伊達政宗、悪運の強さは伊達じゃない その漆
洞窟の中で腰を下ろし、ジョーから話しを聞いた。それによると、ジョーが住む世界では強者が全てを制するようだ。その世界で頂点に
ジョーはある日目を覚ますとこの洞窟にいた。俺のように死んでから神様と会って転生した、というものではないと言う。しかも転生ではなく転移だな、これ。
この世界に転移してからジョーは、唯一腰に提げていた剣で動物を狩って生活をしていた。上半身が裸なのは、動物を捕らえる
「転移してから一ヶ月してからだ」ジョーは俺を指差す。「お前が現れたんだ」
「なぁるほど」
「まさか頂点を極めた俺が負けるとは」
「俺が使っている刀がすごいだけだ。この刀を作った権次と兼三って奴がすごいんであって、俺はそこまで強くはない」
「
謙遜か。俺は実際にはそこまですごくないんだが。まあ、刀をある程度は扱えるようにはなったから、強くはなってんだろうけど。
「ジョーが剣を取り出す時、何もない空間から剣が出てきたけどどういう仕組みになっているんだ?」
「このズボンの腰の辺りには見えないポケットのようなものがある。そこに剣が収納されていたんだ。仕組みはくわしくは知らないけど、ガラスみたいなもんだと思うよ。ガラスは透明度が80%~90%くらいだけど、このポケットは透明度が100%なんじゃないかな」
「ということは、透明なだけでポケットは触れるんだな?」
「多分」
「少し触らせてくれ」
ジョーが首を縦に振ったから、俺は腰の辺りを触った。すると、鞘のようなものがあった。これが、ジョーの言うところの『ポケット』ということか。
いや、待てよ......。四天王のリーダーであるホースティーは、これと同じく自分の体の透明度を100%にしたのかもしれない。つまり、瞬間移動ではないということだ。透明人間みたいなもんだな。
その原理を応用すれば、俺も透明になれるかもしれん。
「ジョー、このポケットの原理をくわしく聞かせてくれないか?」
「くわしい原理はわからないけど、光りの
「そうか! 透明度100%、言い換えると全ての光りを体に貫通させるということだ。物体を俺達が視認出来るのは、その物体が光りを反射するからだと思う。だから光りを反射させずに
俺は
「どうだ、ジョー? 俺は透明になっているか?」
「ああ、なっている。まさか、そんなことが出来るとはな」
透明化を解除し、ため息をつく。「ここで言っておく。俺は転生者だ。と言っても、前世ではこの世界の400年先を生きていた。つまり、逆行転生だ」
「お前は転生者なのか」
「俺の仲間には数人ほど未来からの転生者がいる。未来からの転移者は数百人もいるから、ジョーもすぐに受け入れてもらえると思うぞ。仲間のいるところに案内したいんだが」
「ああ、それはありがたい」
「俺がここに来たのは、敵を倒しに来たからなんだ。その戦いに、ジョーも参加してくれるか?」
「負けた者は勝った者の言いなりさ。戦いにも
二人で洞窟を出て、野宿していた場所に向かった。仲間達と合流すると、ざっくりとジョーの紹介した。
「こいつはジョセフ・ウィリアム=ヘルダーだ。今日からジョーも仲間になる」
ジョーにも馬を用意しようとしたが、馬に乗るのは得意ではないようだ。だから、俺の後ろに乗ることになった。
「急いで出発しよう! 今日中に二本松城に到着したい」
「「おおぉ!」」
夜行隊と異世界からの剣聖ジョーを加えた俺達は、早々に
道中、植物が
「この程度なら軽い剣の振りだけで切り刻めるな」
こんな強い奴に俺は勝ったのか......。意外すぎて言葉が出なかった。
ジョーが切ってくれたお陰で前進を再開させ、二本松城を目指した。整備されていない山道を長いこと進んだ。馬に乗っているとはいえ、さすがに疲れる。この季節だけど、太陽も熱い。
すると、先ほど以上の熱気を肌が感じ取った。顔を上げて前方をよく見る。観音堂山の
俺は大きく息を吸い込んだ。「お前ら! 奴らが顔を出したぞ! ぶっ殺してやれ!」
それから数分間ほど、俺は義継に向かって
「父上の
「承知した」ジョーは俺の馬を使って、
ウルトラウィークは忠実な馬だから、ジョーにも扱えたのだと考えられる。
燭台切の剣先を敵に向けて、大声で放った。「新入りに遅れを取るな! 突っ込めぇ!」
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