2日目

 女神の神殿を出ると、斧を持った魔物が現れた。


「ゴブリンですね。最下級の魔物です、軽くやっちゃいましょう」

「なにが『やっちゃいましょう』だ。刃物持ってるじゃねーか、やべえよ」


 ゴブリンは容赦なく斧をふり回してきた。直撃したら普通に死ぬレベルだ。


「ひいい! なんか戦う方法ないのかよ!?」

「なぜ私に聞くのですか。それは現実の貴方と同じ能力の肉体ですよ」

「それって何の取りえもないってことじゃねーか。チート能力とか付けてくれないの? 他ではみんなやってるよ」

「よそはよそ、うちはうちです」


 偉そうに言うが、単にできないだけなんだろう。無能はこの女神も同じということだ。


「誰かー! 助けてくださーい!」


 暴漢に襲われた時、一番の対応策は大声で叫びながら逃げることだ。


「はあ……こいつハズレだったかな……」


 女神は小声で言ったが、俺にははっきり聞こえた。

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