『東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長 森喜朗の首を獲れ!』と熱狂している奴らは正義だろうか?

齋藤 龍彦

第一部

【はじめに】

 2021年2月、大衆が熱狂している。

 「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長 森喜朗が女性蔑視発言をした! 会長職から引きずり下ろせ! 奴の首を獲れ!」と煽動者に乗せられ大衆が熱狂している。


 だがちょっと待って欲しい。こうして熱狂が起こっている最中こそ、冷静な考察というものが必要ではないだろうか。




 この『森喜朗女性蔑視発言』の煽動者は欧米メディアである。

 そして、まるで図ったかのようなタイミングでニュースが飛び込んできた。


https://www.asahi.com/articles/ASP2G2HZHP2GUHBI001.html?iref=comtop_BreakingNews_list参照

『ゴーン氏逃亡支援容疑の親子 米最高裁も移送差し止めず』


この部分は2021年2月14日(日)の追記である。(さらに同2月28日に訂正追記 〝アメリカ最高裁はアメリカ人容疑者の日本移送支持〟である、ということ)


 2020年1月に大騒ぎとなった『日産自動車元トップ カルロス・ゴーン容疑者 密出国事件』。

 アメリカ政府が身柄引き渡しを容認したから裁判になっている、と一応礼儀として断ってから書くが、未だ予断は許さない。

 というのもこの件について欧米メディアは沈黙を守っていて、未だ見解を示していないからだ。

 なにせ欧米メディアから『人質司法』と散々攻撃されたのがこの日本。その日本へと、いざアメリカ人容疑者を送る段になって欧米メディアがどう動くか。ここが鍵となる。そこで牽制の意味を込め、『2001年のことを思い出してみて欲しい』、と言おう。


 2001年9月、アメリカ同時多発テロ事件発生。

 アメリカ合衆国政府はアフガニスタン・タリバン政権に対し、テロの首謀者、ウサマ・ビン・ラディンの身柄の引き渡しを求めた。

 アフガニスタン・タリバン政権はこれを拒否。

 事件の首謀者の身柄引き渡しを拒否したことを大義名分としてアメリカ合衆国はアフガニスタン・タリバン政権に対し戦争を始めた。


 アメリカにはカルロス・ゴーン密出国の件について、アフガニスタン・タリバン政権と同じ行為をしようとする者が存在し、それらの支持勢力もいそうなわけだが、こうした者達を〝正義〟というだろうか?


 仮に、である。当時のアフガニスタン・タリバン政権がウサマ・ビン・ラディンの身柄引き渡しに応じたとしても、その行き先はグアンタナモ基地ではなかったか。

 むろんそこでは弁護士の同席も許されず、長期間に拘束され、長時間な取り調べ、拷問すら容認される人権侵害の『人質司法』の環境下に置かれたことだろう。グアンタナモ基地で起こった事はファクトである。『グアンタナモ基地での取り調べには弁護士が同席し被告の人権は護られた環境だった』と曰うアメリカ人は一人もいないであろう。

 ならばアフガニスタン・タリバン政権には容疑者の身柄引き渡しを拒否する大義があったことになる。


 アメリカ人って正義ですか?

 アメリカ人、それも声の大きいアメリカ人ほどその人格は既に疑うべきレベルに達している。

 声の大きいアメリカ人というのはテレビ・新聞・通信社などのアメリカメディアである。この連中の今後の行動次第で本当にアメリカ人容疑者が日本へと移送されるのかどうかが決まってしまう。果たして現時点の裁判所の決定通りに事が進むのかどうか————



 俺はそれくらい〝欧米メディアを監視しなくては〟と、監視対象として考えている。それくらい信用していない。『森喜朗女性蔑視発言』は欧米メディアによる日本人差別だと考えている。欧米メディアによる人種差別が正義の名の下に執行された、欧米報道企業による日本人ヘイト事件だと考えている。考えた結果そういう結論に行き着いた。



 森喜朗発言全文は以下にある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a2148b9c62351b9b54bff6338dbc4d8ac6cd9af8


 考えようじゃないか。

 欧米人が『日本人は女性を蔑視した!』と言っただけでそれを正義と信じ込むほど日本人は愚かじゃない。この作品の執筆動機はまさにこれである。

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