は行方を追跡している最中になります。しかし彼はそれなりの逃げ足でして、いたちごっこです。
この鼬鼠殺しという弱々しい称号のようなものは、今考えてみると簡単なことでした。
すると家臣の一人が声を張り上げた。「鼬鼠殺しという名の由来などどうでも良い! 若様を助ける手はないのか!?」
「政宗殿を救うために解決策を模索していますが、絶命しています。この状態で命を救うのは至難の業です」
鼬鼠殺しが伊達家に与えた影響は大きかった。戦に強く伊達家の経済をも回していた万能な政宗と、戦いの才能を持った景頼を失った痛手は非常に大きいのは当然だ。
だが、仁和には勝算があった。歴史の中に鼬鼠殺しなんて人物が伊達政宗を暗殺したなどという出来事はなく、今回の事件にほぼ間違いなく江渡弥平が関わっているのは明白だった。
今こそ江渡弥平を倒す時である。家臣団との話し合いを終えた仁和は未来人衆のところへ行き、鼬鼠殺しと江渡弥平との関係を説明した。
「鼬鼠殺しは、俺達を受け入れてくれた若旦那を殺したんだ!」
「絶対に許さない!」
「歴史改変計画を食い止めよう!」
未来人衆は皆、政宗に感謝をしている。政宗は未来人だということに恐れず、敵だった自分達を受け入れてくれた。やっと、やっとのことで恩返しが出来る。未来人衆は泣きながらも、戦の準備を始めた。
仁和は怒りをあらわにした。「我々未来人衆には未来の技術力がある! 我らを見捨てた江渡弥平、並びに政宗殿を殺した鼬鼠殺しに死の
「「おおおぉぉーーーー!」」
仁和は自分と政宗が作った未来の兵器を用意した。見掛け倒しの毒ガス、クロスボウ、拳銃などのものが集められ、政宗が死んだということにショックだった鍛冶屋の権次と兼三が大量をかなり削ってまで強力な武器を作り上げた。
家臣団が次の当主を誰にするか話し合っていた時、未来人衆を筆頭とする政宗に恩がある者達が集う。何がなんでも政宗の暗殺を指示した奴らを殺し、恩返しを
「「
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